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競馬の賞金ボーダーとは|GⅠの出走馬の決まり方と除外の仕組み

この記事の要点

  • 賞金ボーダーは、出走の申し込みが出走できる頭数を超えたレースで、賞金の順で出走できる最後の馬の賞金を指すよく使われる言い方。JRAの規定や用語辞典にはなく、規定では「出走馬決定賞金」の順で出走できる馬を決める
  • 3歳以上のGⅠの出走馬決定賞金は、収得賞金に、おおむね過去1年の獲得分と、おおむね過去2年のGⅠの獲得分を足した額。同じ額なら抽選になる
  • 2026年度の天皇賞(秋)とジャパンカップは、まずレーティングの上位10頭、有馬記念はファン投票の上位10頭が決まり、残りを優先出走権と賞金の順で埋める
  • 出走できなかった馬は、規定では「出走できる馬とならなかった馬」で、特別登録料は返される。2歳・3歳のオープン競走(重賞を除く)で出られなかった馬には、次のオープン競走での優先出走がある
競馬の賞金ボーダーとは|GⅠの出走馬の決まり方と除外の仕組み
目次
  1. 賞金ボーダーとは?JRAの規定の言葉との対応
  2. 出走馬はどう決まる?特別登録から出馬投票まで
  3. 収得賞金と出走馬決定賞金の違いは?
  4. GⅠの出走馬の決まり方は?2026年度の主な例
  5. 除外とは?出走できなかった馬の扱い
  6. フルゲートは何頭?出走可能頭数の決まり
  7. GⅠ以外のレースは?前走の着順と出走間隔で決まるレースも
  8. まとめ

賞金ボーダーとは、出走の申し込みが出走できる頭数(フルゲート)を超えたレースで、賞金の順で出走できる最後の馬の賞金を指す言い方だ。JRAの規定や用語辞典にこの言葉はなく、規定では「出走馬決定賞金」などの順で出走できる馬を決める。本記事では、出走馬が決まるまでの流れ、収得賞金と出走馬決定賞金の違い、GⅠの種類ごとの決まり方、優先出走権と抽選、除外になった馬の扱いを順にまとめる。内容はいずれも2026年11月時点のJRAの規定によるものだ。

賞金ボーダーとは?JRAの規定の言葉との対応

「賞金ボーダー」「フルゲート」「除外」は、出走馬の決まり方を話すときによく使われる言い方だ。JRAの規定では、それぞれ次の言葉で書かれている。

よく使われる言い方 JRAの規定の言葉
フルゲート 出走可能頭数
賞金順 出走馬決定賞金(3歳以上の重賞)、収得賞金(2歳・3歳のオープン競走)の多い順
賞金ボーダー 規定の言葉はない(出走馬決定順で、出走できる最後の馬の賞金)
除外、抽選漏れ 出走できる馬とならなかった馬(抽選で外れた「非当選馬」と、それ以外の「非抽選馬」)

出走馬決定賞金は、レースに出走できる馬を決めるための賞金で、その順番は「出走馬決定順」と呼ばれる。賞金ボーダーは、この出走馬決定順で出走可能頭数の最後に入った馬の賞金を指すことが多い。決まった額があるわけではなく、そのレースに申し込んだ馬の顔ぶれで毎回変わる。

出走馬はどう決まる?特別登録から出馬投票まで

GⅠなどの特別競走に出るには、まず特別登録を申し込み、レースの週に出馬投票をする。GⅠの特別登録馬は、原則としてレースの2週前の日曜日にJRAのホームページに載る。関東で行うGⅠのうち、日本ダービー・天皇賞(秋)・ジャパンカップ・ホープフルステークス・有馬記念の出馬投票の締め切りは、2026年度はいずれもレースの週の木曜日の12時〜14時だ。

出馬投票の頭数が出走可能頭数を超えなければ、投票した馬は全頭出走できる。出走可能頭数を超えたときは、競馬施行規程の第85条により、「抽選その他の競馬番組で定める方法」で出走可能頭数と同じ数の馬を出走できる馬と定める。この「競馬番組で定める方法」が、賞金や優先出走権の順番だ。

出走できる馬が決まると、馬名・負担重量・騎手が発表され、これで出走馬が確定する。馬番(枠順)は、そのあと別に決める。

収得賞金と出走馬決定賞金の違いは?

出走の順番に使う賞金には、収得賞金と出走馬決定賞金の2つがある。

収得賞金 出走馬決定賞金
何のための賞金か クラス(競走条件)を分けるため 出走できる馬を決めるため
中身 1着(重賞は2着も)になったレースで、クラスごとに決まった額を積み上げたもの 収得賞金+期間(1)の獲得分+期間(2)のGⅠの獲得分
使う場面 2歳・3歳のオープン競走の順番、クラス分け 3歳以上の重賞・リステッドで同じ順位の馬が並んだとき

収得賞金は、レースでもらう本賞金そのものではない。GⅠ・GⅡは本賞金の半額、新馬・未勝利の1着は400万円など、勝ったレースのクラスで決まった額が足されていく。

収得賞金の額の表と、クラスが上がる決まりは「競馬のクラス分け」でまとめている。

出走馬決定賞金は3つの合計

3歳以上の重賞で順位が並んだときに使う出走馬決定賞金は、次の3つを足した額だ。

項目 中身
1. 収得賞金 その馬のこれまでの収得賞金
2. 期間(1)の獲得分 「出走馬決定賞金算出対象期間(1)」(おおむね過去1年)のレースで得た、収得賞金に入る額。地方・外国のレースを含む
3. 期間(2)のGⅠの獲得分 「出走馬決定賞金算出対象期間(2)」(おおむね過去2年)のGⅠ・J・GⅠで得た、収得賞金に入る額。地方・外国のレースを含む

期間はレースごとに競馬番組で決まる。2026年の天皇賞(秋)では、期間(1)が2025年11月1日〜2026年10月28日、期間(2)が2024年10月26日〜2026年10月28日だった。

足し方のとおりに計算すると、最近の勝ちほど重く数えられる。たとえば2026年の毎日王冠(GⅡ、1着本賞金6,700万円)を勝つと、収得賞金に3,350万円が入り、期間(1)の獲得分にも同じ3,350万円が入るので、出走馬決定賞金ではこの1勝で6,700万円になる。過去1年以内のGⅠの勝ちなら、3つの項目すべてに入る。

クラスが上の馬が先

賞金の額より先に、クラスの上下で順番が決まる。3勝クラスの馬の出走馬決定賞金が、同じレースに登録したオープン馬を上回っても、出走馬決定順はオープン馬が上になる。

GⅠの出走馬の決まり方は?2026年度の主な例

GⅠは、レースによって出走馬の決め方が違う。2026年度の規定で、主なGⅠの決め方をまとめると次のとおりだ。

GⅠ 先に決まる馬 残りの枠の順番 同じ順位で並んだら
天皇賞(秋)・ジャパンカップ レーティングの順位の上位10頭 優先出走権を持つ馬 → 出走馬決定賞金の多い馬 抽選
有馬記念 ファン投票の上位10頭 優先出走権を持つ馬 → 出走馬決定賞金の多い馬 抽選
春の3歳GⅠ(皐月賞・日本ダービーなど) トライアルなどで優先出走権を得た馬 芝のオープン・1勝クラスと、パートⅠ国の外国のレースで得た収得賞金の多い馬 抽選
秋の3歳GⅠ・2歳GⅠ 優先出走権を得た馬 収得賞金の多い馬 抽選

天皇賞(秋)・ジャパンカップはレーティングの上位10頭が先

2026年度の競馬番組では、天皇賞(秋)とジャパンカップの出走馬は「以下の順で」決めると書かれている。まずレーティングをもとに定める順位の上位10頭で、レーティング110(牝馬は106)以上の馬に限る。残りの枠は、一般事項の決め方(優先出走権、出走馬決定賞金の順)に準じて決める。どちらも出走可能頭数は18頭だ。

レーティングは、それぞれのレースで見せたパフォーマンスを、着差や負担重量などから国際的に統一された基準で数値にしたもので、単位はポンドだ。

有馬記念はファン投票の上位10頭が先

有馬記念は、第2回特別登録(出馬投票)をした中央競馬の馬のうち、ファン投票の上位10頭が先に決まる。ただしファン投票の順位が50位までの馬に限り、同じ順位の馬が多いときは抽選になる。残りの枠は、天皇賞(秋)・ジャパンカップと同じく一般事項の決め方に準じる。出走可能頭数は16頭だ(2026年度)。

3歳以上のGⅠの優先出走権|前哨戦の1着

3歳以上のGⅠでは、決まった前哨戦を同じ年度に勝った馬に優先出走が認められる。2026年度の中央競馬の馬の対象は次のとおりだ。

GⅠ 1着で優先出走権が付く競走
フェブラリーステークス プロキオンステークス、根岸ステークス
高松宮記念 阪急杯、オーシャンステークス
大阪杯 中山記念、金鯱賞
天皇賞(春) 阪神大賞典、日経賞
ヴィクトリアマイル 阪神牝馬ステークス、福島牝馬ステークス
安田記念 マイラーズカップ、京王杯スプリングカップ
スプリンターズステークス キーンランドカップ、セントウルステークス
天皇賞(秋) オールカマー、毎日王冠、京都大賞典
エリザベス女王杯 アイルランドトロフィー
マイルチャンピオンシップ スワンステークス、富士ステークス
チャンピオンズカップ みやこステークス、武蔵野ステークス

宝塚記念・ジャパンカップ・有馬記念は、この表に入っていない。地方競馬所属馬([地])には別の条件があり、前哨戦の2着以内などで優先出走が認められる。

3歳・2歳のGⅠは収得賞金の順

2歳と3歳のGⅠには、レーティングの枠はない。優先出走権を持つ馬のあとは、収得賞金の多い順に決まる。春の3歳GⅠ(桜花賞・皐月賞・NHKマイルカップ・オークス・日本ダービー)だけは、数える収得賞金が、芝のオープン・1勝クラスのレースと、パートⅠ国の外国のレースで得たものに限られる。ダートの重賞で得た収得賞金は、春の3歳GⅠの順番には数えない。

3歳以上の重賞と違い、2歳・3歳のオープン競走では、収得賞金が同じ額の馬が並ぶと、そのまま抽選になる。収得賞金は勝ったレースのクラスで決まった額が足されるので、新馬戦と1勝クラスを勝った馬どうしなど、同じ勝ち方をした馬は同じ額になる。2歳・3歳のGⅠで抽選が起きるのは、こうして同じ額の馬が並んだときだ。

除外とは?出走できなかった馬の扱い

賞金の順や抽選で出走できなかった馬は、よく「除外」と呼ばれる。JRAの規定では「出走できる馬とならなかった馬」で、抽選で外れた馬を「非当選馬」、それ以外の馬を「非抽選馬」と呼び分けている。

出走できなかった馬の扱いは、次のとおりだ。

扱い 中身
特別登録料 返される(競馬施行規程第77条)
次のレースの優先出走 2歳・3歳のオープン競走(重賞を除く)で出走できなかった馬は、2か月以内に最初に投票したレースが2歳・3歳のオープン競走(重賞を除く)なら優先出走が認められる(細かい条件あり)。新馬戦で出走できなかった馬も、次の新馬戦で同じ扱い

次のレースの優先出走は、重賞で出走できなかった場合には付かない。GⅠで賞金が足りずに出られなかった馬が、次のGⅠで優先されることはない。

出馬表が確定したあとに病気やケガで出走をやめる「出走取消」「競走除外」は、ここでいう除外とは別のものだ。

確定したあとの出走取消・競走除外と馬券の返還は「出走取消と競走除外の違い」でまとめている。

フルゲートは何頭?出走可能頭数の決まり

フルゲートもよく使われる言い方で、JRAの規定では「出走可能頭数」と書く。出走可能頭数は、競馬場・コース・距離ごとに競馬番組の一般事項で決まっていて、競馬番組で特に定めたレースは、それとは別の頭数になる。

2026年度の主なGⅠの出走可能頭数は次のとおりだ。

GⅠ 出走可能頭数(2026年度)
日本ダービー 18頭
天皇賞(秋) 18頭
ジャパンカップ 18頭
ホープフルステークス 18頭
有馬記念 16頭

出馬投票の頭数がこの数以下なら、賞金ボーダーにあたるものはなく、投票した馬が全頭出走する。

GⅠ以外のレースは?前走の着順と出走間隔で決まるレースも

賞金の順で決まるのは、2歳・3歳のオープン競走と、3歳以上の重賞・リステッドで順位が並んだときだ。3歳以上のオープン競走(重賞・リステッドを除く)や、2勝・3勝クラスなどでは、収得賞金ではなく、前走の着順と出走間隔で順番が決まる。

クラス(3歳以上) 順位1 その次
オープン(重賞・リステッドを除く) 決められた期間に走った中央の平地のレースが前走で、3着以内の馬 出走間隔(前走からの期間)の長い馬
3勝クラス 決められた期間に走った中央の平地のレースが前走で、3着以内の馬 出走間隔の長い馬
2勝クラス 決められた期間に走った中央の平地のレースが前走で、5着以内の馬 出走間隔の長い馬

いずれも、地方や外国から移って最初に出走する馬の扱いや、下のクラスの馬の順番がその間に入る。同じ順位の馬が多いときは抽選だ。3歳以上の重賞とリステッドだけは、同じ順位で並んだときに抽選の前に出走馬決定賞金で比べる。

まとめ

賞金ボーダーは、出走の申し込みが出走可能頭数を超えたとき、賞金の順で出走できる最後の馬の賞金を指すよく使われる言い方で、JRAの規定の用語ではない。3歳以上の重賞では、収得賞金に過去1年の獲得分と過去2年のGⅠの獲得分を足した出走馬決定賞金で順番を比べ、同じ額なら抽選になる。2026年度の天皇賞(秋)とジャパンカップはレーティングの上位10頭、有馬記念はファン投票の上位10頭が先に決まり、2歳と3歳のGⅠは優先出走権のあとを収得賞金の順で埋める。出走できなかった馬には特別登録料が返される。

3歳のGⅠのトライアルと優先出走権は「クラシックとは」で一覧にしている。

ファン投票の日程と仕組みは「有馬記念とは」で詳しく解説している。

天皇賞(秋)の前哨戦と出走資格は「天皇賞(秋)とは」でまとめている。

よくある質問

賞金ボーダーとは?
出走の申し込みが出走できる頭数(フルゲート)を超えたレースで、賞金の順で出走できる最後の馬の賞金を指すよく使われる言い方で、JRAの規定の用語ではない。規定では、優先出走権などで決まる馬を除き、3歳以上の重賞は「出走馬決定賞金」、2歳・3歳のオープン競走は「収得賞金」の多い順に出走できる馬を決める。
GⅠの出走馬はどうやって決まる?
レースの種類で決め方が違う。2026年度の天皇賞(秋)とジャパンカップは、レーティングの上位10頭を先に決め、残りを優先出走権を持つ馬、出走馬決定賞金の多い馬の順で埋める。2歳と3歳のGⅠは、優先出走権のあとを収得賞金の多い順で決める。
賞金が同じ馬が並んだらどうなる?
抽選で決まる。3歳以上の重賞は、収得賞金に過去1年の獲得分などを足した出走馬決定賞金でまず比べ、それも同じ額なら抽選だ。2歳・3歳のオープン競走は、収得賞金が同じなら抽選になる。
除外になった馬はどうなる?
特別登録料が返される。2歳・3歳のオープン競走(重賞を除く)で出走できなかった馬は、条件を満たせば、2か月以内の次のオープン競走(重賞を除く)で優先出走が認められる。重賞で出走できなかった馬には、この優先はない。
GⅠのフルゲートは何頭?
規定の言葉では「出走可能頭数」で、レースごとに決まる。2026年度は天皇賞(秋)・ジャパンカップ・日本ダービー・ホープフルステークスが18頭、有馬記念が16頭だ。
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