4月23日に東京競馬場で行われたフローラステークス(GII/芝2000m)は、12番人気のハービンジャー産駒モズカッチャン(牝3)が粘るヤマカツグレース(牝3)をおさえて重賞初制覇を果たした。
1番人気のホウオウパフュームは馬群に沈み、8着だった。
勝ち馬の勝因、敗れた馬たちの敗因は何だったのか? 振り返っていくことにしよう。
目次
レース映像・動画
フローラステークス映像はこちらから(※JRA公式サイト→レース結果→重賞レース結果のページでご覧いただけます)
結果・着順
2017年 4月23日(日) 2回東京2日 天候 : 晴 馬場状態 : 良
【11R】 第52回サンケイスポーツ賞フローラS
3歳・オープン・G2(馬齢) (牝)(国際)(指定) 芝 2000m 18頭立
着 | 馬 | 馬名S | 性齢 | 人 |
---|---|---|---|---|
1 | 1 | モズカッチャン | 牝3 | 12 |
2 | 7 | ヤマカツグレース | 牝3 | 10 |
3 | 14 | フローレスマジック | 牝3 | 2 |
4 | 6 | タガノアスワド | 牝3 | 3 |
5 | 16 | レッドコルディス | 牝3 | 11 |
6 | 13 | アロンザモナ | 牝3 | 15 |
7 | 9 | アドマイヤローザ | 牝3 | 4 |
8 | 5 | ホウオウパフューム | 牝3 | 1 |
9 | 11 | ビルズトレジャー | 牝3 | 9 |
10 | 15 | ニシノアモーレ | 牝3 | 13 |
11 | 2 | ザクイーン | 牝3 | 5 |
12 | 3 | キャナルストリート | 牝3 | 8 |
13 | 8 | ドリームマジック | 牝3 | 14 |
14 | 12 | ディーパワンサ | 牝3 | 6 |
15 | 4 | レッドミラベル | 牝3 | 7 |
16 | 18 | ピスカデーラ | 牝3 | 17 |
17 | 17 | ラユロット | 牝3 | 16 |
18 | 10 | メイショウササユリ | 牝3 | 18 |
LAP 13.0-12.1-12.0-11.8-12.6-12.8-12.3-11.5-11.2-12.0
通過 37.1-48.9-61.5-74.3
上り 72.4-59.8-47.0-34.7
平均 1F:12.13 / 3F:36.39
レース分析
端的に言えば「スローペースの位置取り、枠順決着」となった。
13.0-12.1-12.0-11.8-12.6-12.8-12.3-11.5-11.2-12.0
前半1000mの通過は61.5秒。後半は59.8秒だから、2秒近い差がある展開になった。これでは、後続は届かない。上位の馬たちの通過順と枠順を見てみると……
馬 | 馬名S | 通過順位 |
---|---|---|
1 | モズカッチャン | 07-07-08 |
7 | ヤマカツグレース | 02-02-02 |
14 | フローレスマジック | 03-03-03 |
6 | タガノアスワド | 01-01-01 |
16 | レッドコルディス | 11-11-09 |
13 | アロンザモナ | 04-06-06 |
といった具合だ。内枠に入る、もしくは外枠ながら先行したり、内に潜り込んだ馬たちが上位に入った。
ホウオウパフュームなど、位置取りを悪くして直線に懸けた馬たちは軒並み伸びず。単純に、そういうレースだったということで割り切っていい。
出走馬勝因、敗因、次走への展望
1着 モズカッチャン
1枠1番の人気薄が1着になるというのが、このレースの本質を示していたように思う。確かにややなめられすぎの感はあったが、それにしてもペースと枠順に恵まれた結果。例えば枠が少しでも外であったなら、違った結果になっていただろう。
ハービンジャー×キングカメハメハという配合なので距離が伸びる分には問題ないだろう。ただし、単純な実力という意味でオークスでは苦戦を強いられることは必須と思われる。
2着 ヤマカツグレース
同じく枠順と展開がかなり見方した。同じハービンジャー産駒のモズカッチャンとのワンツーということで何らかのバイアスがきいたかもしれない、ということは考えられる。逆にいうと、それくらい恵まれないと今後好走するのは厳しいということ。
3着 フローレスマジック
外枠というハンデがありながら、先行策を取ったことが結果として吉と出た。
サトノアラジンやラキシスの全兄弟ということで、血統的な期待がかかる馬だ。ただし、兄弟を見てみると、どうしても晩成型という感は否めない。ラキシス、サトノアラジン、サトノケンシロウともに春のクラシックには間に合わず、秋や古馬になってから本格化した馬だ。
この馬もまだまだ未完成。本格化は先で、オークスでも簡単ではないと考えたほうがいいだろう。優先出走権を獲得した3頭の中では、一番可能性がありそうだが……。
4着 タガノアスワド
同じく先行策をとったことでかなり恵まれた。ネオユニヴァース産駒は東京や重賞における期待値の高くない馬だけに、頑張ったとは言えるが、逆にこれだけの展開で粘れななかったことがこの馬の実力を示しているとも考えられる。次、過剰な人気になるなら、考えたほうがいいだろう。
5着 レッドコルディス
大外枠でコーナーも外外を回ったということを考えれば、この順位は立派といえるかもしれない。前走もスローペースの位置取り決着に悩まされただけに、ある程度ペースが流れるレースになれば十分にチャンスがありそう。
ハーツクライ産駒ということもあり、まだまだ成長を期待できる馬だろう。
6着 アロンザモナ
この展開でこの着順だと厳しい。
7着 アドマイヤローザ
位置取りの差。見直し可。
8着 ホウオウパフューム
率直に言えば、展開としては仕方なかった。ただし、やや不満の残る内容だった感は否めない。スタートは非常によかったし、多少押していってポジションを取ろうと思えば取れたはずだ。しかし、田辺裕信騎手は馬に任せてポジションを下げ、結果として展開に恵まれなかった。直線でもかなり窮屈な競馬を強いられた。
もちろん展開や馬場は言い訳にできる要素だが、圧倒的一番人気で内枠に入ったのであればもっと積極的な競馬をしてもよかったのではないか? 今までの競馬を見ても33秒台の脚を使ったことがないし、血統的に見てもハーツクライ×キングマンボは明らかに重く、瞬発力勝負には向いていない。
例えば半兄のジューヴルエールも、父ディープインパクトながら全く切れるタイプの馬ではなかった。この馬もそうだろうし、だとしたら、この競馬では厳しい。
本質的にはスタミナを生かして台頭できるタイプなので、もっと積極的な競馬をしたいし、タフな条件での巻き返しが期待される。
9着 ビルズトレジャー
位置取りの差。見直し可。
10着 ニシノアモーレ
位置取りの差。見直し可。