競走馬の毛色は8種類|芦毛と白毛、鹿毛と黒鹿毛の違いと見分け方
この記事の要点
- 日本の競走馬の毛色は、栗毛・栃栗毛・鹿毛・黒鹿毛・青鹿毛・青毛・芦毛・白毛の8種類。公益財団法人ジャパン・スタッドブック・インターナショナル(JAIRS)が定めている
- 栗毛・栃栗毛はたてがみ・尾と脚の下のほうが黒くならない。鹿毛・黒鹿毛はそこが黒く、黒鹿毛は体の色が黒っぽい。青鹿毛は全身がほとんど黒、青毛は全身が黒い
- 芦毛は、もとの毛色に白い毛が混じり、年を取るにつれて白くなる。白毛は、生まれたときからすでに大半が白い
- 毛色は、JAIRSが生まれた年に行う血統登録の審査で確かめられ、血統登録証明書に書かれる

目次
日本の競走馬の毛色は8種類(栗毛・栃栗毛・鹿毛・黒鹿毛・青鹿毛・青毛・芦毛・白毛)だ。毛色の種類と中身は、馬の血統登録を行う公益財団法人ジャパン・スタッドブック・インターナショナル(JAIRS)が定めている。本記事では、JAIRSとJRAの毛色の解説をもとに、毛色ごとの読み方と見分け方、栗毛と栃栗毛、鹿毛と黒鹿毛、芦毛と白毛の違い、芦毛が白くなるわけ、毛色を誰がいつ決めるのか、有名な馬の毛色を順にまとめる。内容はいずれも2026年11月時点のものだ。
競走馬の毛色は何種類?8種類の一覧と見分け方
JAIRSが定める8つの毛色と、見分けるときの要点は次のとおりだ。「被毛」は体をおおう毛、「長毛」はたてがみと尾の毛を指す。
| 毛色 | 読み | 英語の表記 | 見分け方の要点 |
|---|---|---|---|
| 栗毛 | くりげ | Chestnut | 体は黄褐色。たてがみ・尾は体より濃い色から白に近い色まであり、脚の下のほうも黒くならない |
| 栃栗毛 | とちくりげ | Chestnut | 栗毛より黒みが強い黄褐色。黒みが非常に濃いものもあるが、黒にはならない |
| 鹿毛 | かげ | Bay | 体は明るい〜暗い赤褐色。たてがみ・尾と脚の下のほうが黒い |
| 黒鹿毛 | くろかげ | Dark Bay | 体は黒みがかった赤褐色。目の周り、わき、下腹、内股などは褐色。たてがみ・尾と脚の下のほうは黒い |
| 青鹿毛 | あおかげ | Brown | 全身がほとんど黒い。目と鼻の周り、わきなどがわずかに褐色 |
| 青毛 | あおげ | Black | 体の毛もたてがみ・尾も黒い。サラブレッドなどの軽種馬には比較的少ない |
| 芦毛 | あしげ | Gray | もとの毛色に白い毛が混じり、年を取るにつれて白くなる |
| 白毛 | しろげ | White | 生まれたときから体の大半が白い。皮膚はピンクで、目が青い馬もいる |
見分けるときは、まず「たてがみ・尾と脚の下のほうが黒いか」を見る。黒くなければ栗毛か栃栗毛、黒ければ鹿毛の仲間(鹿毛・黒鹿毛・青鹿毛)か青毛だ。そこから体の色の濃さと、目の周りやわきに褐色が残るかで分かれる。白い毛が目立つ馬は、芦毛か白毛になる。
JRAの出馬表では、たとえば鹿毛は「鹿」、青鹿毛は「青鹿」と書かれる。
栗毛と栃栗毛の違いは?
栗毛と栃栗毛は、どちらもたてがみ・尾と脚の下のほうが黒くならない毛色だ。違いは体の色の濃さで、JAIRSの解説では、栗毛の体は黄褐色、栃栗毛は黒みがかった黄褐色から黒みの非常に濃いものまである。ただし、栃栗毛は黒にはならない。
たてがみ・尾の色は、栗毛も栃栗毛も、体より濃いものから白に近いものまである。
栃栗毛は、日本では栗毛と分けて登録するが、海外では栗毛と区別していない。そのため、英語の表記は栗毛と同じ「Chestnut」になる。
尾花栗毛は9つ目の毛色?
たてがみや尾が白っぽい栗毛は「尾花栗毛(おばなくりげ)」と呼ばれる。JRAの競馬用語辞典では、尾花栗毛は、栗毛の中でも前髪、たてがみ、尾の毛が白いものを指す。尾花栗毛という呼び名は、尾がススキの穂(尾花)のように見えることから付いた。毛色としては栗毛の一種で、8種類とは別の毛色ではない。
鹿毛と黒鹿毛の違いは?青鹿毛・青毛との見分け方
鹿毛・黒鹿毛・青鹿毛・青毛は、どれも黒っぽい部分のある毛色で、名前も似ている。違いは、体の毛の黒さと、黒くならずに褐色が残る場所だ。
| 毛色 | 体の毛 | 褐色が残るところ | たてがみ・尾、脚の下のほう |
|---|---|---|---|
| 鹿毛 | 明るい〜暗い赤褐色 | 体全体が赤褐色 | 黒 |
| 黒鹿毛 | 黒みがかった赤褐色。相当黒く見えるものもある | 目の周り、わき、ひばら(わき腹)、下腹、内股 | 黒 |
| 青鹿毛 | ほとんど黒 | 目と鼻の周り、わき、ひばらなどがわずかに | 黒 |
| 青毛 | 黒 | なし | 黒 |
鹿毛と栗毛の違いは?
鹿毛の体の色は、明るい赤褐色から暗い赤褐色まであり、栗毛と近く見えることがある。JAIRSの解説では、鹿毛と栗毛の違いはたてがみ・尾と脚の下のほうの色で、鹿毛はそこが黒く、栗毛は黒くならない。
黒鹿毛はどこが褐色?
黒鹿毛は、体の色が黒みがかった赤褐色で、黒みが強いと相当黒く見える。それでも、目の周り、わき、ひばら(わき腹)、下腹、内股は褐色になる。たてがみ・尾と脚の下のほうは、体の色の濃さにかかわらず黒い。
青鹿毛と青毛の違いは?
青鹿毛は、全身がほとんど黒く、目と鼻の周り、わき、ひばらなどだけがわずかに褐色になる。青毛は、体の毛もたてがみ・尾も黒い。
青毛は、季節によって毛の先が褐色になり、黒鹿毛や青鹿毛のように見えることがある。JAIRSの解説では、目の周りと鼻の周りをよく見て判断する、としている。
芦毛とは?なぜ白くなる?
芦毛は、もとの毛色に白い毛が混じって生える毛色だ。もとの毛色は、栗毛(栃栗毛を含む)、鹿毛(黒鹿毛・青鹿毛を含む)、青毛などになる。
芦毛の馬は、年を取るにつれて白い毛の割合が増え、白っぽくなっていく。白くなる速さは馬によってまちまちで、最後に真っ白になる馬もいれば、もとの毛色がほとんど残ったままの馬もいる。
生まれたときの芦毛の馬は、もとの毛色にわずかに白い毛が混じる程度で、白い毛は特に目の周りに多い。中には、生まれてすぐには芦毛と見分けにくい馬もいる。
芦毛と白毛の違いは?
芦毛と白毛は、どちらも白く見える毛色だが、いつ白いかが違う。JAIRSの解説では、芦毛と白毛の大きな違いは、白毛が生まれたときにすでに体の大半が白いことだ。
| 芦毛 | 白毛 | |
|---|---|---|
| 生まれたとき | もとの毛色に白い毛がわずかに混じる程度 | すでに体の大半が白い |
| 年を取ると | 白い毛が増えて白くなっていく | 生まれたときから白い |
| そのほかの特徴 | 白くなる速さは馬によって違う | 色の付いた斑紋やたてがみ・尾がある馬もいる。皮膚はピンクで、目が青い馬もいる |
JRAの解説では、白毛の馬は目に色素があり、ピンクの皮膚の一部に色の付いた斑点があるため、いわゆるアルビノではない、としている。
年を取った芦毛の馬は真っ白に見えることがあるため、見た目だけでは白毛と紛らわしい。登録された毛色は、出馬表や血統登録で確かめられる。
毛色は誰がいつ決める?
競走馬の毛色は、JAIRSの血統登録の審査で確かめられる。血統登録は、馬の血統と、その馬を見分けるための特徴(個体識別)を明らかにする登録だ。
JAIRSの「血統登録のながれ」では、生まれた年(当歳)に生産牧場で行う審査で、JAIRSが書類を審査し、実際の馬を見て特徴を取り、マイクロチップの番号を確かめ、DNA型を調べるための毛根を採る。そのあとにJAIRSが作る血統登録証明書には、生年月日、性別とともに毛色が書かれる。顔や脚の白い模様(白斑)やつむじ(旋毛)も、特徴として記録される。
栗毛の子を出さない種牡馬とは?ホモ鹿毛
JAIRSは、栗毛・栃栗毛の産駒を出さない種牡馬を「ホモ鹿毛」に指定している。2024年に供用されていた(種付けに使われていた)種牡馬を調べ、56頭をホモ鹿毛に指定した(2026年5月の発表)。
この指定は遺伝子検査ではなく、2025年産までの産駒の毛色をもとにした統計的な方法で行っている。産駒の毛色の記録が増えると、新たに指定されたり、指定が外されたりすることがある。
毛色の名前は馬名に使える?
JAIRSの馬名登録実施基準では、毛色・服色・帽色に使われている色の名前は、そのままでは馬名にできない。前後に付属語を付ければ認めることがある。
有名な馬の毛色は?毛色ごとの代表的な馬
JRAのサラブレッド講座では、毛色ごとに代表的な馬を挙げている。その一部を並べると次のとおりだ。
| 毛色 | 代表的な馬 |
|---|---|
| 栗毛 | タイキシャトル、グラスワンダー、テイエムオペラオー、ダイワスカーレット、オルフェーヴル |
| 栃栗毛 | サッカーボーイ、サクラローレル、マーベラスサンデー |
| 鹿毛 | ディープインパクト、ウオッカ、ロードカナロア、ジェンティルドンナ、キタサンブラック |
| 黒鹿毛 | ナリタブライアン、エルコンドルパサー、スペシャルウィーク、ブエナビスタ |
| 青鹿毛 | メジロラモーヌ、マンハッタンカフェ、フェノーメノ、ソウルスターリング |
| 青毛 | シーザリオ、ヴィルシーナ、ヴィブロス |
| 芦毛 | タマモクロス、オグリキャップ、メジロマックイーン、ビワハヤヒデ、ゴールドシップ |
| 白毛 | ユキチャン、ブチコ |
白毛のGⅠ馬は?ソダシ
白毛でGⅠを勝った馬には、ソダシがいる。JBIS(日本軽種馬協会の競走馬のデータベース)に登録されている毛色は白毛で、2020年の阪神ジュベナイルフィリーズ、2021年の桜花賞、2022年のヴィクトリアマイルを勝った。父のクロフネは芦毛、母のブチコは白毛だ。地方の交流GⅠでは、白毛のアマンテビアンコが2024年の羽田盃(JpnⅠ)を勝った。母のユキチャンも白毛だ。
イクイノックス・ゴールドシップの毛色は?
最近のGⅠ馬では、イクイノックスの毛色は青鹿毛だ。2022・2023年の天皇賞(秋)、2022年の有馬記念、2023年のドバイシーマクラシック、宝塚記念、ジャパンカップを勝った。父のキタサンブラック、母のシャトーブランシュは、どちらも鹿毛になる。
ゴールドシップは芦毛で、父のステイゴールドは黒鹿毛、母のポイントフラッグは芦毛だ。オグリキャップも芦毛で、父のダンシングキヤツプ、母のホワイトナルビーとも芦毛になる。
まとめ
日本の競走馬の毛色は、栗毛・栃栗毛・鹿毛・黒鹿毛・青鹿毛・青毛・芦毛・白毛の8種類で、JAIRSが定めている。たてがみ・尾と脚の下のほうが黒くないのが栗毛・栃栗毛、黒いのが鹿毛・黒鹿毛・青鹿毛・青毛で、体の黒さと褐色が残る場所で分かれる。芦毛は年を取るにつれて白くなり、白毛は生まれたときから白い。毛色は、生まれた年のJAIRSの血統登録の審査で確かめられ、血統登録証明書に書かれる。
毛色が載る出馬表の読み方は「出馬表の見方」で解説している。
馬名の決まりは「競走馬の名前のルール」でまとめている。
出てくる競馬の言葉は「競馬用語集」でも確かめられる。
よくある質問
- 日本の競走馬の毛色は何種類?
- 栗毛・栃栗毛・鹿毛・黒鹿毛・青鹿毛・青毛・芦毛・白毛の8種類。公益財団法人ジャパン・スタッドブック・インターナショナル(JAIRS)が定める毛色だ。
- 鹿毛と黒鹿毛の違いは?
- どちらも、たてがみ・尾と脚の下のほうが黒い。体の毛が明るい〜暗い赤褐色なら鹿毛、黒みがかった赤褐色なら黒鹿毛で、黒鹿毛は相当黒く見えても目の周り、わき、下腹、内股が褐色になる。
- 芦毛と白毛の違いは?
- 芦毛は、もとの毛色に白い毛が混じっていき、年を取るにつれて白くなる毛色で、生まれたときは白い毛がわずかしかない。白毛は、生まれたときからすでに体の大半が白く、白毛のGⅠ馬にはソダシがいる。
- 芦毛はなぜ白くなる?
- 芦毛は、栗毛・鹿毛・青毛などのもとの毛色に白い毛が混じって生える毛色で、年を取るにつれて白い毛の割合が増える。白くなる速さは馬によって違い、真っ白になる馬も、もとの毛色がほとんど残る馬もいる。
- 競走馬の毛色は誰がいつ決める?
- 毛色は、JAIRSが行う血統登録の審査で確かめられる。審査は生まれた年(当歳)に生産牧場で行い、毛色は血統登録証明書に書かれる。






