大種牡馬ブライアンズタイムの仔、カフェブリリアントが3連勝の勢いに乗り、GI戴冠へ名乗りを挙げた。
5月17日に行われるヴィクトリアマイルで初のビッグタイトル獲得を目指す。勝利すれば、ブライアンズタイム産駒として17頭目のGIウィナーとなる。
今回はそんなカフェブリリアントの父ブライアンズタイムにスポットを当ててみたい。
目次
死亡してなお影響力のある種牡馬
ブライアンズタイムは、2013年4月4日午前、アロースタッドの放牧地で大腿骨を骨折して安楽死となった。28歳だった。健康に問題はなく、種付けを行った直後の放牧で転んでしまったことによる骨折であったのは惜しまれる。
彼は現在、JRA産駒勝利数第3位の種牡馬であり、彼の仔たち無くして、数々の名場面は生まれなかったといって過言ではない。種牡馬の中の種牡馬である。
死亡してなお、産駒が活躍しているのだから恐れ入る。しかも種牡馬としては超高齢といえる20代半ばに種付けした産駒たちなのだから、遺伝力の強さに感嘆する他ない。
“御三家”と呼ばれた90年代
種牡馬としての代表産駒はなんといっても20世紀最後のクラシック三冠馬となったナリタブライアンだ。ほかにもマヤノトップガン、タニノギムレットなど多くのGⅠ馬を輩出している。90年代には、サンデーサイレンス(16歳没、産駒勝利数1位)、トニービン(17歳没、同13位)とともに”御三家”と呼ばれるほど、影響力のある種牡馬だった。
タニノギムレット、マヤノトップガンは種牡馬としても活躍し、“女傑”ウオッカを筆頭に秀逸な馬たちを世に送り出している。なお、残念ながらナリタブライアンは種牡馬入り2年後、胃破裂を起こし亡くなってしまったが、存命ならば、活躍馬を輩出したに違いない。
07年以来のGI制覇へ
1991年から99年まで、毎年産駒GⅠ戴冠を果たしていた偉大な種牡馬はさすがに2000年代に入ってからペースダウンした。それでも2007年にヴィクトリーが皐月賞を制し、フリオーソがダート界で輝くなど、要所要所で存在感を示している。
当然のことながら“御三家”の産駒で残っているのはブライアンズタイムのみ。サンデーサイレンス系の勢いに押されてしまっているものの、偉大な大種牡馬の直仔が90年代に争ったサンデーの仔の産駒たちと走るというのも、またひとつ、血のドラマとして感慨深いものがあるのではないだろうか。
ヴィクトリアマイルでカフェブリリアントが勝利を飾れば、2012年のエリザベス女王杯におけるレインボーダリア以来の戴冠となる。果たして愛娘は父に久々のGIタイトルを届けられるのか? 興味深い着眼点の一つになるはずだ。
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