競走馬の登録抹消とは|引退との違いと抹消のあと
この記事の要点
- 登録抹消は、JRAの競走馬登録を消すこと。抹消された馬はJRAのレースに出られず、原則として再び登録されない
- JRAの規定では、馬の死亡、地方馬登録を受けたとき、外国所属が分かったとき、繁殖・乗用など競走以外に使われたとき、持ち主の申請があったときなどに抹消する
- 「引退」は規定の言葉ではない。地方への移籍でもJRAの登録は抹消されるので、抹消がそのまま引退とは限らない
- 抹消された馬は、JRAの「競走馬登録・抹消一覧」に載る。活躍した馬は、JRAニュースで抹消の日と、決まっていれば種牡馬になる牧場なども知らされる

目次
競走馬の登録抹消とは、JRAの競走馬登録を消すことで、抹消された馬はJRAのレースに出られなくなる。JRAの競馬施行規程では、馬が死亡したとき、地方馬登録を受けたとき、繁殖や乗用など競走以外に使われたとき、持ち主から抹消の申請があったときなどに抹消し、抹消した馬は原則として再び登録しない。本記事では、規定に書かれた抹消の理由、引退との違い、抹消のあとの行き先、JRAの発表で抹消を確かめる方法を順にまとめる。内容はいずれも2026年11月時点のものだ。
競走馬の登録抹消とは?
JRAのレースに出られるのは、JRAの競走馬登録を受けた馬だけだ。競走馬登録は、馬主が中央競馬のレースに出すために、自分の馬をJRAに登録することだ。登録はJRAの競走馬登録簿に、馬名、品種・性・毛色・生年月日、父母、マイクロチップの番号、生産者、馬主、登録番号と登録年月日を書いて行う。
登録抹消は、この登録を消す手続きだ。JRAの競馬施行規程では、抹消したときは、登録のときに預かった血統を証明する書類を返す、としている。
地方競馬の馬の登録(地方馬登録)は地方競馬全国協会が行い、JRAの競走馬登録とは別のものだ。本記事の「登録抹消」は、JRAの競走馬登録の抹消を指す。
登録抹消の理由は?規定の10項目と申請
JRAの競馬施行規程は、次のどれかに当たるとき競走馬登録を抹消する、と定めている。
| 区分 | 抹消の理由 |
|---|---|
| 馬の死亡 | 馬が死亡したとき |
| 移籍 | 地方馬登録を受けたとき |
| 移籍 | 外国所属(外国の免許を持つ調教師と飼養・調教の契約を結んでいること)が分かったとき |
| 用途の変更 | 繁殖用、使役用、乗用、農耕用その他、競走以外の用途に使われたとき |
| 持ち主の変更 | 馬主でない人が持つようになって60日たっても、その人が馬主登録を申請しなかったとき |
| 持ち主の変更 | その馬主登録の申請が拒否されたとき |
| 持ち主の変更 | 持ち主が変わったときの届け出を怠ったとき、うその届け出をしたとき |
| 不正 | 馬体を変装して出走させようとしたとき、出走させたとき |
| 馬体 | 書類だけで先に登録した馬が、のちの検査で、片目の失明など競走に向かない障害があると分かったとき |
| 馬体 | ゲノム編集を受けた馬などと分かったとき |
このほか、馬の持ち主から抹消の申請があったときと、登録の申請書類に書かれたことが本当でないと分かったときも抹消する。
JRAの抹消の一覧には理由は載らないため、どの理由で抹消された馬が何頭いるかは、抹消一覧からは分からない。
登録抹消と引退の違いは?
「引退」は、JRAの競馬施行規程の言葉ではない。競走をやめることを指すふつうの言葉で、JRAのニュースも、活躍した馬が競走をやめるときは「競走馬登録抹消」の見出しで知らせている。
抹消がそのまま引退とは限らない。JRAの馬が地方馬登録を受ければ、JRAの登録は抹消されるが、その馬は地方競馬で走り続ける。外国の厩舎に移った場合も同じだ。
| 登録抹消 | 引退 | |
|---|---|---|
| 何か | JRAの競走馬登録を消す手続き | 競走をやめることを指すふつうの言葉 |
| 決まり | JRAの競馬施行規程に理由が書かれている | 規定の言葉ではない |
| 地方へ移籍した馬 | JRAの登録は抹消される | 地方で走り続けるので、引退ではない |
地方から中央、中央から地方への移籍の決まりは「地方から中央への移籍とは」にまとめている。
抹消されたらまたJRAで走れる?
JRAの競馬施行規程では、競走馬登録を抹消された馬は、再び登録しない。例外は次の2つだ。
- 1歳か2歳のとき、持ち主の申請で抹消された馬で、JRAのレースに出たことのない馬
- 持ち主の申請で抹消されたあと、地方馬登録を受けた馬、または外国に所属した馬
2つ目の例外で戻る馬は、地方や外国に所属していた間の成績が条件になる。2026年度の競馬番組では、2015年9月12日以降に再登録を申請する2012年以降生まれの馬は、地方に所属していた間に、3歳の12月末日までに2勝以上して4歳の1月末日までに申請するか、3勝以上していれば、再登録して出走できる。それ以外の馬で2013年1月1日以降にJRAの登録を抹消された馬は、再登録のとき2歳・3歳なら2勝以上、4歳以上なら3勝以上が条件だ。
死亡や繁殖への転用で抹消された馬は、この例外に当たらない。JRAの規定では、繁殖に使われた馬はそもそも競走馬登録を受けられない。
再び登録するときは、JRAで抹消されたときの馬名のまま登録する。
登録抹消のあと、競走馬はどうなる?
抹消のあとの主な行き先は、種牡馬・繁殖牝馬、乗用馬・馬術競技馬、地方競馬への移籍だ。
| 行き先 | 中身 |
|---|---|
| 種牡馬・繁殖牝馬 | 生産の牧場で次の世代をつくる。繁殖に使われると、JRAの登録は抹消される |
| 乗用馬・馬術競技馬 | JRAは、引退競走馬の主なセカンドキャリアを乗用馬・馬術競技馬としている |
| 地方競馬への移籍 | 地方馬登録を受けると、JRAの登録は抹消される |
| 養老・余生 | 繁殖や乗用の役目を終えた馬が、養老牧場などで暮らす |
引退競走馬を支える取り組み
JRAは、引退した競走馬のセカンドキャリアと養老・余生を支える事業を進めている。中央競馬・地方競馬、馬主、生産者などが協力して2024年に作った一般財団法人Thoroughbred Aftercare and Welfare(TAW)が、養老牧場などへの活動奨励金の交付や、引退競走馬の一時預かりを行っている。一時預かりの施設は、栃木県宇都宮市のJRAの施設(旧競走馬総合研究所)だ。
乗用馬・馬術競技馬への転用では、引退競走馬だけが出られる馬術の競技会「引退競走馬杯(RRC)」が2018年から行われている。障害馬術、馬場馬術、総合馬術、TRECの4種目がある。JRAは、乗用馬・馬術競技馬への再調教(リトレーニング)の指針も作っている。
JRAの重賞や地方のダートグレード競走を勝った馬が余生を送るときは、ジャパン・スタッドブック・インターナショナル(JAIRS)の功労馬繋養支援事業で、馬の持ち主に助成金が出る。
抹消された馬が、それぞれの行き先に何頭進んだかを示すJRA・JAIRSの公式の統計は、本記事では確かめられなかったため載せていない。
登録抹消はどこで分かる?JRAの発表の見方
競走馬登録・抹消一覧
JRAのホームページの「競走馬登録・抹消一覧」には、抹消された馬が日付ごとに載る。抹消は通常、月曜日の11時頃と木曜日の18時頃に掲載される。
| 一覧の項目 | 中身 |
|---|---|
| 抹消馬名 | 抹消された馬の名前 |
| 調教師名 | 管理していた調教師 |
| 最近のレース | 最後に出たレース |
| 父・母 | 血統 |
| 収得賞金 | 平地と障害 |
| 入着賞金 | 平地と障害 |
一覧には、抹消の理由や、抹消のあとの行き先は載らない。
JRAニュース
GⅠ馬など活躍した馬の抹消は、JRAニュースでも「(馬名)の競走馬登録抹消」の見出しで知らされることがある。中身は、主な勝ち鞍、性齢と所属の厩舎、抹消した日付で、種牡馬になる予定が決まっていれば、繋養される牧場も書かれる。馬主、調教師、生年月日、血統、JRAでの通算成績と獲得賞金、重賞の勝ち鞍も載る。
競走馬検索
JRAの「競走馬検索」では、現役の馬と、1986年以降に登録を抹消された馬を調べられ、現役か抹消かで絞り込める。
まとめ
競走馬の登録抹消は、JRAの競走馬登録を消す手続きで、抹消された馬はJRAのレースに出られず、原則として再び登録されない。JRAの競馬施行規程は、馬の死亡、地方馬登録、外国所属、繁殖・乗用など競走以外の用途、持ち主の申請などを抹消の理由に挙げている。引退は規定の言葉ではなく、地方へ移籍した馬は抹消されても走り続ける。抹消のあとは、種牡馬・繁殖牝馬、乗用馬・馬術競技馬、地方競馬への移籍などの道がある。抹消された馬はJRAの「競走馬登録・抹消一覧」に載り、活躍した馬はJRAニュースでも知らされる。
競走馬登録簿にも書かれる毛色の種類は「競走馬の毛色」でまとめている。
出馬表の馬名の前に付く記号の意味は「出馬表の見方」で確かめられる。
抹消された馬名がほかの馬に使えるようになるまでの年数は「競走馬の名前のルール」で解説している。
よくある質問
- 競走馬の登録抹消とは?
- JRAの競走馬登録を消すことで、抹消された馬はJRAのレースに出られなくなる。JRAの規定では、馬の死亡や地方馬登録、持ち主の申請などのときに抹消し、抹消した馬は原則として再び登録しない。
- 登録抹消と引退の違いは?
- 登録抹消はJRAの規定の手続きで、引退は競走をやめることを指すふつうの言葉だ。JRAの馬が地方競馬に移るときもJRAの登録は抹消されるので、抹消されても地方で走り続ける馬がいる。
- 登録抹消の理由は?
- JRAの競馬施行規程では、馬の死亡、地方馬登録を受けたとき、外国所属が分かったとき、繁殖・乗用・使役など競走以外に使われたとき、持ち主から抹消の申請があったときなどを挙げている。抹消一覧には理由は載らない。
- 登録抹消されたあと、競走馬はどうなる?
- 種牡馬や繁殖牝馬になる、乗用馬・馬術競技馬になる、地方競馬に移るなどの道がある。JRAは、引退した競走馬の主なセカンドキャリアを乗用馬・馬術競技馬としている。
- 登録抹消された馬はまたJRAで走れる?
- 原則として走れない。持ち主の申請で抹消したあと地方競馬などに移った馬と、1歳・2歳のときに持ち主の申請で抹消された、JRAのレースに出たことのない馬は、条件を満たせば再び登録を受けられる。






