左回りが得意な馬はいる?右回り・左回りの成績を馬と父ごとに比べた
この記事の要点
- 2016年1月〜2026年10月25日のJRAの平地で、同じ芝・ダートの中で右回りと左回りを5走以上ずつした馬は、芝3,818頭、ダート4,142頭。左回りと右回りの複勝率の差の散らばりは、偶然だけで出る散らばりとほぼ同じだった
- キャリアの前半で左回りの複勝率が20ポイント以上高かった馬も、後半の差の平均は芝で+0.8ポイント、ダートで+1.4ポイントで、差はほとんど続かなかった
- 父ごとでは、芝で右・左とも1,000走以上の17頭のうち4頭の差が目安(標準誤差の2倍)を超えた。左回りで上がるのはエピファネイア(+3.1ポイント)・モーリス(+3.0ポイント)、下がるのはブラックタイド(-3.7ポイント)・ハービンジャー(-2.7ポイント)
- ダートの父18頭では目安を超えたのは1頭で、前半と後半で差の向きもそろわなかった

同じ馬が右回りと左回りを走ったときの複勝率の差は、2016年1月から2026年10月25日までのJRAの平地の全レースを編集部で数えると、偶然だけで出る差とほぼ同じ幅に収まり、回りの得意・不得意は馬ごとの成績からは見分けられなかった。父(種牡馬)ごとに数えると、芝ではエピファネイアやモーリスが左回りで複勝率が上がり、ブラックタイドやハービンジャーが下がる。本記事では、馬ごとの右回りと左回りの差の分布と、父ごとの回り別の成績をまとめる。
本記事の数え方|同じ芝・ダートの中で右と左を比べる
JRAの10競馬場のうち、左回りは新潟・東京・中京の3場、右回りは札幌・函館・福島・中山・京都・阪神・小倉の7場だ。新潟の芝1,000mは直線だけを走るコースなので、どちらにも入れていない。
数えたのは、2016年1月5日から2026年10月25日までのJRAの平地の全レース(障害は除く)。芝とダートでは得意・不得意が別なので、比べるのは同じ芝・ダートの中の右回りと左回りだけにした。出走取消・競走除外は出走に入れず、競走中止は着外として数えた。1着の同着は、どちらも1着として数えている。
| 芝・ダート | 回り | レース数 | 出走数 | 複勝率 | 1レースの平均頭数 |
|---|---|---|---|---|---|
| 芝 | 右 | 11,751 | 157,959 | 22.3% | 13.5頭 |
| 芝 | 左 | 6,035 | 83,266 | 21.8% | 13.8頭 |
| ダート | 右 | 11,585 | 163,701 | 21.2% | 14.2頭 |
| ダート | 左 | 6,435 | 93,932 | 20.6% | 14.7頭 |
左回りは1レースの平均頭数がやや多く、全体の複勝率も0.6〜0.7ポイント低い。どの場が左回りかと、10場のコースの直線・高低差の違いは、競馬場の比較の記事にまとめている。
JRA競馬場の比較|直線の長さ・高低差・1周の距離ランキング
同じ馬の右回りと左回りの差は?
同じ芝・ダートの中で、右回りと左回りを5走以上ずつした馬は、芝で3,818頭、ダートで4,142頭いる。1頭あたりの出走の中央値は、芝で右回り11走・左回り7走、ダートで右回り10走・左回り8走だ。この馬たちの「左回りの複勝率 − 右回りの複勝率」を1頭ずつ出した。
数走〜十数走の複勝率は、得意・不得意がなくても偶然で大きく動く。そこで、それぞれの馬の3着以内の回数と、右回り・左回りの出走数はそのままにして、どのレースが3着以内だったかだけをくじ引きで入れ替える計算を200回くり返し、偶然だけで出る差の幅を作って比べた。
| 芝・ダート | 頭数 | 差の標準偏差(実際) | 差の標準偏差(偶然だけ) | 差が20ポイント以上(実際) | 差が20ポイント以上(偶然だけ) |
|---|---|---|---|---|---|
| 芝 | 3,818頭 | 21.2ポイント | 21.3ポイント | 35.2% | 35.2% |
| ダート | 4,142頭 | 21.1ポイント | 21.1ポイント | 35.7% | 34.3% |
※差が20ポイント以上は、左回りが高い馬と右回りが高い馬を合わせた割合
芝では、左回りと右回りの複勝率が20ポイント以上違う馬が35.2%いたが、偶然だけでも35.2%になる。30ポイント以上違う馬も、実際が15.9%、偶然だけが15.9%で同じだった。回りの得意・不得意が本当にある馬がいれば、実際の散らばりは偶然より広くなるはずだが、芝でもダートでもそうはなっていない。差の平均は芝で-0.07ポイント、ダートで-0.27ポイントで、全体として左回りが得意な馬・苦手な馬のどちらかに偏ってもいない。
右・左とも10走以上ずつに絞っても(芝749頭、ダート792頭)、差の標準偏差は芝16.6ポイント(偶然だけ17.0ポイント)、ダート16.4ポイント(同16.7ポイント)で、やはり偶然の幅を超えなかった。
前半で差が大きかった馬は、後半も同じか
もう1つ、各馬の同じ芝・ダートの出走を日付順に前半と後半に分け、前半の差が後半にも続くかを見た。前半・後半それぞれで右・左を3走以上ずつした馬に限っている。
| 芝・ダート | 頭数 | 前半と後半の差の相関 | 前半で左が20ポイント以上高かった馬の後半の差 | 前半で右が20ポイント以上高かった馬の後半の差 |
|---|---|---|---|---|
| 芝 | 1,810頭 | 0.04 | +0.8ポイント(473頭) | -1.2ポイント(469頭) |
| ダート | 1,923頭 | 0.05 | +1.4ポイント(492頭) | -0.7ポイント(489頭) |
前半で左回りの複勝率が平均で37.2ポイント高かった芝の473頭は、後半では差が+0.8ポイントまで縮んだ。相関は0に近く、前半の回り別の成績から、後半の回り別の成績はほとんど読めない。
この数え方は、馬ごとに右回りと左回りのレースのクラス・距離・時期の違いを補正していない。陣営が向くと見た回りを選んで使っている分も、差を見えにくくしているかもしれない。言えるのは、得意・不得意があったとしても、1頭の数走〜十数走の複勝率の差では偶然と区別できない大きさだということまでだ。
父(種牡馬)ごとに右回りと左回りを比べる
1頭の成績では数が足りないので、産駒をまとめて父ごとに数えた。同じ芝・ダートで、右回り・左回りとも1,000走以上した父に絞っている。この線の父では、複勝率の差のぶれ(標準誤差)は芝で0.9〜1.6ポイント、ダートで1.2〜1.7ポイントだ(エピファネイアは1.2ポイント)。線を500走に下げると芝36頭・ダート56頭になるが、ぶれが最大2.4ポイントまで広がるので並べていない。
成績は「出走数-1着-3着以内」で、複勝率の差は左回りから右回りを引いたものだ。
芝(17頭)
| 父(種牡馬) | 右回りの成績 | 右回りの複勝率 | 左回りの成績 | 左回りの複勝率 | 複勝率の差 |
|---|---|---|---|---|---|
| エピファネイア | 3,761-348-1,017 | 27.0% | 2,306-250-696 | 30.2% | +3.1ポイント |
| モーリス | 2,625-250-677 | 25.8% | 1,595-175-459 | 28.8% | +3.0ポイント |
| ロードカナロア | 5,120-557-1,429 | 27.9% | 2,693-315-807 | 30.0% | +2.1ポイント |
| ヴィクトワールピサ | 2,260-156-482 | 21.3% | 1,224-94-286 | 23.4% | +2.0ポイント |
| ハーツクライ | 5,396-462-1,396 | 25.9% | 3,138-284-861 | 27.4% | +1.6ポイント |
| ドゥラメンテ | 2,263-222-637 | 28.1% | 1,466-153-435 | 29.7% | +1.5ポイント |
| ステイゴールド | 2,689-235-667 | 24.8% | 1,511-129-389 | 25.7% | +0.9ポイント |
| キズナ | 3,665-416-1,059 | 28.9% | 1,965-209-579 | 29.5% | +0.6ポイント |
| ダイワメジャー | 4,340-357-1,126 | 25.9% | 2,087-173-535 | 25.6% | -0.3ポイント |
| ディープインパクト | 7,664-961-2,557 | 33.4% | 4,780-581-1,576 | 33.0% | -0.4ポイント |
| ルーラーシップ | 4,320-347-1,096 | 25.4% | 2,311-196-574 | 24.8% | -0.5ポイント |
| キングカメハメハ | 3,107-293-857 | 27.6% | 1,649-160-437 | 26.5% | -1.1ポイント |
| オルフェーヴル | 2,976-231-701 | 23.6% | 1,447-106-313 | 21.6% | -1.9ポイント |
| ゴールドシップ | 2,620-179-591 | 22.6% | 1,435-73-296 | 20.6% | -1.9ポイント |
| ハービンジャー | 5,216-399-1,283 | 24.6% | 2,484-197-544 | 21.9% | -2.7ポイント |
| スクリーンヒーロー | 1,949-159-495 | 25.4% | 1,108-76-248 | 22.4% | -3.0ポイント |
| ブラックタイド | 2,319-138-441 | 19.0% | 1,042-44-160 | 15.4% | -3.7ポイント |
※2016年1月5日〜2026年10月25日のJRAの芝の平地の全レース。新潟の芝1,000m(直線)は除く
17頭のうち、差がぶれの目安(標準誤差の2倍)を超えたのは、上がる側のエピファネイアとモーリス、下がる側のハービンジャーとブラックタイドの4頭。17頭を比べると偶然でも1頭前後は目安を超えるが、4頭はそれより多い。目安を超えたからといって、その父の産駒が左回りに強い・弱いと決まるわけではない。
期間を2016〜2020年と2021〜2026年に分けて、どちらも右・左300走以上あった11頭で見ると、前半の差と後半の差の相関は0.61で、11頭のうち7頭は前後で同じ向きだった。ロードカナロア(+2.1ポイント、+2.2ポイント)、ハーツクライ(+1.9ポイント、+1.6ポイント)、スクリーンヒーロー(-4.3ポイント、-2.2ポイント)、ブラックタイド(-2.6ポイント、-5.3ポイント)は両方で同じ向きに出ている。エピファネイアとモーリスは2016〜2020年の産駒の出走が少なく、この比べには入っていない。
回りの差か、競馬場の差か
左回りは東京・中京・新潟の3場しかない。左回りの成績の差には、回りの向きだけでなく、この3場の直線の長さやコースの形も混ざっている。左回りの3場を1場ずつ右回りの7場と比べると、上がる側と下がる側で様子が違った。
- エピファネイアは東京+5.1ポイント、中京+2.1ポイント、新潟+1.2ポイントで、3場とも右回りより高い
- モーリス(東京+6.7ポイント、中京+0.5ポイント、新潟-0.3ポイント)とロードカナロア(+4.4ポイント、+0.8ポイント、-0.6ポイント)は、上がった分のほとんどが東京だ
- ブラックタイド(東京-5.2ポイント、中京-2.8ポイント、新潟-2.5ポイント)、ハービンジャー(-0.8ポイント、-3.1ポイント、-5.2ポイント)、スクリーンヒーロー、オルフェーヴル、ゴールドシップは、3場とも右回りより低い
東京だけで上がる父は、回りよりも東京のコースの形が効いている可能性がある。また、ブラックタイドの産駒は平均の人気も右回り8.2番人気、左回り9.1番人気と、左回りのほうが低い。左回りで走った産駒の顔ぶれやレースの格が右回りと違う分は、本記事では補正していない。
ハービンジャー産駒がGⅠを勝った距離と馬場は、種牡馬の記事にまとめている。
ダート(18頭)
| 父(種牡馬) | 右回りの成績 | 右回りの複勝率 | 左回りの成績 | 左回りの複勝率 | 複勝率の差 |
|---|---|---|---|---|---|
| ロードカナロア | 3,068-267-737 | 24.0% | 1,775-176-466 | 26.3% | +2.2ポイント |
| ゴールドアリュール | 3,279-268-735 | 22.4% | 1,728-144-416 | 24.1% | +1.7ポイント |
| ホッコータルマエ | 1,832-131-412 | 22.5% | 1,154-85-272 | 23.6% | +1.1ポイント |
| ドレフォン | 2,309-234-632 | 27.4% | 1,375-143-390 | 28.4% | +1.0ポイント |
| ジャスタウェイ | 1,479-105-308 | 20.8% | 1,016-71-217 | 21.4% | +0.5ポイント |
| ハーツクライ | 2,327-178-545 | 23.4% | 1,332-112-316 | 23.7% | +0.3ポイント |
| キングカメハメハ | 2,652-262-713 | 26.9% | 1,585-159-429 | 27.1% | +0.2ポイント |
| ヘニーヒューズ | 3,707-384-1,045 | 28.2% | 2,464-235-683 | 27.7% | -0.5ポイント |
| ルーラーシップ | 2,670-189-562 | 21.0% | 1,603-99-326 | 20.3% | -0.7ポイント |
| クロフネ | 2,675-216-642 | 24.0% | 1,332-95-308 | 23.1% | -0.9ポイント |
| ダイワメジャー | 2,622-191-544 | 20.7% | 1,403-101-268 | 19.1% | -1.6ポイント |
| キンシャサノキセキ | 3,052-215-750 | 24.6% | 1,740-125-398 | 22.9% | -1.7ポイント |
| サウスヴィグラス | 2,669-215-640 | 24.0% | 1,294-102-288 | 22.3% | -1.7ポイント |
| シニスターミニスター | 3,326-350-905 | 27.2% | 1,770-159-451 | 25.5% | -1.7ポイント |
| キズナ | 1,931-216-556 | 28.8% | 1,225-119-328 | 26.8% | -2.0ポイント |
| パイロ | 2,920-250-739 | 25.3% | 1,766-134-407 | 23.0% | -2.3ポイント |
| オルフェーヴル | 1,944-175-460 | 23.7% | 1,050-75-224 | 21.3% | -2.3ポイント |
| マジェスティックウォリアー | 1,972-161-465 | 23.6% | 1,055-77-209 | 19.8% | -3.8ポイント |
※2016年1月5日〜2026年10月25日のJRAのダートの平地の全レース
ダートの18頭では、差が目安を超えたのはマジェスティックウォリアーの1頭だけで、偶然で出る数(1頭前後)と変わらない。2016〜2020年と2021〜2026年に分けると、どちらも右・左300走以上の12頭で前後の差の相関は-0.28で、向きもそろわなかった。例えばオルフェーヴルは前半-8.6ポイント、後半+2.1ポイントだ。ダートでは、父ごとに見ても回りで成績が変わるとは言えない。
まとめ
2016年1月から2026年10月25日までのJRAの平地で、右回りと左回りを5走以上ずつした馬(芝3,818頭、ダート4,142頭)の複勝率の差は、偶然だけで出る差とほぼ同じ幅に収まった。キャリアの前半で回りの差が大きかった馬も、後半では差がほとんど残らない。1頭の数走〜十数走の成績で「左回りが得意」「右回りが苦手」と見分けるのは、数字の上では難しい。
父ごとに産駒をまとめると、芝ではエピファネイア・モーリスが左回りで上がり、ブラックタイド・ハービンジャーが下がって、4頭の差がぶれの目安を超えた。ただし左回りは東京・中京・新潟の3場だけで、モーリスやロードカナロアの上がり幅はほとんどが東京の分だ。回りの向きそのものか、競馬場の形の違いかは、この数え方では分けられない。ダートの父には、目安を超える差がほぼ見られなかった。
左回りの3場のうち、東京のコースの特徴は東京競馬場ガイドにまとめている。
左回りで複勝率が上がったエピファネイアの産駒の全体は、エピファネイア産駒の特徴と血統にある。
馬場の違いで父の成績を比べたものは、重馬場に強い血統は?にまとめている。
よくある質問
- 左回りが得意な馬は本当にいる?
- 2016年1月〜2026年10月25日のJRAの平地で、右回りと左回りを5走以上ずつした馬の複勝率の差を数えると、その散らばりは偶然だけで出る散らばりとほぼ同じだった。得意・不得意があったとしても、1頭あたり数走〜十数走の成績では偶然と区別できない大きさだ。陣営が向くと見た回りを選んで使う偏りもあり、その分は補正していない。
- 左回りで成績が良かった馬は、次も左回りで成績が良い?
- キャリアの前半で左回りの複勝率が右回りより20ポイント以上高かった馬(芝473頭)は、後半では差の平均が+0.8ポイントに縮んだ。前半の差と後半の差の相関は芝0.04、ダート0.05で、ほとんど続かなかった。
- 左回りで成績が上がる種牡馬(父)は?
- 芝で右・左とも1,000走以上の父17頭では、エピファネイア(複勝率 右27.0%→左30.2%)とモーリス(25.8%→28.8%)の差が目安(標準誤差の2倍)を超えた。左回りは東京・中京・新潟の3場だけなので、回りの差か、競馬場の形の差かは分けられない。
- 左回りで成績が下がる種牡馬(父)は?
- 同じ数え方で、ブラックタイド(右19.0%→左15.4%)とハービンジャー(24.6%→21.9%)の差が目安を超えた。ブラックタイドは東京・中京・新潟のどれでも右回りより複勝率が低かった。
- JRAで左回りの競馬場はどこ?
- 新潟・東京・中京の3場で、札幌・函館・福島・中山・京都・阪神・小倉の7場は右回り。新潟の芝1,000mは直線だけを走るコースで、右回りでも左回りでもない。






