調教師になるには|免許試験は28歳以上、2026年度の倍率は約30倍
この記事の要点
- JRAの調教師になるには、JRAの調教師免許試験(新規)に合格して免許を受ける必要がある。JRAの規程では、調教師の免許試験を受けられるのは28歳以上の者だ
- 試験は1次の筆記(3科目・300点)と2次の口頭試験(500点)・人物考査の2段階。2027年度の要領では、2次は2026年12月1〜3日に東京競馬場で行う
- 2026年度の新規の試験は応募118名に対して合格4名で、倍率は約30倍。合格者4名のうち2名は現役のJRA騎手だった
- 調教師の免許の有効期間は1年で、毎年更新の試験を受ける。地方競馬の調教師は、地方競馬全国協会の免許試験(28歳以上)を受ける

目次
JRAの調教師になるには、JRAの調教師免許試験に合格して、調教師の免許を受ける必要がある。JRAの規程では、調教師の免許試験を受けられるのは28歳以上の者だ。2026年度の新規の試験は応募118名に対して合格4名で、倍率は約30倍だった。本記事では、受験の条件、試験の日程と中身、合格者数、調教師の取り分の決まり、地方競馬の調教師になる道を整理する。
調教師とはどんな仕事?
調教師は、馬主から競走馬を預かり、調教と管理を受け持つ責任者だ。JRAの規程では、調教師は馬の所有者と預託契約を結んだときや解除したときに、JRAに届け出ることになっている。
厩舎で働く調教助手や厩務員を置くのも調教師だ。調教助手は毎年JRAの理事長の承認を受けて置き、厩務員はトレーニング・センター場長などの承認を受けて置く。JRA競馬学校は、厩舎スタッフを「調教師のもとで馬を世話する人」と説明している。
管理する馬を出走させるとき、調教師はその競馬場で業務を行わなければならない。病気などで行けないときは、裁決委員の許可を受けて、ほかの調教師に頼むか、JRAが指定した自分の厩舎の調教助手・厩務員に代わってもらう。
調教師になるまでの流れは?
JRAの新規の調教師免許試験は、1次と2次の2段階だ。2027年度の免許の試験は、2026年7月29日に出た試験要領で次の日程になっている。申請の受付は2026年9月2日で締め切られ、1次試験も終わっている。
| 順番 | やること | 日程(2027年度の要領) |
|---|---|---|
| 1 | 申請書類を出す | 2026年8月12日〜9月2日 |
| 2 | 第1次試験(筆記) | 2026年9月9日(栗東か美浦のトレーニング・センター) |
| 3 | 第1次試験の合格発表 | 2026年10月8日(受験番号で発表することになっていた) |
| 4 | 第2次試験(口頭試験・人物考査) | 2026年12月1日〜3日(東京競馬場) |
| 5 | 第2次試験の合格発表 | 2026年12月10日の予定(氏名で発表) |
| 6 | 調教師の免許を受ける | 2027年1月1日(現役の騎手は3月1日も選べる) |
2027年1月1日に免許を受けた人は、続けて2027年度の更新の試験も受け、受かると3月1日からの免許に切り替わる。調教師の免許の有効期間は1年で、毎年更新の試験を受ける。免許証を受け取るときには、免許手数料3,000円がかかる。
JRAの規程では、調教師の免許試験は毎年2回以内行うことになっている。
調教師の受験資格は?年齢は28歳以上
JRAの調教師免許試験を受けられるのは、受験日に28歳以上の者だ。外国で馬の調教の免許を受けている28歳未満の人は、JRAの理事長が適当と認めれば受験できる。
年齢のほかに、次に当たる人は調教師の免許を受けられない。2027年度の試験要領の主なものは次のとおりだ。
- 破産して復権を得ていない人、拘禁刑以上の刑に処せられた人
- 競馬法などの公営競技の法律に違反して罰金刑を受けた人、競馬への関与を禁止・停止されている人
- 暴力団員による不当な行為を行うおそれがあると認める相当な理由がある人
- JRAの経営委員会の委員、役員、職員
- JRAの馬主登録を受けている人
- 不正な手段などで免許を取り消され、5年たっていない人
2027年度の試験要領の受験資格に、年齢の上限はない。厩舎で働いた年数や学歴の条件も書かれていない。
調教師の試験はどんな内容?
試験は「身体」「学力」「人物」「技術」の4つの事項で行う。2027年度の試験要領の中身と合格基準は次のとおりだ。
| 試験 | 試験項目 | 合格基準 |
|---|---|---|
| 第1次試験 | 筆記試験。競馬関係法規と労働関係の基本法規(100点)、調教(100点)、馬学・衛生学・運動生理学・装蹄・飼養管理・競馬(100点)。身体検査は身体検査書で代える | 300点満点で概ね180点以上、かつ各項目40点以上 |
| 第2次試験 | 口頭試験。競馬関係法規・厩舎の経営と管理・一般常識(200点)、衛生学・運動生理学・装蹄・飼養管理(100点)、馬学・競馬(100点)、調教(100点)。ほかに人物考査 | 500点満点で概ね300点以上、かつ各項目40点(200点の項目は80点)以上 |
※2027年度の調教師及び騎手免許試験要領(2026年7月29日)による
調教の知識だけでなく、労働関係の法規や厩舎の経営と管理まで問われる。調教師は厩舎スタッフを雇う立場になるためだ。
免許を受けたあとの更新の試験は、競馬関係法規、調教、厩舎の経営と管理などの口頭試験(100点満点で概ね60点以上)、身体検査、人物考査で行う。
調教師の試験の倍率は?
JRAが合格者と一緒に公表した、2026年度の新規の調教師免許試験の応募の状況は次のとおりだ。倍率は応募者数を合格者数で割って出した。
| 2026年度の新規の試験 | 人数 |
|---|---|
| 応募者 | 118名 |
| 1次試験の受験者 | 118名 |
| 1次試験の合格者 | 14名 |
| 2次試験の受験者 | 14名 |
| 2次試験の合格者 | 4名 |
| 倍率 | 約29.5倍 |
※2025年12月11日のJRAの発表による
1次試験の合格率は約11.9%で、応募者のうち最終的に受かったのは約3.4%だった。2026年度の合格者は古賀大生、藤岡佑介、三樹祐輔、和田竜二の4名だ。
調教師になるのはどんな人?
調教師の受験資格は年齢と欠格事由だけで、騎手や厩舎スタッフの経験は条件に入っていない。ただ、試験は調教、馬学、飼養管理、厩舎の経営まで専門の知識を問う。
2026年度の合格者4名のうち、藤岡佑介と和田竜二は現役のJRA騎手だった。2人は騎手を引退し、2026年3月1日付で調教師の免許を受けた。JRAの試験要領も、騎手の免許を受けている人が調教師の試験を受ける場合の手続きを別に定めている。調教師と騎手の両方の試験に受かった人は、どちらか一方の免許しか受けられない。
ほかの2名の経歴は、JRAの合格者の発表には書かれていない。
厩舎スタッフになる道は「厩務員になるには?」にまとめている。
調教師の年収は?JRAが決めている取り分
調教師の年収は、レースの賞金からの取り分、出走ごとの手当、馬主から受け取る預託料などで決まり、決まった額があるわけではない。JRAの2026年度の競馬番組で決まっている取り分と手当は次のとおりだ。
| 受け取るもの | 金額・率(2026年度) | 内容 |
|---|---|---|
| 賞金からの取り分 | 15% | 本賞・距離別出走奨励賞・内国産馬所有奨励賞・出走奨励金の合計の15%を、馬主の分から調教師の口座に振り込む |
| 厩舎運営奨励金 | 出走1回14万円 | 健全な厩舎運営への補助として、出走した馬の調教師に交付する |
| 調教師出走奨励金 | 出走1回4,000円 | 調教師個人ではなく、調教師が所属する調教師会に交付する |
※失格したときや、調教師がその馬で調教停止以上の処分を受けたときなどは、厩舎運営奨励金・調教師出走奨励金は交付されない
賞金のクラス別の額と、騎手との取り分の違いは「競馬の賞金はいくら?」で確かめられる。
地方競馬の調教師になるには?
地方競馬の調教師は、地方競馬全国協会(NAR)の調教師の免許試験に合格して免許を受ける。JRAの免許とは別のものだ。
NARの2026年度第1回の試験(2026年3月13日公示)の新規受験者の主な条件と中身は次のとおりだ。
| 項目 | 内容(2026年度第1回の公示) |
|---|---|
| 年齢 | 受験日に28歳以上(調教師・調教師補佐) |
| 就業予定の競馬場 | 北陸・東海・近畿地区の競馬場 |
| 受験経験 | 2025年度第2回以降の新規の試験を受けていない |
| 申請の締切 | 2026年4月10日 |
| 第1次試験 | 身体検査書による審査、学力の筆記試験、技術の筆記試験と小論文など |
| 第2次試験 | 視力と運動機能の検査、面接試験、口頭試験と実技試験 |
※2025年度第2回の調教師課程を修了した人は、年齢などの条件とは別に受験資格がある
2026年度第1回の試験は、北陸・東海・近畿地区の競馬場で働く予定の人が対象だった。地方競馬にはJRAにない「調教師補佐」の職種があり、同じ試験で受けられる。
JRAの調教師が地方競馬の競走のために馬を調教したり、地方競馬の競走に馬を出走させたりすると、JRAの免許を取り消されることがある。ただしJRAの規程では、地方競馬指定交流競走(ダートグレード競走など)は、ここでいう地方競馬の競走に当たらない。
地方競馬のしくみは「地方競馬とは」にまとめている。
まとめ
JRAの調教師になるには、28歳以上でJRAの調教師免許試験に合格する必要があり、2026年度の新規の試験は応募118名に合格4名、倍率は約30倍だった。試験は1次の筆記と2次の口頭試験・人物考査で、調教だけでなく厩舎の経営と労働関係の法規まで問われる。免許は1年ごとの更新だ。
いま活躍している調教師の勝利数は「JRAの歴代リーディングトレーナー」で、厩舎の毎週の仕事の一つは「追い切りとは」で確かめられる。騎手を目指す道は「騎手になるには?」にまとめている。
よくある質問
- 調教師になるにはどうすればいい?
- JRAの調教師は、JRAの調教師免許試験(新規)に合格して免許を受ける必要がある。試験は1次の筆記と2次の口頭試験・人物考査の2段階だ。地方競馬の調教師は、地方競馬全国協会の免許試験を別に受ける。
- 調教師の試験の倍率は?
- 2026年度のJRAの新規の調教師免許試験は、応募118名に対して合格4名で、倍率は約30倍だった。1次試験に受かったのは14名だ。
- 調教師の免許は何歳から受けられる?
- JRAの規程では、調教師の免許試験を受けられるのは28歳以上の者だ。外国で調教の免許を受けている28歳未満の人は、JRAの理事長が適当と認めれば受験できる。地方競馬の調教師の試験も28歳以上が条件になっている。
- 調教師の年収はいくら?
- 調教師の年収に決まった額はなく、賞金からの取り分や手当、預託料などで変わる。JRAの2026年度の競馬番組で決まっているのは、本賞金などの15%が調教師に振り込まれることと、出走1回ごとに14万円の厩舎運営奨励金が出ることだ。
- 地方競馬の調教師になるには?
- 地方競馬全国協会(NAR)の調教師の免許試験に合格する必要がある。受験日に28歳以上であることが条件で、2026年度の第1回は北陸・東海・近畿地区の競馬場で働く予定の人が対象だった。






