競馬の税金はいくらから?馬券の払戻の計算と確定申告
この記事の要点
- 競馬の払戻金は原則として一時所得。年間の「払戻金−当たり馬券の購入費」から特別控除(最高50万円)を引いて計算する(2026年11月時点)
- 一時所得の合計が年間50万円までなら確定申告は要らない。給与を1か所から受ける会社員(給与収入2,000万円以下)は、2分の1にしたあとの金額で20万円を判定するので、ほかに所得がなければ90万円まで所得税の確定申告は原則不要。ただし医療費控除などで確定申告をするときは20万円以下の所得も合わせて申告が要り、住民税の申告が必要な場合もある
- 税金は「一時所得の金額×2分の1」を給与などと合わせて計算する。課税所得300万円の人が100万円の払戻(購入費1万円)を受けると、所得税と復興特別所得税は約2.5万円増える
- 一般の競馬愛好家は外れ馬券の購入費を引けない。最高裁が外れ馬券を必要経費と認めた2件は、独自の方法で長期間・大量に買い、毎年利益を上げていた事案で、長く大量に買うだけでは雑所得にならない

競馬の払戻金は原則として一時所得で、1年間の「払戻金−当たり馬券の購入費」が50万円までなら確定申告は要らない。給与を1か所から受けている会社員なら、給与以外に所得がなければ90万円までが目安だ(2026年11月時点)。本記事では、申告が要る金額の判定、税額の計算例、外れ馬券の扱いと最高裁の判決、確定申告のやり方を解説する。
競馬の払戻金に税金はかかる?(一時所得)
かかる場合がある。JRAは、馬券の払戻金は税法上、課税の対象になるケースがあり、確定申告を要する場合があるとしている。国税庁は、競馬の払戻金(営利を目的とする継続的行為から生じたものを除く)を一時所得の例に挙げている。国税庁の例示は「競馬」で、中央と地方を分けていない。
一時所得の金額は、次の式で計算する。
一時所得の金額 = 払戻金の年間受取額 − 的中した馬券の年間購入費 − 特別控除額(最高50万円)
計算で押さえるのは3つだ。
- 対象は1月1日から12月31日までの1年間の合計。1回の払戻ごとに50万円を引くのではない
- 引けるのは的中した馬券の購入費だけで、外れた馬券の購入費は引けない
- 懸賞の賞金や生命保険の満期返戻金など、ほかの一時所得がある年は、全部を合わせて計算する。特別控除も全部で最高50万円
ここでいう払戻金は、買った金額を含む戻り額だ。1回ごとの払戻金の出し方は「払戻金の計算方法」でまとめている。
いくらから申告が要る?
50万円の特別控除で、50万円までは申告が要らない
「払戻金−当たり馬券の購入費」の年間合計が50万円までなら、特別控除を引くと一時所得は0円になる。国税庁は、ほかの一時所得との合計が年間50万円を超えない限り、確定申告の必要はないとしている。
給与所得者の20万円は、2分の1にしたあとの金額で判定する
給与を1か所から受け、全部が源泉徴収の対象で、給与収入が2,000万円以下の人は、給与所得と退職所得以外の所得の合計が20万円を超えるときに確定申告が要る(確定申告をすれば税金が還付される人を除く)。
間違えやすいのが、一時所得のどの金額で20万円と比べるかだ。国税庁は、給与以外の所得が一時所得だけの場合、特別控除後の金額を2分の1にした金額が20万円を超えるかどうかで判断するとしている。だから、「払戻金−当たり馬券の購入費」で見た目安は70万円ではなく90万円になる。
| 払戻金−当たり馬券の購入費(年間) | 一時所得の金額(50万円を引く) | 2分の1にした金額 | 所得税の確定申告 |
|---|---|---|---|
| 50万円 | 0円 | 0円 | 要らない |
| 70万円 | 20万円 | 10万円 | 要らない |
| 90万円 | 40万円 | 20万円 | 要らない(20万円を超えていない) |
| 91万円 | 41万円 | 20.5万円 | 要る |
副業の雑所得などがあれば、2分の1にした一時所得と合わせて20万円と比べる。副業の所得が10万円あれば、2分の1にした一時所得が10万円を超えた時点で合計が20万円を超える。
この20万円の決まりは、確定申告を要しない場合を定めたものだ。国税庁は、確定申告をするときにも20万円以下の所得を申告しなくていいという決まりではなく、たとえば医療費控除の還付申告をするときは、給与所得だけでなく20万円以下の所得も合わせて申告する必要があるとしている。
立場ごとの目安
20万円以下という要件があるのは、下の表の給与所得者(給与収入が2,000万円以下の人)と公的年金等の受給者だ。それ以外の人には当てはまらない。国税庁のタックスアンサー(令和8年4月1日現在の法令)では次のようになっている。
| 立場 | 確定申告が要る場合 |
|---|---|
| 給与が1か所、全部が源泉徴収の対象 | 給与所得・退職所得以外の所得の合計が20万円超 |
| 給与が2か所以上、全部が源泉徴収の対象 | 年末調整されなかった給与の収入金額と、給与所得・退職所得以外の所得の合計が20万円超(給与収入から一定の所得控除を引いた額が150万円以下で、ほかの所得が20万円以下なら不要) |
| 給与収入が2,000万円超 | 払戻金の額にかかわらず要る |
| 公的年金等を受給 | 年金収入が400万円以下で全部が源泉徴収の対象、かつ年金以外の所得が20万円以下なら不要 |
| 上のどれにも当たらない人(給与のない人、個人事業主など) | 所得の合計が所得控除の合計を超え、その分の税額が配当控除額などを超える場合 |
不要になるのは所得税の確定申告で、住民税の申告が必要な場合がある。給与所得者を含めて、個別の扱いはお住まいの市区町村の窓口で確かめる。
税額の計算|課税所得300万円の会社員の例
一時所得は、その金額の2分の1をほかの所得と合計して税額を計算する。払戻金だけに別の税率がかかるのではなく、給与などと合わせた所得に税率をかける。
所得税の税率は次のとおり(国税庁の速算表。平成27年分以後のもので、2026年11月時点で変わっていない)。
| 課税される所得金額 | 税率 | 控除額 |
|---|---|---|
| 1,000円〜194万9,000円 | 5% | 0円 |
| 195万円〜329万9,000円 | 10% | 9万7,500円 |
| 330万円〜694万9,000円 | 20% | 42万7,500円 |
| 695万円〜899万9,000円 | 23% | 63万6,000円 |
| 900万円〜1,799万9,000円 | 33% | 153万6,000円 |
| 1,800万円〜3,999万9,000円 | 40% | 279万6,000円 |
| 4,000万円以上 | 45% | 479万6,000円 |
これに、基準所得税額の2.1%の復興特別所得税が加わる。令和8年度の税制改正で、2027年分(令和9年分)以後は復興特別所得税の税率が下がって防衛特別所得税ができるが、国税庁は合計の税率に変更はないとしている。
100万円の払戻を受けた場合
給与所得控除や所得控除を引いたあとの課税所得が300万円の会社員が、購入費1万円の馬券で100万円の払戻を受けた例で計算する。
- 一時所得の金額:100万円−1万円−50万円=49万円
- 課税の対象:49万円×2分の1=24万5,000円
- 課税所得:300万円+24万5,000円=324万5,000円
- 所得税:324万5,000円×10%−9万7,500円=22万7,000円(払戻がないときは20万2,500円なので、2万4,500円増える)
- 復興特別所得税:増える分は515円
合わせて2万5,015円、約2.5万円の増加になる。
払戻の額ごとの税額
同じ課税所得300万円の会社員で、払戻の額を変えて計算した。下の2段は、高額配当ランキングにある3連単とWIN5の歴代最高の払戻金(2026年10月25日時点)を、100円で当てた場合だ。
| 払戻金 | 当たり馬券の購入費 | 一時所得の金額 | 2分の1にした金額 | 合算後の税率 | 増える税額 |
|---|---|---|---|---|---|
| 60万円 | 1万円 | 9万円 | 4万5,000円 | - | 所得税の確定申告は原則不要 |
| 100万円 | 1万円 | 49万円 | 24万5,000円 | 10% | 約2.5万円 |
| 300万円 | 1万円 | 249万円 | 124万5,000円 | 20% | 約22.4万円 |
| 500万円 | 1万円 | 449万円 | 224万5,000円 | 20% | 約42.8万円 |
| 1,000万円 | 10万円 | 940万円 | 470万円 | 23% | 約95.2万円 |
| 5,836万7,060円 | 100円 | 5,786万6,960円 | 2,893万3,480円 | 40% | 約998万円 |
| 5億6,252万1,610円 | 100円 | 5億6,202万1,510円 | 2億8,101万755円 | 45% | 約1億2,538万円 |
増える税額は、所得税と復興特別所得税の合計。所得控除は変わらないものとして、課税所得の1,000円未満を切り捨てて計算した。この表は目安で、次の点で実際の額は変わる。
- 住民税は入っていない。住民税は別にかかる
- 所得が増えると基礎控除が減る(合計所得金額に応じて変わり、2,500万円を超えると0円)など、所得控除が変わると税額はさらに増える
- 表の「合算後の税率」は一番上の区分の率で、増えた所得の全部にその率がかかるわけではない
外れ馬券は経費になる?
一般の競馬愛好家は引けない
国税庁は、このあと説明する雑所得の条件に該当しない、いわゆる一般の競馬愛好家の払戻金は従来どおり一時所得に当たり、外れ馬券の購入費は必要経費として控除できないとしている。年間の収支がマイナスでも、この計算は変わらない。
たとえば1年間に馬券を300万円買い、当たり馬券(購入費1万円)で200万円の払戻を受けた場合、収支は100万円のマイナスだ。それでも一時所得の金額は200万円−1万円−50万円=149万円で、2分の1にすると74万5,000円になる。
最高裁が外れ馬券を必要経費と認めた2件
外れ馬券の購入代金を必要経費と認めた最高裁の判決に、次の2件がある。どちらも、払戻金を雑所得と判断した事案だ。
| 判決 | 馬券の買い方 | 利益 | 判断 |
|---|---|---|---|
| 平成27年3月10日 最高裁第三小法廷 | 市販の自動購入ソフトに独自の条件と計算式を設定し、中央競馬のほとんどのレースを数年以上、年10億円前後買い続けた | 平成19〜21年に約1億円、約2,600万円、約1,300万円 | 雑所得。外れ馬券の購入代金は必要経費 |
| 平成29年12月15日 最高裁第二小法廷 | 情報を自ら分析し、予想の確度と配当率の組合せで決めた購入パターンで、6年間、年3億〜21億円程度を買い続けた(平成21年は全3,453レースのうち2,445レース) | 6年間の各年で回収率100%超。年約1,800万円〜約2億円 | 雑所得。外れ馬券の購入代金は必要経費 |
最高裁は、営利を目的とする継続的行為から生じた所得かどうかは、行為の期間、回数、頻度その他の態様、利益発生の規模、期間その他の状況などを総合考慮して判断するとしている。
長く大量に買うだけでは雑所得にならない
買う量と回数が多くても、それだけでは雑所得にならない。国税庁は、東京高裁の平成28年9月29日の判決(平成29年12月20日に最高裁が上告を棄却)が、その事案の払戻金を一時所得とし、外れ馬券の購入費は必要経費に当たらないと判断したとしている。
国税庁が公表した判決の概要では、この事案の収支は年単位でいずれも多額の損失だった。購入した側の主張では、少なくとも3年間のほぼ全ての土日に買い、購入回数は年1,500〜2,000回、購入額や払戻額が合計で1億円を超える年もあった。高裁は、期間・回数・頻度に加えて馬券の選定方法なども考慮しなければ判断できないとし、選定の具体的な態様が明らかにならない以上、一連の購入を一体の経済活動の実態があるものとは見られないとした。
国税庁が雑所得とする場合
国税庁は平成30年に所得税基本通達34-1を改正した。国税庁の説明では、次のような買い方で、年間を通じての収支で多額の利益を上げ、期間全体の回収率が100%を超えるように買い続けてきたことが客観的に明らかな場合に、雑所得に当たると考えるとしている。
- 自動購入ソフトで定めた独自の条件設定と計算式に基づく、または予想の確度の高低と的中時の配当率の大小の組合せで定めた購入パターンに従う
- 偶然性の影響を減らすために、年間を通じてほぼ全てのレースで買うなど、年間の収支で利益が得られるように工夫しながら多数の馬券を買い続ける
この条件に該当しない人が、国税庁のいう一般の競馬愛好家だ。雑所得になると計算も変わる。
| 一時所得 | 雑所得 | |
|---|---|---|
| 引ける購入費 | 的中した馬券の分だけ | 最高裁の2件の事案では外れ馬券を含む全部 |
| 特別控除(最高50万円) | ある | ない |
| 2分の1にする計算 | ある | ない(全額をほかの所得と合計) |
雑所得の計算上の損失は、ほかの所得と損益通算できない。
確定申告のやり方と時期
申告の時期
確定申告の期間は、原則として払戻を受けた年の翌年2月16日から3月15日まで。2026年分なら2027年2月16日(火)から3月15日(月)までになる。税金の納付期限も、原則として3月15日だ。
申告の流れ
- 1年間の払戻金と、的中した馬券の購入費を合計する。計算に両方の金額が要るので、分かるものを手元に残しておく
- 国税庁ホームページの「確定申告書等作成コーナー」で、画面の案内に沿って金額を入力する
- 作成したデータをe-Taxで送るか、印刷して所轄の税務署に郵送などで提出する
- 税金を納める。税務署から納付書などは送られてこないので、振替納税、ダイレクト納付、インターネットバンキング、クレジットカード、スマホアプリ、コンビニ、現金のいずれかで納付する
期限を過ぎたら
期限内に申告するのを忘れた場合は、気づいたらできるだけ早く申告する(期限後申告)。納める税金のほかに無申告加算税と延滞税がかかることがある。税務署の調査の事前通知の前に自主的に申告したときの無申告加算税は5%で、事前通知や調査のあとになると率が上がる。
自分のケースで申告が要るか、どの所得に当たるかの個別の相談は、税務署か税理士にしてほしい。
まとめ
競馬の払戻金は原則として一時所得で、「払戻金−当たり馬券の購入費−50万円」が一時所得の金額になる。50万円までなら申告は要らない。給与を1か所から受ける会社員は2分の1にしたあとの金額で20万円を判定するので、給与以外に所得がなければ90万円までが目安だ。税額は2分の1を給与などと合算して計算し、住民税は別にかかる。一般の競馬愛好家は外れ馬券の購入費を引けないので、年間の収支がマイナスでも、当たりの額によっては申告が要る。申告の時期は翌年の2月16日から3月15日までだ。
よくある質問
- 競馬の税金はいくらからかかる?
- 1年間の「払戻金−当たり馬券の購入費」が50万円までなら、特別控除で一時所得は0円になり確定申告は要らない。ほかの一時所得がある場合は合計で考える。
- 会社員はいくら勝つと確定申告が要る?
- 給与を1か所から受けて全部が源泉徴収の対象で、給与収入が2,000万円以下なら、給与以外の所得の合計が20万円を超えるときに要る。一時所得は2分の1にしたあとの金額で判定するので、一時所得だけなら「払戻金−当たり馬券の購入費」が年間90万円までは所得税の確定申告が原則不要になる。ただし医療費控除などで確定申告をするときは20万円以下の所得も合わせて申告が要る。不要になるのは所得税の確定申告で、住民税の申告が必要な場合があるので、個別の扱いは市区町村に確かめる。
- 税金はいくらになる?
- 「(払戻金−当たり馬券の購入費−50万円)×2分の1」を給与などの所得に足して税率をかける。課税所得300万円の人が100万円の払戻(購入費1万円)を受けると、所得税と復興特別所得税は約2.5万円増え、住民税は別にかかる。
- 外れ馬券は経費になる?
- 一般の競馬愛好家はならない。国税庁が雑所得に当たるとしているのは、自動購入ソフトで定めた独自の条件設定と計算式、または予想の確度の高低と配当率の大小の組合せで定めた購入パターンに従い、偶然性の影響を減らすために年間を通じてほぼ全てのレースで買うなど、年間の収支で利益が得られるように工夫しながら多数の馬券を買い続け、年間の収支で多額の利益を上げ、期間全体の回収率が100%を超えるように買い続けてきたことが客観的に明らかな場合だ。これに該当しない一般の競馬愛好家の払戻金は一時所得で、外れ馬券の購入費は引けない。
- 確定申告はいつする?
- 原則として払戻を受けた年の翌年2月16日から3月15日まで。2026年分なら2027年2月16日から3月15日までで、税金の納付期限も原則3月15日になる。






