岩田康誠という天才勝負師…“神騎乗”の数々と驚異のGI回収率

岩田康誠というジョッキーは恐ろしい。

お世辞にもイケメンとはいえない風貌、“焼きそば”と呼ばれる騎乗フォーム、時に果敢すぎる(悪く言えば無謀な)騎乗ぶりと制裁の数々……。世間様に嫌われる要素はこれでもかというほど揃っている。当然、武豊騎手のようなスター性も華やかさもない。

しかし、競馬は勝負事だ。華やかさなど必要ない。勝つか負けるか。それがすべて。

そういう観点から見ると、岩田騎手ほど頼れるジョッキーはいない。

今回は4月12日に行われた桜花賞でレッツゴードンキを優勝に導いた“勝負師”にスポットライトを当ててみよう。

目次

驚異の“勝ちきり”

岩田騎手といえばなんといっても大舞台に強い。地方競馬からの移籍組ながら中央GI勝利数は24。2006年に移籍したため、JRAの騎手としてのキャリアは10年に満たない。それでいてこの数字は驚異的と言っていい。

岩田騎手の凄さは判断力と勝負強さにある。GIは少しの判断ミスや油断が敗北につながる。言い換えると、一瞬の判断が勝利につながる。その“一瞬”を見極めることができるのが、岩田という騎手なのだ。

GIにおける通算成績を見てみると……

(24―16―18―121)
勝率13%
複勝率32%
単勝回収値150
複勝回収値86

強調したいのは、明らかに「勝ち切っている」点だ。2着が16回、3着18回に対し、1着は24回もある。

しかも24勝のうち、1番人気で勝ったのは5回だけ。2番人気7頭、3番人気5頭をはじめとし、11番人気や13番人気といった“伏兵”で勝ち星を挙げているのだ。だから単勝回収値は150という驚異的な数字となっている。

いかにGIで勝ちきれる騎手か。力の劣る馬でも勝たせられるジョッキーか。

このデータを見れば、明らかだろう。

“神騎乗”の数々

岩田騎手といえば神がかり的な騎乗、いわゆる“神騎乗”の印象が深い。

ここではいくつか“神騎乗”を紹介していこう。

2010年 マイルチャンピオンシップ

岩田騎手は13番人気のエーシンフォワードに騎乗した。外枠の13番を引いたが、好スタートを切ると、すぐさま内に入れる。距離ロスを防いで脚をため、直線では内をついて外を回った差し馬たちをおさえて1着となった。

2010年 皐月賞

1番人気のヴィクトワールピサに騎乗。この騎乗がまた素晴らしかった。13番からスタートしたため外を回って距離をロスするリスクがあった。しかし、巧みな手綱さばきでいつの間にか内へ。直線では最内をついて、猛追するヒルノダムールらをおさえて優勝を飾った。

2014年 マイルチャンピオンシップ

最近ではこれが一番印象深いはずだ。8番人気のダノンシャークに騎乗すると、馬群の内で我慢させて最後の直線へ。直線の半ばまで追い出しを待って満を持してスパートし、最内からフィエロを捉えて見事に勝ち切ってみせた。

“岩田時代”は続く?

上記したレース以外にも、ハープスターを破ったヌーヴォレコルトのオークスや、オルフェーヴルに競り勝ったジェンティルドンナのジャパンカップなど、好騎乗を挙げればきりがない。

先週の桜花賞でも、改めて岩田騎手の凄さを見せつけられた方は多かったはずだ。今年に入ってやや不調に陥っていたが、アドマイヤデウスの日経新春杯などを見ても、騎乗技術に衰えは見られない。

近年は外国人ジョッキーの台頭により日本人ジョッキーは苦しい立場に立たされている。しかし、岩田騎手にはほとんど関係ない。彼は数少ない“GIで勝てる日本人騎手”なのだ。今後も重宝されるだろうし、GIで大仕事をやってのけるだろう。

まだしばらく、“岩田時代”は続いていきそうだ。

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