牡馬クラシック初戦の皐月賞はフルゲート割れが確実になった。開催2週間前に発表された登録馬は全部で19頭。そこからアンビシャスが回避を決め、シャイニングレイ、アダムスブリッジ、グァンチャーレがアクシデントにより離脱となり、15日の時点で出走可能なのは15頭となっている。

競馬ファンなら誰もが注目するクラシックがフルゲート割れというのは残念でならない。また、馬主としても「であれば出たかった……」という方が多いのではないだろうか?

そうなると、考えてみたくなるのが「クラシックの追加登録制度について」である。

目次

現在のクラシック登録制度

JRAは5大競争(桜花賞、皐月賞、オークス、日本ダービー、菊花賞)の登録を3段階に設定している。詳しくはこちらの記事を参照してほしい。

皐月賞は15頭立て以下に…追加登録の期限とは?レース当週には認められず

要約すると、

・第1、2回登録をしないと多額の追加登録料(200万円)が発生
・第3回登録が締め切られると追加登録は不可能

ということだ。ここに少なくない問題が潜んでいる。

例えば皐月賞の場合、第3回登録の締め切りは4月5日に設定されている。レースの2週間前に締め切られてしまうわけだ。この締切日、早過ぎるのではないだろうか? レースまで2週間も間があれば、アクシデントが起こることは十分に考えられる。事実、今回は3頭がアクシデントにより回避することになりそうだ。

さすがに1日、2日前に回避馬が出てそれから追加登録というのは難しいが、せめて1週間前や追い切り(主に当週の水曜日)まで、登録期間を延長してはどうだろうか?

凱旋門賞の場合

例えば、凱旋門賞は直前まで追加登録が認められている。2015年の場合、レース開催日が10月5日に対し、10月2日の11時半が追加登録の期限だ。

直前まで門を開けつつ、莫大な追加登録料(12万ユーロ=約1700万円)を設定することで“記念出走”や“ひやかし登録”を排除している。結果、勝負気配のある馬のみが追加登録するため、運営にとっても馬主にとっても“Win-Win”の関係ができている。

日本も現行の制度に加え、「当週の水曜日までなら500万円で追加登録可能」などの仕組みを作ってみてはどうだろうか? これならJRAは莫大な登録料を得て、馬主はクラシックへの出走が叶い、ファンはフルゲートのレースを見ることができる。

勝負気配ムンムンの追加登録馬たち

実際、追加登録料を支払って出走してくる馬の勝負度合いは高い。

近年では2013年のオークスが思い出される。第1、2回登録を行っていなかったメイショウマンボは桜花賞を終えた後、武幸四郎騎手の進言もあって出走を表明。追加登録料200万円を支払って出走した結果、見事に1着となった。

また、2014年の菊花賞を制したトーホウジャッカルも、第1、2回登録を行っていなかった。神戸新聞杯で菊花賞への優先出走権を得たため、急遽登録を行い、淀の3000mを1着で駆け抜けるに至っている。

凱旋門賞を見ても同じような事例がある。2013年のトレヴは追加登録料を支払って出走。オルフェーヴルを破って1着となったのはあまりにも有名な話だ。

勝負気配のある馬はレースを盛り上げる。そういう意味で、追加登録の期間を延長するメリットは大きい。

今回の皐月賞を教訓に

クラシックがフルゲート割れするというの極めて珍しい。事実、皐月賞が最後にフルゲート割れしたのは1980年まで遡らなければならない。だから今回のことはまさに“異例の事態”といっていい。JRAとしてもここまで想定するのは難しかったと推測する。今までは現行の制度でうまくいっていたのだから、特に批判するつもりはない。

ただ、今回のことで現行の制度に“穴”があることが分かった。こういった事態が起こった以上、制度の見直しが必要なのではないだろうか?

おそらく外側から見えないデメリットもあるのだろうが、やはりクラシックのフルゲート割れというのはやや残念に思える。世代の頂点を決める舞台なのだから、可能なかぎり、門を開いてファンがワクワクするようなレースを作り上げてほしい。JRAの対応に期待したいところだ。

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