馬場状態とは?良・稍重・重・不良の違いと決まり方、クッション値・含水率の見方

この記事の要点
- 馬場状態は馬場の湿り具合を表す区分で、乾いた順に良・稍重・重・不良の4段階。芝とダートで別々に発表される
- 含水率の数値で自動的に決まるのではなく、馬場担当者が実際に馬場を踏んで、全体の状態から判断する
- クッション値は芝の反発力の数値で、8〜10が「標準」。含水率は試料に含まれる水分の割合で、芝は競馬場ごとに目安が違う
- JRAのホームページの「馬場情報」で、開催前日(金曜)の昼過ぎと、開催当日の9時30分頃に数値が出る(2026年10月時点)
馬場状態とは、レースを行う馬場の湿り具合を表す区分で、乾いた順に「良」「稍重(ややおも)」「重(おも)」「不良(ふりょう)」の4段階がある。JRAでは芝コースとダートコースのそれぞれに、この4段階のどれかが発表される。本記事では、4段階の違い、馬場状態の決まり方、芝とダートで何が違うのか、クッション値と含水率の意味と目安、そしてJRAのどこで、いつ見られるのかをまとめる。
馬場状態は4段階|良・稍重・重・不良の違い
いちばん水分が少なく乾いている状態が「良」で、水分が多くなるにつれて稍重、重、不良となる。重と不良をまとめて「道悪(みちわる)」と呼ぶこともある。
JRAは、馬場担当者が判断するときの基準を、芝とダートで別々に決めている。
| 馬場状態 | 芝コース | ダートコース |
|---|---|---|
| 良 | 踏みしめても、表面はほとんど変化しない | 表層の砂を握っても固まらない、または固まってもすぐに崩れる |
| 稍重 | 踏みしめても水は染み出ないが、表面がやや凹む | 踏みしめても水は染み出ないが、砂を握ると団子状に固まる |
| 重 | 表面に水は浮いていないが、踏みしめると水が染み出る | 表面に水は浮いていないが、踏みしめると水がにじみ出る |
| 不良 | 表面や足跡に水が浮いている | 表面や足跡に水が浮いている |
芝は「踏んだときに表面がどう変わるか」、ダートは「砂を握ったときに固まるか」が、良と稍重を分ける目安になっている。重と不良は、芝もダートも「水が染み出るか」「水が浮いているか」で分ける。
馬場状態の決まり方
数値ではなく、人が踏んで決める
馬場状態は、含水率などの数値で自動的に決まるものではない。広い馬場全体の状態をひとことで表すのが馬場状態で、坂の上と下、日当たりの違いなどで、同じ馬場でも場所によって水分は違う。
そのためJRAでは、馬場担当者が実際に馬場を歩いて踏み、上の表の基準で全体を総合的に判断して決めている。含水率は、そのときに参考にすることがある数値という位置づけだ。
開催中に変わることもある
雨が降り出したり、晴れて乾いたりすれば、馬場状態は開催の途中でも変わる。JRAでは複数の馬場担当者が各所で常に状況を確かめ、変化があればすぐに馬場状態の変更を発表できる体制をとっている。同じ日のレースでも、午前と午後で馬場状態が違うことがあるのはこのためだ。
芝とダートで何が変わるか
馬場のつくりが違う
芝とダートは、そもそも馬場の構造が違う。JRAが示している標準的な構造は次のとおりだ。
| 芝コース | ダートコース | |
|---|---|---|
| 表層 | 芝 | クッション砂(厚さ約9cm) |
| 上層路盤 | 山砂+土壌改良材(約20cm)、その下に山砂(約30cm) | 山砂(約20cm) |
| 下層路盤 | 砕石(約20cm) | 砕石(約20cm) |
芝の種類は、野芝にイタリアンライグラスを重ねて種をまく(オーバーシード)もの、野芝だけのもの、札幌・函館で使う洋芝3種混合の3通りがある。ダートのクッション砂は、全競馬場で青森県産の砂をベースにしている。
時計の出方も馬場で変わる
走破時計(タイム)は、馬場状態だけで決まるわけではない。後で触れるクッション値は、同じ良馬場でも芝の生育具合や路盤の締まり具合で値が変わる。
馬場状態の4段階は、あくまで「湿り具合」の区分だ。同じ良でも時計が出る日と出ない日がある。実際の時計の出方は、その日の前のレースの走破時計と、クッション値・含水率をあわせて見ると分かりやすい。
クッション値・含水率とは
クッション値は「芝の反発力」の数値
クッション値は、馬場のクッション性を数値で表したものだ。競走馬が着地したときの馬場の反発力を数値にしたもので、値が高いほど反発力が高い、つまり硬めの馬場ということになる。JRAが公表しているのは芝コースのクッション値だ。
測り方は、2.25kgの重りを45cmの高さから落とし、馬場に当たったときの衝撃を測る「クレッグハンマー」という器具を使う。1か所で4回続けて落とし、4回目の数値を使う。内柵から2〜3mの範囲で1地点につき5か所を測り、その平均がその地点のクッション値になる。測る地点は、ゴール前、4コーナー、その間の各ハロン地点だ。
JRAが示している目安は次のとおり(2026年10月時点)。
| クッション値 | 馬場表層のクッション性 | 馬場表層の水分状態 |
|---|---|---|
| 12以上 | 硬め | 乾燥気味 |
| 10〜12 | やや硬め | やや乾燥気味 |
| 8〜10 | 標準 | 標準 |
| 7〜8 | やや軟らかめ | やや湿潤気味 |
| 7以下 | 軟らかめ | 湿潤気味 |
JRAが2019年にイギリス、フランス、香港、オーストラリア、アメリカの主要な競馬場を測ったところ、クッション値はおおむね7〜10の範囲だった。
クッション値には、次の傾向もある。
- 馬場の表層の含水率が高いほど、クッション値は低くなる傾向がある
- 札幌・函館の洋芝は、根が密集したマット層がクッションになり水分も多く含むため、野芝の競馬場よりクッション値が低くなる傾向がある
- 路盤は馬の走行や作業車で少しずつ締め固められるため、JRAは開催前に「エアレーション」(芝に小さな穴を開ける作業)や「シャタリング」(回転刃で切り込みを入れてほぐす作業)でクッション性を保っている
含水率は「どれだけ湿っているか」の数値
含水率は、馬場から採った試料に含まれる水分の割合を、重さを基準に百分率(%)で表したものだ。含水率15%なら、100gの試料に15gの水分が含まれていることになる。数値が大きいほど湿っている。
試料は内柵から1mの場所で採る。芝コースは芝の下の路盤砂(芝の根・葉・茎は取り除く)、ダートコースは表層のクッション砂をそのまま使い、赤外線水分計で測る。芝の含水率は、表面ではなく少し下の層の水分を測っていることになる。公表されるのは、ゴール前と4コーナーの2か所の数値だ。
芝の含水率は競馬場ごとに目安が違う
芝コースは、競馬場ごとに路盤の砂や土壌改良材が違う。そのため、同じ含水率でも、競馬場によって馬場状態との関係が違う。たとえば東京競馬場は、他の競馬場より多くの堆肥を路盤に混ぜているため、良馬場でも含水率が高めに出る。
JRAが、これまでの馬場状態と含水率のおおよその関係を整理した目安は次のとおり(単位は%、2026年10月時点)。
| 競馬場 | 良 | 稍重 | 重 | 不良 |
|---|---|---|---|---|
| 札幌・函館 | 15以下 | 14〜18 | 17〜21 | 20以上 |
| 福島・新潟 | 15以下 | 13〜17 | 15〜19 | 17以上 |
| 中山 | 13以下 | 11〜15 | 14〜18 | 17以上 |
| 東京 | 19以下 | 17〜21 | 18〜23 | 20以上 |
| 中京 | 14以下 | 12〜16 | 14〜17 | 16以上 |
| 京都 | 13以下 | 11〜14 | 13〜16 | 14以上 |
| 阪神 | 14以下 | 12〜16 | 14〜18 | 16以上 |
| 小倉 | 10以下 | 8〜12 | 10〜14 | 12以上 |
ダートコースは、表層のクッション砂の性質に大きな違いがないため、全競馬場で同じ目安になっている。
| コース | 良 | 稍重 | 重 | 不良 |
|---|---|---|---|---|
| ダート(全場) | 9以下 | 7〜13 | 11〜16 | 14以上 |
目安の範囲が重なっているのは、馬場状態が含水率だけでは決まらないからだ。測る場所や天気によっては、この範囲から外れることもある。
馬場状態はどこで見られる?発表のタイミング
JRAの「馬場情報」で見る
馬場状態、クッション値、含水率は、JRAのホームページの「競馬メニュー」にある「馬場情報」で見られる。開催中の競馬場ごとに、次の情報が並ぶ。
- 芝・ダートの馬場状態と天候(「◯月◯日正午現在」のように時点つき)
- 芝のクッション値と測定時刻
- 芝・ダートの含水率(ゴール前・4コーナー)と、その競馬場の目安の表
- 週間の天候、雨量、芝コースの散水の有無
- 芝丈、使っているコース(Aコースなど)、芝の傷み具合と写真
過去の含水率とクッション値は、同じ「馬場情報」から、開催ごとのPDFで見られる。
発表のタイミング
含水率とクッション値の公表の時刻は次のとおり(2026年10月時点)。
| 日 | 含水率の測定 | クッション値の測定 | 公表 |
|---|---|---|---|
| 開催前日(金曜) | 原則として午前中 | 決まった時刻はない | 昼過ぎ |
| 開催当日(土曜・日曜) | 原則として早朝 | 決まった時刻はない | おおむね9時30分頃 |
クッション値を測る時刻は、競馬場の調教の時間や天気で変わるため、公表する数値と一緒に書かれる。馬場状態は、変化があればその都度発表される。前日の数値は、当日朝までの天気で変わることがあるため、馬券を買う前には当日朝の数値を見ておきたい。
菊花賞2026の京都競馬場の馬場がどうなっているかは、「菊花賞2026の馬場状態と天気」の記事にまとめている。
まとめ
馬場状態は、良・稍重・重・不良の4段階で馬場の湿り具合を表す区分で、芝とダートで別々に発表される。数値で機械的に決まるのではなく、馬場担当者が実際に踏んで判断する。クッション値は芝の反発力、含水率は湿り具合の数値で、芝の含水率は競馬場ごとに目安が違う。どちらも、JRAの「馬場情報」で、開催前日の昼過ぎと当日の9時30分頃に確かめられる。
よくある質問
- 稍重(ややおも)とはどんな馬場?
- 良より水分を含んだ状態。芝は踏むと表面がやや凹むが水は染み出ない状態、ダートは砂を握ると団子状に固まる状態をいう。
- 重と不良の違いは?
- 重は表面に水は浮いていないが、踏むと水が染み出る状態。不良は表面や足跡に水が浮いている状態で、4段階でいちばん湿っている。
- 馬場状態は含水率で決まる?
- 決まらない。馬場担当者が実際に馬場を歩いて踏み、全体の状態を総合的に判断する。含水率はそのときの参考にすることがある数値だ。
- クッション値はいくつが標準?
- JRAの目安では8〜10が「標準」。12以上は「硬め」、7以下は「軟らかめ」とされる。クッション値は芝コースの数値だ。
- 馬場状態やクッション値はどこで、いつ見られる?
- JRAのホームページの「馬場情報」で見られる。含水率とクッション値は、開催前日(金曜)の昼過ぎと、開催当日の9時30分頃に公表される(2026年10月時点)。





