福永祐一騎手はダービージョッキーになれるのか?苦戦の歴史を紐解く

福永祐一騎手がダービージョッキーへの挑戦権を得た。

5月31日に東京競馬場で行われる第82回東京優駿・日本ダービー(GI/芝2400m)にリアルスティールとともに臨むのだ。リアルスティールは共同通信杯を制し、皐月賞で2着になった世代屈指の有力馬だ。当日は皐月賞馬ドゥラメンテに次ぐ2番人気に支持されることが確実視されている。

果たして福永騎手は“悲願”を達成できるのか。彼の挑戦の歴史と、可能性について探っていこう。


目次

ほろ苦すぎるダービーデビュー

福永騎手は今日、トップジョッキーのひとりとして評価されている。有力馬を任されることも少なくない。ただし、いまだにダービーを勝てていない。

福永騎手の苦悩の歴史は、1998年に幕を開けた。そしてこの騎乗が後の苦悩を予見するものだった。デビュー以来、コンビを組み続けたキングヘイローに騎乗すると、皐月賞で2着になったこともあって2番人気に支持された。

しかし、福永騎手は愛馬を抑えることができず、デビューから一度もやったことがなかった逃げの手を打つことに。結果、2番人気ながら14着と大敗してしまった。彼自身、後に「失敗だった」と認めるほど、想定外の騎乗をしてしまったのだ。

以降、ダービーでは1番人気1頭を含め、5番人気以内の有力馬6頭に騎乗したが、最高成績は2着(2回)。トップジョッキーでありながら、皐月賞を含めて春の牡馬クラシックは無冠となっている。

●詳細→福永祐一騎手、春の牡馬クラシックで2着6回…届きそうで届かない“あと一歩の歴史”

苦戦の理由

福永騎手が牡馬のクラシックで勝てないのは、騎乗スタイルがオーソドックスすぎる点にある。上記したリンク先から引用しよう。

実績のとおり、平場では最も買える騎手の1人だ。ソツのない騎乗をするため、才能のある馬を普通に勝たせることはできる。だから、多くの陣営が福永騎手に騎乗を依頼する。

ただし、「ソツのない」というのは必ずしも褒め言葉ではない。例えば「無難」と言い換えることができる。この「無難な騎乗」は平場ではいいかもしれないが、重賞レベルになると足元をすくわれるケースが多い。

特にGIはすべての騎手が勝ちたいと思っている。そういった環境で80点の騎乗をしても、100点の騎乗をしたジョッキーに勝利をかっさらわれてしまうのだ。

なお、皐月賞では100点に近い騎乗をしたが、ドゥラメンテの反則級の末脚に屈した。いい騎乗をしても、それを上回る何かに邪魔されて栄冠を取り逃してきたわけだ。

再び苦戦を強いられる?

今回はワールドエースやエピファネイアの時と同じくらい、チャンスがあると捉えていい。騎乗馬の質としては期待が持てる。

ただし、福永騎手自身がダービーを苦手にしている点は気になる。例えば皐月賞と比較してみよう。

皐月賞は勝っていないものの(0−4−2−8)と比較的いい成績を残している。2着が4回、3着が2回の他にも5着が3回あり、掲示板率は64%だ。

一方、ダービーは大敗することが多く、掲示板率は33%程度。アサクサキングスに騎乗して2着になった年は完全な“展開利”だったことを考えると、「福永騎手だから好走できた」というのはエピファネイアくらいしかいない。

今年も簡単な挑戦でないことは確かなのだ。

呪縛を打ち破れるか

もっとも、連敗記録というのはいつか止まるもの。今の福永騎手の技術と騎乗馬の質であれば、ダービーを勝っても不思議ではない。

幸い、今年はダービーを狙えるパートナーとともに参戦する。

キングヘイローに騎乗してから17年、福永騎手がどんな騎乗をするのか、注目したい。

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