馬主になるには?条件と費用(所得・資産の基準)
この記事の要点
- JRAの個人馬主は、所得が過去2年いずれも2,000万円以上、資産が1億円以上あることが基準。審査は年3回で、申請から登録まで概ね4〜5か月かかる(2026年11月時点)
- 地方競馬の個人馬主は、直近年の所得が500万円以上あることが基準。JRAとは別に登録が要る
- JRAの登録にかかるのは登録料1万円と登録免許税9万円。ほかに馬の代金と預託料(JRA施設で1頭1か月70万円程度)がかかる
- 形態は個人・法人・組合の3つ。一口馬主は、クラブ法人と対になる愛馬会法人に会員として出資するしくみで、会員本人が馬主になるわけではない

JRAの個人馬主になるには、今後も続く見込みの所得が過去2年いずれも2,000万円以上、資産が1億円以上あるなどの基準を満たし、審査を通って登録を受ける必要がある(2026年11月時点)。地方競馬の個人馬主は、直近年の所得500万円以上が基準だ。本記事では、JRAと地方競馬の基準、登録と馬にかかる費用、法人・組合・共有の持ち方、一口馬主との違いを整理する。
馬主になるには何が要る?
競走馬を持って調教師に預け、レースに出すには、馬主登録が要る。JRAのレースならJRAの登録、地方競馬のレースなら地方競馬全国協会(NAR)の登録で、別々の手続きになる。
JRAの馬主になるまでの流れは次のとおりだ。
| 順番 | やること | 内容(2026年11月時点) |
|---|---|---|
| 1 | 形態を決める | 個人・法人・組合の3つ。個人が全体の約85%を占める |
| 2 | 申請する | JRA本部の馬主登録課、美浦・栗東トレーニング・センター、10場の業務課で受け付ける |
| 3 | 審査を受ける | 審査は4月・7月・11月の年3回。申請から登録まで概ね4〜5か月 |
| 4 | 登録料などを納める | 登録までに登録料1万円、登録後に登録免許税9万円 |
| 5 | 馬を買い、調教師に預ける | セリか、生産者との直接の取引(庭先取引)で買う |
審査の受付には締切日がある。2027年4月に予定される審査の受付締切は、2026年12月3日だ(2026年11月時点)。
馬主の条件は?所得・資産の基準
JRAの一般の馬主の基準は、形態ごとに次のとおりだ。内容は2025年8月現在の要件で、2026年11月時点でJRAが案内しているものである。
| 形態 | 所得 | 資産・資金 | そのほかの主な条件 |
|---|---|---|---|
| 個人 | 過去2年いずれも2,000万円以上 | 資産1億円以上 | 登録を拒否される事由に当たらない |
| 法人 | 代表者が過去2年いずれも2,000万円以上 | 代表者の資産1億円以上、法人の資本金か出資1,000万円以上 | 代表者は代表権を持つ役員で、出資の50%以上を出す。過去2年の決算も審査する |
| 組合 | 組合員全員が過去2年いずれも1,000万円以上 | 組合名義の預貯金1,000万円以上 | 組合員は3〜10名、各自の出資比率は10%以上50%未満 |
※軽種馬生産者には別の基準があり、個人は所得が過去2年いずれも1,100万円以上で、牧場の規模や繁殖牝馬の頭数の条件がある
JRAは、所得や資産が基準に足りない人でも、不足の額や資産の状況によっては登録できる場合があるとしている。
年収ではなく所得で見る
基準の「所得」は、収入金額ではない。税法上の所得金額から一時的な所得を除いた額で、確定申告書か給与所得の源泉徴収票で確かめる。給与なら、額面の年収より低い金額で判定することになる。
一時的な所得と、地方競馬の賞金など競馬に関する所得は含まない。「今後も継続的に得られる見込みがある」ことも条件なので、ある年だけ所得が多くても基準を満たしたことにはならない。
資産に入るもの、入らないもの
資産は、本人名義のものから負債を差し引いて見る。
| 区分 | 主なもの |
|---|---|
| 入る | 国内の土地・家屋・借地権、預貯金、金銭信託・貸付信託、国債・地方債・金融債・社債、公社債投資信託・株式投資信託、上場株式、国内の未公開会社の株式・出資持分 |
| 入らない | 保険証券、ゴルフ会員権、海外にある不動産、書画骨董など |
お金があっても登録できない人
経済面の基準を満たしていても、次のような人は登録を受けられない。JRAの競馬施行規程と審査基準に定めがある。
- 破産して復権を得ていない人、拘禁刑以上の刑に処せられた人
- 競馬法などの公営競技の法律に違反して罰金刑を受けた人、競馬への関与を禁止・停止されている人
- 暴力団員と、暴力団員と親交があると認められる人
- JRAの経営委員、役職員、調教師、騎手、調教助手、厩務員など
- 不正な手段や名義貸しなどで登録を取り消され、5年たっていない人
- 20歳未満の人
- ブックメーカーや会員制の競馬予想業を運営・従事している人、その業者と業務上の関連がある人
登録のあとも、正当な理由なく1年以上馬を持たなかった場合や、馬を預け続けるのが難しいと認められた場合は、登録を取り消されることがある。
馬主の費用はいくらかかる?
JRAの馬主登録そのものにかかる費用は10万円だが、大きいのは馬の代金と預託料だ。金額は次のとおりで、馬の代金は2025年度の1歳市場の成績である。
| 費用 | 金額 | いつかかるか |
|---|---|---|
| 馬主登録料 | 1万円 | 審査のあと、登録まで |
| 登録免許税 | 9万円 | 登録のあと |
| 馬の代金(1歳市場の平均) | 1,477万円 | 購入時 |
| 馬の代金(1歳市場の中間価格) | 616万円 | 購入時 |
| 預託料(JRA施設) | 1頭1か月70万円程度 | 預けている間 |
※馬の代金は取引2,383頭の税込の価格で、最高価格は4億6,200万円。中間価格は全取引を価格順に並べたときの中央の値
※預託料は飼料代や飼育・調教の費用で、厩舎によって異なる
預託料は、1か月70万円程度なら1年で840万円程度になる。馬主協会はJRAとは別の組織で、10場ごとにあり、独自の入会審査がある。馬主席を使えるのは原則として協会の会員だ。
馬はどこで買う?
サラブレッドの約30%がセリで取引される。セリは0歳、1歳、2歳の市場があり、上場頭数が最も多いのは1歳市場だ。生産者と値段を交渉して買う庭先取引もある。JRAが例年4月下旬に中山競馬場で開くブリーズアップセールには、JRAの馬主登録から3年以内の人に限った新規馬主限定セッションがある。
収入と比べるとどうなる?
馬主の主な収入は、本賞金、出走奨励金、特別出走手当だ。JRAの案内では、2025年に馬主へ賞金等として支払われた額は約1,040億円、同年に出走した馬は11,923頭で、1頭の平均は年間約872万円になる。
2025年に出走した馬の1頭平均は年間約872万円で、預託料の目安を12か月分(840万円程度)引くと32万円程度になる。これは馬の代金を含まない単純な差で、12か月JRAの施設に預けた場合の計算だ。JRAの案内は、この872万円が調教師・騎手への配分の前か後かを示していない。配分前の額なら、手元に残る分はさらに少ない(配分の割合は競馬の賞金のしくみ)。実際の賞金は競走成績で大きく変わる。もうけを前提に考えられるものではない。
税金は、個人馬主の賞金等の所得が、保有頭数や出走回数などによって事業所得か雑所得に分かれる。競走馬の減価償却の耐用年数は4年だ。
法人や共有で持てる?一口馬主との違い
馬の持ち方は、個人のほかに法人、組合、共有がある。一口馬主は馬主になるわけではなく、ここが他の3つと違う。
| 持ち方 | しくみ | 自分の馬主登録 |
|---|---|---|
| 法人馬主 | 競馬事業を目的とする法人を登録する。代表者は個人馬主と同じ所得・資産の基準を満たす | 法人として要る |
| 組合馬主 | 3〜10名がそれぞれ出資し、民法の組合として登録する。組合員1人あたりの所得の基準が個人より低い | 組合として要る |
| 共有 | 馬主登録を受けた者同士で1頭を持つ。JRAは1頭につき10名まで | 全員に要る |
| 一口馬主 | クラブ法人と対になる愛馬会法人に、会員として出資する | 会員本人には要らない |
組合は、出資比率を常に一定にしておくという制約がある。また、個人馬主が法人馬主に形態を変えると、個人の登録は抹消される。
いわゆる一口馬主のクラブには、JRAの審査基準に「クラブ法人馬主登録」という区分がある。クラブ法人は、競走用馬に関わる金融商品取引業を事業の目的に入れ、1対1で対応する愛馬会法人を持つ。会員の出資を募るのは愛馬会法人で、馬主として登録され馬を走らせるのはクラブ法人だ。所得・資産の基準がかかるのはクラブ法人の代表者で、出資する会員ではない。
馬の所有者として登録されるのはクラブ法人なので、会員は出馬表の馬主にはならない。出馬表の馬主欄の見方は出馬表の見方で解説している。出資の金額や会費、元本や収入の扱いはクラブごとの募集の案内で確かめることになる。
地方競馬の馬主の条件と費用
地方競馬の馬主はNARに登録する。地方競馬のしくみのとおり、レースを開く主催者は別にあるが、馬主の登録はNARの仕事だ。JRAに登録していても、地方競馬の馬主には別に登録が要る。ダートグレード競走など指定交流競走に、JRA所属の馬で出るときは別の手続きになる。
| 比べる点 | JRA | 地方競馬(NAR) |
|---|---|---|
| 個人の所得 | 過去2年いずれも2,000万円以上 | 直近年で500万円以上 |
| 個人の資産 | 1億円以上 | 額の基準は示されていない |
| 法人 | 資本金か出資1,000万円以上 | 払込済資本金か履行済出資300万円以上 |
| 組合 | 全員の所得1,000万円以上、預貯金1,000万円以上 | 全員の所得300万円以上、定期預金300万円以上 |
| 審査 | 年3回(4月・7月・11月) | 年5回の予定(3月・5月・7月・10月・12月) |
| 登録まで | 概ね4〜5か月 | 書類がそろってから概ね5か月 |
| 登録料 | 1万円(ほかに登録免許税9万円) | 1万円 |
| 預託料の目安 | 1頭1か月70万円程度 | 概ね月15万〜50万円 |
※2026年11月時点。地方競馬は、競馬場の厩舎に入るまでの育成牧場などへの預託費用も別にかかる
地方競馬の所得にも、一時的な所得は入らない。不動産や株式の売却益、配当、競走馬ファンドの配当金、中央競馬の賞金、雑所得は算入できず、自分の会社が直近の決算で赤字か債務超過なら、その会社からの所得も算入できない。法人は設立から2年たっていないと審査を受けられず(JRAの登録がある法人を除く)、決算が2年続けて赤字の場合や、直近の決算で債務超過の場合も登録できない。
共有は、馬主登録を受けた個人・法人が2〜20人で1頭を持てる。持分は最低5%、最高95%で1%刻みだ。組合馬主は共有できない。申請のときは預託する予定の調教師を決めておくことになっていて、未定なら審査委員会にかかるまでに決める。
地方競馬の賞金は、競馬場の一番下のクラスで1着20万円台〜80万円、出走手当は4万円〜10万円台だ。一方、ダートグレード競走には1着賞金が1,000万円を大きく超えるものがある。賞金からは、一般に20%相当が進上金として調教師、騎手、厩務員に回る。登録のあと1年以内に馬を持たない場合や、馬を持たなくなって1年以上たった場合は、登録を取り消されることがある。
まとめ
馬主になるには、JRAなら所得が過去2年いずれも2,000万円以上と資産1億円以上、地方競馬なら直近年の所得500万円以上が基準で、どちらも審査を通って登録を受ける(2026年11月時点)。見られるのは収入ではなく、続く見込みのある所得だ。
費用は、JRAの登録に10万円、馬の代金が1歳市場の中間価格で616万円、預託料が1か月70万円程度かかる。条件に届かない場合は、組合のほか、地方競馬という入口もある。
馬がどれだけ賞金を稼いでいるかは競走馬の獲得賞金ランキングで、競馬そのものを始めたい人は競馬の始め方で確かめられる。
よくある質問
- 馬主になるには年収がいくら必要?
- JRAの個人馬主は所得が過去2年いずれも2,000万円以上、地方競馬の個人馬主は直近年の所得が500万円以上あることが基準だ(2026年11月時点)。どちらも収入金額ではなく所得金額で、継続して得られる見込みがあるものを見る。
- 馬主の資産の条件は?
- JRAの個人馬主は資産の額が1億円以上あることが基準だ(2026年11月時点)。本人名義の国内の不動産、預貯金、有価証券などが対象で、負債があればその分を差し引く。
- 馬主登録の費用はいくら?
- JRAは申請時にはお金がかからず、登録料1万円と登録免許税9万円を納める。地方競馬は登録料1万円で、競馬場ごとの馬主会に入るときに入会金や年会費がかかる場合がある(2026年11月時点)。
- 預託料はいくらかかる?
- JRAの美浦・栗東トレーニング・センターに預ける場合は1頭1か月70万円程度、地方競馬は競馬場や調教師によって概ね月15万〜50万円だ(2026年11月時点)。
- 一口馬主は馬主登録が要る?
- 馬主登録を受けるのはクラブ法人で、出資する会員本人は馬主にならない。JRAの所得・資産の基準がかかるのは、クラブ法人の代表者だ。






