馬券の買い方・入門

一口馬主とは|いくらから始められる?費用・配当のしくみとクラブの比べ方

この記事の要点

  • 一口馬主は、愛馬会法人と匿名組合契約を結んで募集馬に出資し、馬主として馬を走らせるクラブ法人から、賞金などの分配を受けるしくみ。会員本人は馬主にならない
  • 1口の価格は、確かめた6クラブの2026年度の1歳募集馬では8,000円(DMMバヌーシー)から。ほかに入会金(0〜22,000円)、月会費(1,650〜3,300円など)、維持費出資金、保険料出資金がかかる(2026年11月時点)
  • 分配金は出資返戻金と利益分配金に分けられ、利益分配金は雑所得として20.42%が源泉徴収される。馬券の払戻(原則一時所得)とは扱いが違う
  • 元本の保証はなく、デビューせずに引退することもある。クーリングオフがない、または一部の期間しか使えないクラブが多い
一口馬主とは|いくらから始められる?費用・配当のしくみとクラブの比べ方
目次
  1. 一口馬主とは?クラブ法人と愛馬会法人のしくみ
  2. 一口馬主はいくらから始められる?
  3. 配当(分配金)のしくみと税金
  4. 一口馬主のリスク
  5. クラブの比べ方|入会金・月会費・口数
  6. 個人馬主との違い
  7. まとめ

一口馬主とは、クラブが募集する競走馬に1口単位で出資し、その馬が得た賞金などの分配を受けるしくみだ。1口の価格は馬ごとに違い、確かめた6クラブの2026年度の1歳募集馬では8,000円(DMMバヌーシー)からあるが、入会金や月会費、毎月の維持費も払い続ける(2026年11月時点)。元本の保証はなく、運用が始まったあとにデビューせずに引退すれば出資の多くは戻らない。本記事では、一口馬主のしくみ、始めるのに要る費用、分配金と税金、リスク、主なクラブの会費と口数を整理する。

一口馬主とは?クラブ法人と愛馬会法人のしくみ

一口馬主のクラブは、2つの会社が組になっている。会員からお金を集める「愛馬会法人」と、馬主登録を受けてレースに馬を出す「クラブ法人」だ。

立場 役割 例(2026年11月時点)
会員 愛馬会法人と匿名組合契約を結び、募集馬に出資する -
愛馬会法人 出資を受けて馬を手に入れ、クラブ法人に現物出資する。会員に分配金を払う 有限会社シルク・ホースクラブ、株式会社キャロットクラブなど
クラブ法人 JRA・NARの馬主として馬を調教師に預け、レースに出す 有限会社シルクレーシング、有限会社キャロットファームなど

お金の流れは、会員 → 愛馬会法人 → クラブ法人で、賞金はその逆向きに会員まで戻ってくる。会員と愛馬会法人の契約は、商法第535条に定める匿名組合契約だ。匿名組合員は営業者に出資して運用を任せ、利益の分配を受ける。各クラブはこの出資を「競走用馬ファンド」と呼んでいる。愛馬会法人の有限会社シルク・ホースクラブは、金融商品取引業の登録(関東財務局長(金商)第1601号)を受けている。

JRAの側から見ると、クラブ法人は「クラブ法人馬主登録」という区分で審査を受ける。JRAの審査基準では、事業の目的に競走用馬投資関連業務を入れていること、資本金か出資の総額が1,000万円以上あること、1対1で対応する愛馬会法人があることなどを見る。募集頭数や馬の預託先を書いた事業計画が、出資会員の保護に重大な支障をきたすおそれがないかも審査の対象だ。

会員は出資者であって馬主ではないので、できることに限りがある。ユニオンオーナーズクラブは、会員が出走レースを決めることはできず、調教師や騎手と接触することや、JRAなどの厩舎地区に立ち入ることもできないとしている。ユニオン、キャロット、DMMバヌーシーは、20歳未満は入会・利用できないと定めている。

一口馬主はいくらから始められる?

かかる費用の種類

一口馬主の費用は、最初に払うものと、馬が走っている間ずっと払うものに分かれる。主なクラブの案内に出てくる項目は次のとおりだ。

費用 内容 いつ払うか
入会金 クラブに入るときの費用。0円〜22,000円(下の比べ方の表) 入会時
競走馬出資金 馬代金を口数で割った額。一括払いと分割払いがある 出資時(分割なら数か月に分けて)
月会費 クラブの運営費。会員1人あたりの定額が多い 毎月
維持費出資金 育成費、厩舎の預託料、登録料、治療費、輸送費など 多くは2歳の1月から引退まで毎月(ラフィアンは1歳12月分から、DMMバヌーシーは運用開始月から)
保険料出資金 競走馬保険(死亡保険が中心)の保険料 年1回
そのほか 海外遠征の費用、重賞やGⅠを勝ったときの祝賀会の費用など 該当したとき

入会金と月会費を除き、会員が払うお金は出資金として扱われる。維持費出資金は、馬の飼育にかかる費用を口数で分けるもので、デビュー前の1歳の秋に出資しても、2歳の1月からは毎月かかる。

1口の価格はいくら?

1口の価格は「1頭の募集価格÷口数」で、2026年度募集の公式の数字では次の幅がある。

クラブ 1頭の募集価格 1口の価格
ユニオンオーナーズクラブ 600万〜8,800万円 20,000〜120,000円
キャロットクラブ 1,600万〜1億2,000万円 4万〜30万円
ラフィアンターフマンクラブ 1,400万〜1億円 14万〜100万円
シルク・ホースクラブ 2,000万〜3億円 4万〜60万円
ノルマンディーオーナーズクラブ 760万〜8,000万円 19,000〜90,000円
DMMバヌーシー 800万〜1億5,000万円 8,000〜50,000円

※ユニオンはPEGASUS2026(2026年度1歳募集馬)の募集要項、キャロットは2026年1歳馬の募集馬一覧(94頭)、ラフィアンは2026年度の募集概要(1頭100口)、シルクは2026年1歳募集馬(82頭)、ノルマンディーは2026年11月2日現在の1歳(39頭)、DMMバヌーシーは募集馬一覧に出ていた2025年生まれの20頭から。いずれも2026年11月時点

同じ募集価格でも、口数が多いほど1口は安くなる。そのぶん、1口あたりの維持費と分配金も小さくなる。競走馬そのものの値段の相場は、セリの落札価格を並べたセレクトセールの最高額ランキングで見られる。

最初の出資と2歳の1年にかかる額の例

ユニオンオーナーズクラブの2026年度の決まりで、募集価格1,000万円・200口(1口5万円)の馬に1口出資した場合の、最初の出資と2歳の1年(2027年)にかかる額を計算した。ユニオンの維持費出資金は、JRAに入る予定の馬なら1頭月60万円を口数で割った額で、保険料出資金は競走馬出資金の3.0%だ。

費用 計算 金額
競走馬出資金 1,000万円÷200口 50,000円
入会金 - 22,000円
月会費(2歳の1年分) 3,300円×12か月 39,600円
維持費出資金(2歳の1年分) 60万円÷200口×12か月 36,000円
保険料出資金(2歳の1年分) 50,000円×3.0% 1,500円
合計 - 149,100円

※募集価格1,000万円・200口は計算のための例で、ユニオンの200口の馬の募集価格は900万〜2,000万円。維持費出資金は2歳1月分から引退する月の分までかかる。保険料出資金は、2歳の1年分を1歳10月分として払う義務が出る

月会費は入会した月の分からかかるので、1歳のうちに入会すると、入会月から1歳12月までの月会費が上の表とは別にかかる。2026年7月に入会したなら、7〜12月の6か月で19,800円だ。

1口5万円の馬でも、2歳の1年で月会費と維持費、保険料だけで77,100円かかる計算になる。3歳以降も走り続ける限り、毎年同じくらいの額が出ていく。月会費は会員1人あたりの定額なので、何頭に出資しても変わらない。

配当(分配金)のしくみと税金

賞金から何が引かれるか

馬が賞金を得ると、そこから費用を引いた残りが口数に応じて分配される。シルク・ホースクラブの公式の説明では、次のものが引かれる。

引かれるもの 計算(シルク・ホースクラブ、2026年11月時点)
進上金(調教師・騎手・厩務員へ) 総賞金(付加賞と特別出走手当を除く)の20%(障害は22%)に、付加賞の5%(障害は7%)を加えた額
JRAの源泉所得税 賞金が75万円を超えたとき、(賞金−(賞金×0.2+60万円))×10.21%
消費税 (賞金−進上金)×10/110
営業者報酬(クラブ法人の手数料) 総賞金(特別出走手当を除く)の3%

手数料の率はクラブで違い、ラフィアンターフマンクラブのクラブ法人営業手数料は賞金の2%(重賞は4%)だ。

この式で、1着本賞金1,000万円を500口の馬で得た場合を計算した(付加賞・特別出走手当・奨励賞は除く)。引かれる額は進上金200万円、消費税約72.7万円、営業者報酬30万円、JRAの源泉所得税約75.6万円になる。月次の分配対象は約621.7万円で、1口あたり約12,400円だ。JRAの源泉所得税の分は、のちの年次分配で1口約1,500円が戻る。会員への源泉徴収の前の段階で、月次の分配対象は賞金の約62%(6割強)、年次分配の戻りを足して約7割だ。クラス別の賞金の額と進上金の割合は競馬の賞金のしくみでまとめている。

分配は月次・年次・引退精算の3つ

分配の時期は、シルクやユニオンでは3つに分かれている。

分配 中身
月次分配 出走した月の賞金などを、翌月に分配する
年次分配 月次分配のときに引かれた源泉所得税を、1年分まとめて翌年に分配する
引退精算分配 引退するときの抹消給付金、売却代金、保険金、残った維持費などを分配する

ラフィアンターフマンクラブの年次分配で戻るのは、月次分配で引かれたクラブ法人源泉所得税だ。

キャロットクラブでは、牝馬は6歳3月末が引退の期限で、引退時は競走成績にかかわらず、提供牧場などが募集価格の10%相当額で買い戻す特約がある。

分配金は「出資返戻金」と「利益分配金」に分かれる

分配金は全額が利益として扱われるわけではない。分配のたびに、それまでに出したお金を返す分(出資返戻金)と、それを超える利益の分(利益分配金)に分けて計算する。

出資返戻金として返せる上限は、馬の帳簿上の価値の目減り(減価償却)や、払った維持費・保険料などから決まる。競走馬の減価償却は2歳4月から4年(48か月)で、ユニオン、シルク、キャロットとも同じ考え方で計算している。

源泉徴収がかかるのは利益分配金だけで、税率は20.42%(復興特別所得税を含む)だ。クラブ法人から愛馬会法人へ分配するときと、愛馬会法人から会員へ分配するときの2回かかり、会員が払った税として扱われるのは後者になる。前者とJRAの源泉所得税は、年次分配で会員に戻る(シルク・ユニオン)。

税金は雑所得で、馬券とは扱いが違う

ユニオンとDMMバヌーシーの説明では、匿名組合契約にもとづく利益分配金は雑所得で、給与などのほかの所得と合わせて税額を計算する総合課税になる。源泉徴収された20.42%は、確定申告で精算する。

馬券の払戻 一口馬主の利益分配金
所得の区分 原則として一時所得 雑所得
特別控除(最高50万円) ある ない
2分の1にする計算 ある ない
源泉徴収 ない 20.42%

給与を1か所から受けている会社員は、利益分配金(雑所得の金額)を含む給与以外の所得の合計が20万円を超えると確定申告が要る。この判定のしかたは競馬の税金と同じで、馬券の一時所得がある年は、2分の1にしたあとの一時所得と利益分配金(雑所得の金額)を合わせて20万円と比べる。

損失の扱いにも決まりがある。DMMバヌーシーの説明では、出資馬の損失は匿名組合契約が終わるまで計上されず、ほかの出資馬の収入とは差し引けない。契約が終わったときに出た損失は、雑所得の中でだけ差し引ける。

一口馬主のリスク

一口馬主の出資は、元本の保証がない金融商品だ。各クラブの契約前の書面に出てくる主なリスクは次のとおり。

  • デビューせずに引退することがあり、出走しても出資元本を上回る賞金を得られないことがある
  • 2歳の1月に運用が始まったあとは、死亡や故障で走れなくなっても、競走馬出資金の全額を払う義務がある(キャロットクラブ)。ユニオンは2歳1月1日以降、競走馬出資金などを一切返金しない
  • 中途解約をすると返還金はなく、出資馬の権利がなくなる(キャロットクラブ)
  • 出資の権利は相続などを除いて人に譲れない
  • 愛馬会法人やクラブ法人の業務・財産の状況が悪くなると、分配金が払われなくなるおそれがある(キャロットクラブ)
  • 月々の費用を払わないと権利を失う。キャロットクラブは翌月15日までに払わないと強制退会になり、出資に関わる権利がなくなる。DMMバヌーシーは維持費出資金と会費が2か月未払いになると、持分を無償で引き継がれる

競走用馬ファンドは金融商品取引法の書面による解除(クーリングオフ)の適用を受けないため、キャロット、ラフィアン、DMMバヌーシーはクーリングオフがないと明示している。ユニオンは出資の申込みから7日以内なら解除できるが、1次受付期間と2歳5月の申込みは対象外だ。

保険も万能ではない。ラフィアンが入るのは死亡保険で、能力を失うほどの故障でも馬が生きていれば保険金は出ない。キャロットやユニオンは、死亡保険に競走能力喪失や未出走での引退の特約を付けていて、保険加入額の20%などが支払われる。

クラブの比べ方|入会金・月会費・口数

主なクラブの会費と口数を、公式の数字だけで並べた。どれも2026年度募集の決まりで、2026年11月時点のものだ。

クラブ(愛馬会法人) 入会金 月会費 1頭の口数 維持費出資金
キャロットクラブ 22,000円 3,300円 400口(地方入厩予定馬は100口) 実費
シルク・ホースクラブ 22,000円 3,300円 記載なし(2026年1歳募集馬82頭は、総額÷1口の価格がすべて500) 実費
ユニオンオーナーズクラブ 22,000円 3,300円 100〜800口(馬ごと) 1頭月60万円(NARは50万円)を口数で割る
ラフィアンターフマンクラブ 10,000円 3,000円 100口 初回に1頭80万円を預け、以後は実費
ノルマンディーオーナーズクラブ 11,000円 1,650円 300〜1,000口(馬ごと。2026年11月2日現在の1歳39頭のうち29頭が400口) 初回に1頭70万円を預け、以後は不足分
DMMバヌーシー 0円 1口880円(上限3,520円) 400〜40,000口(馬ごと) 口数ごとの定額(400口なら1口月1,750円)

※月会費は税込で、DMMバヌーシー以外は会員1人あたりの額。ノルマンディーの1,650円は2023年産以降の募集馬に出資した会員の額。DMMバヌーシーは、運用開始の前月までは維持費がかからない。保険料の率は、シルク・ユニオン・ラフィアンが3.0%、ノルマンディーが3.2%の予定で、何に率をかけるか(募集価格の何%を保険に入れるか)はクラブで違う

比べるときは、次の点を見ると違いが分かる。

  • 何頭も持つか:月会費が会員1人あたりの定額なら、頭数を増やしても会費は変わらない。DMMバヌーシーは1口ごとにかかり、4口分が上限だ
  • 口数:口数が多いと1口は安いが、1口あたりの分配も小さい。100口の馬の1口は、500口の馬の1口の5倍の持分になる
  • 維持費の出し方:実費か定額か、初回にまとめて預けるかで、月々の請求額の動き方が変わる
  • 募集の受け方:人気の馬は抽選や出資実績の順で決まる。キャロットは2026年度から、新規入会の受付を第2次募集の期間に限った

会費や口数の決まりは年度ごとに変わる。出資を決める前に、そのクラブの募集要項と契約前の書面(会員規約)で確かめておきたい。

個人馬主との違い

一口馬主と個人馬主のいちばんの違いは、誰が馬主かだ。個人馬主は自分がJRAやNARの登録を受け、所得や資産の基準と審査を通る必要がある。一口馬主は馬主がクラブ法人なので、会員には基準も審査もない。

その代わり、一口馬主の会員は出資者で、馬の使い方を決める立場にない。個人馬主が馬の代金と預託料を一人で負担するのに対し、一口馬主はそれを口数で分け合う。個人馬主の条件や、法人・組合・共有での持ち方は馬主になるにはで整理している。

まとめ

一口馬主は、愛馬会法人と匿名組合契約を結んでクラブの募集馬に出資し、クラブ法人が走らせた馬の賞金などの分配を受けるしくみだ。1口の価格は、確かめた6クラブの2026年度の1歳募集馬では8,000円からあるが、入会金と月会費のほか、2歳の1月から引退まで維持費出資金がかかり続ける。

分配金は、賞金から進上金や手数料、税金を引いてから口数で割るので、賞金の額よりかなり小さくなる。利益分配金は雑所得で、20.42%が源泉徴収される。元本の保証はなく、デビューせずに引退することもある。費用の決まりはクラブごと・年度ごとに違うので、比べるときは入会金、月会費、口数、維持費の出し方をそろえて見る。

よくある質問

一口馬主はいくらから始められる?
1口の価格は馬ごとに違い、確かめた6クラブの2026年度の1歳募集馬では8,000円(DMMバヌーシー)からある。ほかに入会金、月会費、2歳の1月からの維持費出資金と保険料出資金がかかる(2026年11月時点)。
一口馬主の配当(分配金)はどう決まる?
賞金から調教師・騎手・厩務員への進上金、消費税、クラブの手数料、源泉所得税などを引いた額を、口数で割って分配する。1頭の口数が多いほど、1口あたりの分配は小さくなる。
一口馬主の分配金に税金はかかる?
分配金のうち利益分配金は雑所得で、分配のときに20.42%が源泉徴収される。出資返戻金は源泉徴収の対象にならない。給与を1か所から受ける会社員は、給与以外の所得の合計が20万円を超えると確定申告が要る。
一口馬主は元が取れる?
元本の保証はなく、各クラブも出資元本を上回る賞金を得られないことがあると明示している。出資金のほかに維持費が毎月かかるので、運用が始まったあとにデビューせずに引退すれば出資の多くは戻らない。
一口馬主と個人馬主の違いは?
個人馬主は自分が馬主登録を受けて馬を持つ。一口馬主はクラブ法人が馬主で、会員は出資者として分配を受けるだけなので、所得・資産の基準も審査もかからない。出走するレースを決めることもできない。
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