2017年12月28日、中山競馬場でホープフルステークス(GI/芝内回り2000m)が行われる。ルーカス、ジャンダルム、タイムフライヤー、フラットレー、サンリヴァル、ナスノシンフォニー、シャルルマーニュらが出走するが、どんなレースが展開されるのか? 台頭する可能性を秘めた伏兵とは?
人気の一角となることが確実なルーカスは、天皇賞・秋、安田記念、マイルチャンピオンシップ、香港カップ、香港マイル、チャンピオンズカップとGIを6勝したモーリスの全弟で、デビュー前から期待を集めた。新馬戦を快勝し、続く東スポ杯2歳Sで2着と、順調な滑り出しで、クラシック戦線に乗りつつある。
ただ、血統背景や、年間GI最多勝記録の更新がかかるミルコ・デムーロ騎手が鞍上ということなどから、人気が先行気味であることは確実。人気ほどの信頼感があるかとなると微妙だ。
目次
不安① 完成度の差
のちに日本を代表する馬となった兄モーリスも、本格化したのは古馬になってから。2歳時は、デビュー戦をレコード勝ちするなど、潜在能力の高さを見せていたものの、京王杯2歳Sで1番人気ながら6着に敗れるなど、もろい面もあった。
ルーカスも、まだ肉体的にも精神的にも、完成にはほど遠い現状。トモが緩く、馬体には成長の余地が多く残されており、前進気勢に欠けたり、レースに集中しきれていなかったりと、精神的にもまだ幼い。
陣営も、前2走で騎乗したモレイラ騎手、ムーア騎手も、ポテンシャルの高さを認めつつ、完成するのはまだ先だと口を揃えている。
前走の東スポ杯2歳Sは2着だったが、勝ったワグネリアンには3馬身もの差を付けられての完敗。完成度の差で圧倒されたという感じだった。完成度の面では、同世代のトップクラスには劣るだろう。
不安② 中山コース
その前走は後方からの競馬。勝負どころで鞍上に促されてもスムーズに加速せず、エンジンがかかるのに時間がかかった。直線で一旦は最後方までポジションを下げ、ようやく追撃態勢に入った時には、ワグネリアンははるか前を走っていた。
デビュー戦は能力の違っていたために、小回りの札幌も問題にしなかったが、重賞となれば状況は大きく変わる。まだ前進気勢に欠ける点やスムーズに加速できない点は、中山コースでは致命的な弱点になりうる。
不安③ 厩舎の2歳戦実績
堀厩舎は、国内でGI11勝、海外でもGI5勝を挙げている、日本を代表するトップステーブル。馬が若い頃には決して無理をさせず、成長に合わせてじっくり育てていく手法だ。
ドゥラメンテが皐月賞、ダービーを勝ってはいるが、代表管理馬のGI初制覇を飾った時期を見ても、キンシャサノキセキが7歳春(高松宮記念)、ジャガーメイルが6歳春(天皇賞)、ストロングリターンが6歳春(安田記念)とサトノクラウンが4歳秋(香港ヴァーズ)と、古馬になってから本格化する馬が多い。
国内の重賞51勝のうち、41勝を3歳秋以降の時期にマークしている。2歳重賞は出走回数自体が14回と少ない。そして勝ったのは、2014年の東スポ杯2歳S(サトノクラウン)のみだ。
厩舎の育成方針からも、ここを全力で勝ちにくるとは考えづらい。
不安④ 最終追い切りで放馬
21日には、ミルコ・デムーロ騎手が美浦トレセンに駆けつけ、追い切りに騎乗。初コンタクトで好感触を得ていたようだ。
しかし、25日にウッドコースで行われた最終追い切りでは、最後の直線で調教助手が落馬して放馬。空馬のままコースを1周してしまった。
幸い故障などはなく無事に出走してきたが、一時は回避の話も出たほど。無理をさせない堀厩舎が出走させてきたということは、馬の状態には全く異常がないということになるが、精神面など見えない部分での影響は気になるところだ。
まとめ
随所に能力の片鱗を見せつつも、まだ完成には程遠いといえるルーカス。そんな現状でこのレースを勝つようなら、来年のクラシック戦線の主役になることは間違いない。
GIホープフルステークスの初代王者を懸けた戦いで、どんなパフォーマンスを見せてくれるだろうか。