“0.8秒と衝撃”ならぬ、31秒9の衝撃――。
4月26日に京都競馬場で行われたマイラーズカップ(GII/芝外回り1600m)でディアデラマドレ(牝5)が信じされない上がりを記録した。
やや出負けして最後方から競馬を進めたディアデラマドレは最後の直線で追い出されると、絶望的な位置取りからぐんぐん前の馬たちを追い越していく。最後はわずか0.4秒差届かずに7着となったが、記録した上がり3ハロンのタイムは2位のフィエロ(牡6)に0.6秒差をつける31秒9だったのだ。
スプリントレースでも滅多に見ない上がりタイムに衝撃を受けた。果たして、今まで31秒9を記録した馬がいるのか? 気になって調べてみることにした。
目次
驚異の上がりタイム
結論から言うと、1600mで上がり31秒台を記録したのは史上初めて。2010年の関屋記念(GIII/新潟芝1600m)でテイエムアタックが32秒フラットを記録しているが、31秒台というのは過去に例を見ない。
1600mどころか、1200m以上で31秒台を記録したのはディアデラマドレを含めてわずか2回。2008年の新潟大賞典(GIII/芝2000m)でオースミグラスワンが31秒9をマークして以来の驚異的な数字だ。
ここで注目したいのは、テイエムアタックとオースミグラスワンの記録が出たのがどちらも新潟だという点だ。
新潟競馬場は、JRAで最も軽い芝(=タイムが出やすい)として知られている。
“激走レンジ”でお馴染みの予想家・棟広良隆氏も芝の重さ、軽さに関する見解で「軽い芝」として真っ先に新潟を挙げている。
http://munehiro.net/range.html
近年、京都の馬場が高速化しているとはいえ、上がり31秒台が出るというのは異例の出来事だ。ちなみに京都の最速上がりは2014年の鞍馬ステークス(OP/芝1200m)における32秒1。スプリント戦の最速上がりより0.2秒も速いというのは驚異という他ない。
心配される反動
今後はヴィクトリアマイル(GI/芝1600m)を目指していくと見られる。当然、そこでも有力馬の1頭に支持されるはずだ。
ただ、これだけ速いタイムを記録すると、反動が心配される。
高速馬場で速いタイムを出した馬が故障するというケースは珍しいことではない。少し古い例ではあるが、高速馬場が特に問題視された2012年の天皇賞春とダービーにおける出走馬のその後を見てみると……
天皇賞春
ジャガーメイル→骨折で全治3カ月
フェイトフルウォー→両前脚の裏筋の腱を負傷。屈腱炎の疑い
ナムラクレセント→左前脚を負傷
トーセンジョーダン→左前球節炎日本ダービー
トーセンホマレボシ 右前脚屈腱炎→引退
ワールドエース 左前脚屈腱炎
コスモオオゾラ 両第1指骨剥離骨折
グランデッツァ 腱周囲炎(腱鞘の炎症)
アルフレード 右前浅屈腱炎
多くの馬が戦線離脱を余儀なくされている。走破タイム自体、1分32秒6という速いものだった。今後は脚元に細心の注意を払って大レースに備えてほしい。
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