まず、大変不謹慎なタイトルをつけてしまったことをお詫びしたい。
関係者の皆様、申し訳ない。
こんなことを書いておいてなんだが、悪意はない。陥れるつもりも全くない。(ただ事実として、少なくない方が「え?レッツゴードンキ?」と、1度は思ったのではないだろうか?)むしろ今回は彼女の強さについて書いていきたい。
控え目に言ってもかなり個性的な名前のレッツゴードンキは4月12日に行われたクラシック第1戦の桜花賞を制した。好スタートからハナを奪い、逃げ馬ながら直線で33.5秒の末脚を披露した。これでは後続のライバルたちは届かない。
なぜ彼女は桜花賞を勝てたのか? 今回はヒロイン誕生の背景に迫っていきたい。
目次
確かな実力
そもそもレッツゴードンキは舐められすぎていた。札幌2歳ステークスではブライトエンブレムやミュゼエイリアンといったメンバーの中で3着に好走。桜花賞と同じ舞台で行われる阪神ジュベナイルフィリーズとチューリップ賞でも馬券に絡んだ。
どんなレースでも上位に食い込むというのは実力がなければできない。1勝馬であったとはいえ、実力は世代屈指だったのだ。
ルージュバックの一本かぶりだったため、「伏兵が勝った」かのように報じられているが、彼女の戦績を見れば納得の結果と言える。
操作性の高さ
桜花賞制覇につながった最大の要因が操作性の高さだ。この馬の強みはどんな競馬でもできることにある。
札幌2歳Sでは好位から抜けだして3着。阪神JFでは控える競馬をして2着。そしてチューリップ賞では逃げて3着を確保した。
どんな位置取りからも競馬ができるため、展開に左右されることが少ない。むしろ、自分でレースを作ることができる。その強みが最大限に発揮されたのが、桜花賞だった。
今回の桜花賞は歴史的なスローペースだった。
12.7-11.7-12.7-12.9-12.5-11.3-10.7-11.5
マイルGIで道中が12秒台後半のラップを連発するというのは通常ではありえない。過去の桜花賞を振り返っても、近年ではダントツの遅さだ。後方からしか競馬ができない馬であれば、スローペースに対応できずに馬群に沈んでいたことだろう。
しかし、レッツゴードンキは好スタートから先頭に立ち、レースを支配することができた。どんな競馬でもできる強みを持っていたからこそ、成し遂げられた桜花賞制覇だったのだ。
岩田康誠騎手の勝負強さ
そしてパートナーの岩田康誠騎手の勝負強さが光った。
多くの騎手は折り合いに専念するため馬を下げた。そんな中、誰もいかないと分かるとレッツゴードンキを無理におさえずに先頭へいざなった。
ハナを切ったことによりレースを支配し、自分の有利な流れを作ることができた。有力馬が大一番で逃げるというのは勇気がいる。テンションが上がりすぎて暴走し、大敗というケースも少なくないからだ。
そのリスクを背負いながら、逃げるという選択をとった岩田騎手はどの騎手よりも一枚上手だった。
現代競馬で必要なこと
まとめると、「GI級の力」を持つ「操作性の高いレッツゴードンキ」に「岩田騎手の判断力と勝負強さ」が加わったことが桜花賞制覇につながったわけだ。
圧倒的な末脚で他馬を抜き去るような分かりやすい強さではない。むしろ「恵まれた」と思われがちな地味な勝ち方だった。
しかし、馬場の改良によって先行馬が圧倒的に有利な現代競馬では、操作性の高さが何よりも武器になる。レッツゴードンキは、現代競馬で勝つために必要なことを桜花賞という大舞台で示したのだ。
言い換えると、個性的な名前の彼女は「桜花賞馬」の称号にふさわしい素晴らしい競馬をしたといえる。
次なる戦いは東京芝2400mのオークス。桜の女王がどんな競馬を見せるのか、今から楽しみだ。