コラム

脚質とは?逃げ・先行・差し・追込の違いと通過順位での見分け方

脚質とは?逃げ・先行・差し・追込の違いと通過順位での見分け方

この記事の要点

  • 脚質は、その馬が得意なレースの運び方のこと。主に逃げ・先行・差し・追込(追い込み)の4つに分ける
  • 違いは道中の位置取りで、前から逃げ(先頭)、先行(先頭集団)、差し(中団)、追込(後方)の順になる
  • 脚質は、JRAのレース結果の「コーナー通過順位」で道中の位置を、「推定上り」で最後の600mの速さを見ると分かる
  • どの脚質が有利かは決まっていない。前半のペースが速ければ差し・追込、遅ければ逃げ・先行が残りやすく、直線の長さなどコースでも変わる
目次
  1. 脚質とは
  2. 逃げ・先行・差し・追込の違い
  3. ほかの言い方|自在・マクリ・ハナを切る
  4. 脚質はどこで分かる?通過順位と上がり3Fの読み方
  5. 有利な脚質はペースとコースで変わる
  6. まとめ

脚質(きゃくしつ)とは、逃げ・先行・差し・追込(追い込み)など、その馬が得意なレースの運び方のことだ。道中どの位置にいて、どこからスパートするかで分ける。本記事では、4つの脚質の違い、「自在」「マクリ」などのほかの言い方、JRAのレース結果で脚質を見分ける方法、そして有利な脚質がペースとコースで変わる仕組みを順にまとめる。

脚質とは

競馬のレースでは、スタートからゴールまで全力で走り続ける馬はいない。どこかで力をため、どこかで使う。その使い方の型が脚質だ。

スタートから前に行って、そのまま粘り込むのが得意な馬もいれば、道中は後ろで脚をため、最後の直線で一気に伸びる馬もいる。予想や展開の記事で「この馬は逃げ」「差し馬が多い」と書かれているのは、各馬のこの型のことを言っている。

脚質は、馬の気性やスピードの質、騎手の考えなどで決まる。いつも同じ型で走る馬もいれば、レースによって位置を変える馬もいる。

逃げ・先行・差し・追込の違い

脚質は、道中の位置取りで大きく4つに分ける。前から順に、逃げ、先行、差し、追込だ。

脚質 道中の位置取り レースの運び方 向く展開
逃げ 先頭 スタートから先頭に立ち、そのままゴールまで粘る 前半のペースが落ち着き、余力を残して直線に向けるとき
先行 先頭集団(逃げ馬のすぐ後ろ) 前の位置で流れに乗り、直線で逃げ馬を捕まえて後ろを抑える 前半のペースが落ち着き、後ろの馬が届きにくいとき
差し 中団 中団で脚をため、最後のコーナーから直線で前の馬を抜きに行く 前半のペースが速く、前の馬が最後に止まるとき
追込 後方 最後方近くで脚をため、直線で一気に追い込む 前半のペースが速く、前の馬がそろって止まるとき

逃げ

ほかの馬を前に行かせず、最初から先頭でレースを運ぶ。前に馬がいないので、進路をふさがれたり、ほかの馬に囲まれたりする心配がない。その代わり、道中ずっと先頭で風を受け、後ろの全馬から目標にされる。自分でペースを作れるのが強みで、ほかに逃げたい馬がいなければ、ゆったりしたペースに落として最後の力を残せる。

先行

逃げ馬のすぐ後ろの先頭集団につける。前の位置にいるので、後ろの馬より短い距離で勝負できる。直線では逃げ馬を捕まえに行き、同時に後ろから来る馬に抜かれないように粘る。

差し

道中は中団で待ち、最後のコーナーから直線で前にいる馬を抜きにかかる。前の馬の動きを見ながら脚をため、最後に速い脚を使う。直線で前が壁になると、進路を探すあいだに勢いを失うこともある。

追込(追い込み)

道中は後方で脚をため、直線だけで勝負する。最後の伸びは4つの中でいちばん速くなりやすいが、前との差が大きいぶん、前の馬が止まらなければ届かない。直線で外に持ち出すことが多く、そのぶん走る距離も長くなる。

ほかの言い方|自在・マクリ・ハナを切る

予想や展開の記事では、4つの脚質のほかに、次の言い方もよく出てくる。

言葉 意味
自在 逃げ・先行・差しなど、レースの流れに合わせてどの位置からでも運べること。そういう馬を自在型という
ハナを切る 先頭に立つこと。「ハナを主張する」は先頭に立とうとすること
番手 先頭から数えた順位。「2番手」は逃げ馬のすぐ後ろ
好位(こうい) 先頭集団の中でも、前を射程に入れた位置。そこから差す形を「好位差し」という
中団 馬群のまん中あたりの位置
マクリ(まくる) 後方や中団にいた馬が、向正面から3コーナーあたりで一気に位置を上げ、前の馬に並びかけること
前残り 逃げ・先行の馬が、そのまま上位に残ること

「息を入れる」「脚をためる」「末脚(すえあし)」など、展開の記事に出てくるほかの言葉は、競馬用語の一覧の「レース展開・脚質の言葉」にまとめている。

脚質はどこで分かる?通過順位と上がり3Fの読み方

JRAのレース結果で見る2つの数字

脚質は、JRAのレース結果のページで確かめられる。見るのは次の2つだ。

  • コーナー通過順位: 各コーナーを、どの馬がどの順番で通ったか。馬番が、先頭の馬から順に左から並ぶ
  • 推定上り: 各馬の上がり3F、つまり最後の3ハロン(600m)のタイム。ゴール前の伸びの速さが分かる

通過順位で道中の位置が、推定上りで最後の速さが分かる。前にいて上がり3Fがそれなりなら逃げ・先行、後ろにいて上がり3Fが速ければ差し・追込という見方ができる。

実例|2017年 有馬記念(中山・芝2500m)

キタサンブラックが勝った2017年の有馬記念(16頭立て、芝は良)で読んでみる。結果ページの1コーナーの通過順位は次のとおりだ。

2 (1,7)(3,15)(6,5)(9,10)(4,12,14)(8,13)16,11

いちばん左の「2」が先頭で、馬番2のキタサンブラック。いちばん右の「11」が最後方で、馬番11のルージュバックだ。かっこは横に並んでいた馬を表す。まずは数字の並び順だけ読めば、どの馬がどのあたりにいたかが分かる。

上位の馬と、最後方にいたルージュバックを、4つのコーナーと推定上りで並べると次のようになる。

着順 馬名(馬番) 1コーナー 2コーナー 3コーナー 4コーナー 推定上り
1着 キタサンブラック(2) 1番手 1番手 1〜2番手 1〜2番手 35.2
2着 クイーンズリング(3) 4〜5番手 5番手 5番手 3〜5番手 35.1
3着 シュヴァルグラン(10) 8〜9番手 8〜9番手 8〜9番手 8〜10番手 34.8
4着 スワーヴリチャード(14) 10〜12番手 12〜13番手 10〜12番手 8〜10番手 34.5
5着 ルージュバック(11) 16番手 16番手 16番手 16番手 34.3

キタサンブラックは、1コーナーから先頭でレースを進めた。このレースでは逃げだ。上がり3Fの35.2は、16頭のうち速いほうから数えて8番目だが、1〜2番手で直線に向いたぶんの貯金で押し切った。

2着のクイーンズリングは、ずっと5番手前後にいた先行だ。一方、ルージュバックは4コーナーまで最後方で、上がり3Fの34.3は16頭でいちばん速かった。最後方からメンバー最速の上がり3Fで5着まで追い込んだ、典型的な追込の形だ。

実例|2017年 日本ダービー(東京・芝2400m)のマクリ

通過順位を見ると、マクリも読み取れる。レイデオロが勝った2017年の日本ダービー(18頭立て、芝は良)で、馬番12のレイデオロは、2コーナーでは14番手だった。それが3コーナーでは2番手に上がり、4コーナーも1〜2番手で回って、そのまま勝った。

後方の馬が向正面で一気に位置を上げるのがマクリで、2コーナーと3コーナーの通過順位の差にそれが出ている。このように、同じ馬でも1つのレースの中で位置は大きく変わる。脚質は1走だけで決めず、過去のレースを何走か並べて、いつもどのあたりにいるかを見るといい。

有利な脚質はペースとコースで変わる

ペースが速いと差し・追込、遅いと逃げ・先行

どの脚質が有利かは決まっていない。いちばん大きく関わるのは、前半のペースだ。

前半のペースが速い(ハイペース)と、前にいる逃げ・先行の馬は、序盤から速く走ったぶん最後に脚が残りにくい。後ろで脚をためていた差し・追込の馬は、止まった前の馬をかわしやすくなる。

前半のペースが遅い(スローペース)と、前の馬も余力を残したまま直線に向く。そうなると、前との差を詰めなければならない後ろの馬は届きにくく、逃げ・先行がそのまま残りやすい。いわゆる「前残り」だ。

ペースは、出走する馬の顔ぶれで変わる。逃げたい馬が何頭もいれば、先頭争いで前半が速くなりやすい。逃げ馬が1頭だけなら、その馬がペースを落としやすい。予想の記事で「逃げ馬は何頭か」「ペースはどうなりそうか」を気にするのはこのためだ。

コースと馬場でも変わる

コースの形も関わる。直線が長いコースは、後ろの馬が前との差を詰める時間がある。直線が短いコースやコーナーの多いコースは、後ろの馬が追い上げる距離が足りなくなりやすく、外を回ると走る距離も延びる。

馬場の状態でも変わる。開催が進んで内側の芝が傷むと、内を通る前の馬が走りにくくなることがあり、雨で馬場が重くなれば、時計のかかり方も変わる。馬場状態の見方は、馬場状態の記事にまとめている。

予想するときは、その馬の脚質だけを見るのではなく、出走する馬の脚質の並び、コース、馬場をあわせて、どんな展開になりそうかを考えることになる。

まとめ

脚質は、その馬が得意なレースの運び方で、道中の位置取りで前から逃げ・先行・差し・追込の4つに分ける。JRAのレース結果のコーナー通過順位で道中の位置を、上がり3F(推定上り)で最後の速さを見れば、それぞれの馬の脚質が分かる。どの脚質が有利かは、前半のペース、コース、馬場で変わる。

競馬をこれから始める人は、競馬の始め方から読むと流れがつかみやすい。

よくある質問

脚質とは?
逃げ・先行・差し・追込など、その馬が得意なレースの運び方のこと。道中どの位置にいて、どこからスパートするかで分ける。
差しと追込(追い込み)の違いは?
道中の位置が違う。差しは中団から、追込は後方から、直線で前の馬をかわしに行く。
先行馬とは?
逃げ馬のすぐ後ろ、先頭集団につけてレースを進める馬のこと。直線で前の馬を捕まえ、後ろの馬に抜かれずに粘る形が多い。
脚質はどこで分かる?
JRAのレース結果のコーナー通過順位で、各コーナーを何番手で通ったかが分かる。過去のレースを何走か並べると、その馬がふだんどの位置にいるかが見えてくる。
いちばん有利な脚質は?
決まっていない。前半のペースが速いと前の馬が最後に脚を残せず差し・追込が届きやすく、遅いと逃げ・先行が残りやすい。直線の長さなどコースによっても変わる。

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