厩務員になるには|競馬学校の厩務員課程の条件と年齢制限、調教助手との違い
この記事の要点
- JRAの厩務員になるには、JRA競馬学校の厩務員課程(6か月)を卒業し、日本調教師会の採用試験に受かって、調教師に採用される必要がある
- 2027年度春期の募集要項では、応募資格は中学卒業以上の学歴と、競走馬・育成馬・乗馬の騎乗経験が合計1年以上あること。年齢の上限は書かれていない
- 入学金と授業料はかからない。6か月の食事代(上限7万2,000円)は、日本調教師会の給付金を受けられる場合がある
- JRAの規程では、調教助手は調教師が馬の調教の補助をさせるために置く人、厩務員は馬の飼養を補助させるために置く人。競馬学校はどちらも厩務員課程で育てる

JRAの厩務員になるには、JRA競馬学校の厩務員課程(6か月)を卒業し、日本調教師会の採用試験に受かって、調教師に採用される必要がある。厩務員課程に応募するには、競走馬・育成馬・乗馬の騎乗経験が合計1年以上要る(2027年度春期の募集要項)。年齢の上限は募集要項に書かれていない。本記事では、応募資格、入学試験、課程の期間と費用、卒業後の採用、厩務員と調教助手の違いを整理する。
厩務員とはどんな仕事?
厩務員は、トレーニング・センター場長の承認を受けて調教師と雇用契約を結び、厩舎で競走馬の世話をする人だ。JRAの用語辞典では、原則として1人が2頭を受け持つとしている。
JRA競馬学校は、厩舎スタッフの1日は午前4時ごろ担当馬の様子を見ることから始まるとしている。馬房の掃除、調教に向けた馬装、運動、調教後の手入れと飼い葉までを2頭分こなし、午後にも手入れと飼い葉があって、作業が終わるのは午後5時ごろだという。
厩務員になるまでの流れは?
JRA競馬学校は、JRAの厩務員になるまでの流れを次の4段階としている。
| 順番 | やること | 内容 |
|---|---|---|
| 1 | 受験資格を得る | 騎乗経験を合計1年以上積む(乗馬クラブ、牧場、高校の馬術部など) |
| 2 | 競馬学校の厩務員課程に入る | 年2回の募集。課程は6か月 |
| 3 | 卒業し、日本調教師会の採用試験に受かる | 採用試験は日本調教師会が行う |
| 4 | 厩務員としてデビュー | 美浦か栗東の厩舎に配属される |
競馬学校を卒業すれば厩務員になれるわけではない。中央競馬の厩舎従業員になれるのは、日本調教師会の採用試験に受かり、調教師に採用された場合に限られる。競馬学校は、卒業後に求人がなければ、求人があるまで待機になることもあると説明している。
厩務員課程の応募資格は?
JRA競馬学校の厩務員課程の応募資格は次のとおりだ。数字は2027年度春期(2027年4月生・7月生)の募集要項のものである。
| 条件 | 内容(2027年度春期の募集要項) |
|---|---|
| 学歴 | 入学時に中学校卒業以上、またはこれと同等以上の学力がある |
| 健康状態 | 厩舎従業員として業務を行うのに支障がない |
| 騎乗経験 | 試験の日までに、競走馬・育成馬・乗馬の騎乗経験が合計1年以上あり、1人で常歩・速歩・駈歩の3種の歩法ができる(競走馬・育成馬の牧場経験があることが望ましい) |
| 受験回数 | 5回まで(欠席・辞退を含む)。2026年度春期の募集から数え、それまでは制限がなかった |
| そのほか | 破産して復権を得ていない人、拘禁刑以上の刑に処せられた人、競馬法などに違反して罰金刑を受けた人などに当たらない |
募集人員は4月生・7月生それぞれ15名程度で、どちらに振り分けるかは競馬学校が決める。受験料は1,900円だ。
騎乗経験の「牧場経験があることが望ましい」は、2025年9月の募集から加わった。
厩務員に年齢制限はある?
2027年度春期の募集要項に、年齢の上限は書かれていない。JRA競馬学校のQ&Aでも、何歳まで受験できるかという問いに、入学時に中学卒業以上の学歴があることを条件として答えている。
体重は、入学試験の身体検査で概ね70キロを超えないことが求められる(2027年度春期の募集要項)。競馬学校が2009年になくしたのは、それまでの60キロ以下という体重制限だ。騎手課程のような生まれ年ごとの細かい上限はない。
乗馬未経験でも受けられる?
騎乗経験が合計1年に満たないと応募できない。JRA競馬学校は、受かった人の例として次の3つを挙げている。
- 高校の馬術部で3年(乗馬)、牧場に就職して1年(競走馬)
- 乗馬クラブで2年、一般企業に勤めながら乗馬クラブに通って3年
- 育成牧場で2年(育成馬)
競馬学校は、競走馬や育成馬に乗った経験がない人や、逆に競走馬・育成馬にしか乗ったことがない人も受験でき、合格した例も多いとしている。
JRAの騎手課程の入学試験に落ちた人も、応募資格を満たしていれば厩務員課程を受けられる。
騎手課程の条件は「騎手になるには?」で確かめられる。
厩務員課程の入学試験は?
厩務員課程の募集は年2回だ。春期(4月生・7月生)は11月ごろ、秋期(10月生・1月生)は5月ごろに試験がある。2027年度春期の日程と中身は次のとおりで、願書の受付は2026年10月13日で締め切った。次の秋期(10月生・1月生)は、例年3月中旬ごろに募集が始まると競馬学校のQ&Aは案内している。
| 項目 | 内容(2027年度春期) |
|---|---|
| 願書の受付 | 2026年9月7日〜10月13日(必着) |
| 受験料の振込 | 2026年10月21日〜10月29日 |
| 試験日 | 2026年11月17日(第1班)、18日(第2班)。会場は競馬学校(千葉県白井市) |
| 試験項目 | 書類審査、身体検査、健康診断、運動機能検査、騎乗適性検査、本人面接、学科試験(一般教養の国語・社会、競馬一般)、性格適性検査など |
| 合否発表 | 2026年12月下旬ごろ、本人に通知。JRAのホームページなどで受験番号を発表する |
騎乗適性検査は、牧場などで調教に使う調教鞍を使い、スリーポイントとツーポイントの乗り方で行う。学科試験の過去5年分の問題は、競馬学校が有料で頒布している。
日本調教師会に所属する調教師の推薦を受けて選考を受ける「調教師推薦制度」もある。応募資格は一般の受験者と同じで、2027年度春期の手続きの締切は2026年8月31日だった。血縁者が競馬の世界にいるかどうかで、合否に有利・不利はない。
厩務員課程の期間と費用は?
厩務員課程の期間は6か月だ。前半の3か月で基本馬術、後半の3か月で調教技術などの競走馬術を学ぶ。
| 課程 | 期間 | 主な内容 |
|---|---|---|
| 前期課程 | 入学から3か月 | 基本馬術、飼養管理の実践、専門学科(馬学・馬術・法規・護蹄・競走理論・競馬のしくみなど)、中間試験 |
| 後期課程 | 前期の修了から3か月 | 調教技術、飼養管理の実践、専門学科、卒業試験 |
2027年度春期の4月生は2027年3月中旬ごろから9月中旬ごろまで、7月生は6月中旬ごろから12月中旬ごろまでの予定だ。入学の月は1月・4月・7月・10月の年4回ある。騎乗技術が特に優秀と校長が認めた人は、前期課程が免除になり、3か月で終えられる。その場合は学科の補習を毎日受ける。
費用は、入学金と授業料がかからない。2027年度春期の募集要項では、6か月の食事代(上限7万2,000円)は日本調教師会の給付金を受けられる場合があり、騎乗の装具は日本調教師会から支給される。修学の費用は、2025年度10月生から軽くなっている。
外泊は指定された日に限ってでき、外出は休校日のほか平日も指定された時間ならできる。校外から通うこともできるが、早朝の騎乗訓練や夜の厩舎作業は寮生と同じなので、ほとんどの生徒が寮に住んでいる。
成績が良くないと訓練期間が延びることがあり、成績不良や身体的・精神的な理由で退学になることもある。
卒業後の給与と採用は?
卒業した生徒は、日本調教師会の採用試験を受ける。採用試験の中身は日本調教師会が決めていて、JRAの競馬学校のページには載っていない。
厩舎スタッフの給与は、雇い主の調教師が払う。JRA競馬学校は、給与体系は各厩舎に共通のもので、基本給・諸手当・年2回の特別手当(ボーナス)など、一般の企業と同じような形だとしている。ほかに担当馬が入賞したときの賞金の一部(進上金)も収入になるが、その一部を従業員全体でプールするなど、調教師によって扱いが違う。
厩務員と調教助手の違いは?
JRAの規程では、調教師が置ける厩舎のスタッフは調教助手、騎手候補者、厩務員だ。調教助手と厩務員の違いは次のとおりだ。
| 比べる点 | 調教助手 | 厩務員 |
|---|---|---|
| 置く目的(JRAの規程) | 馬の調教の補助をさせる | 馬の飼養を補助させる |
| 承認 | 調教師が毎年、JRAの理事長の承認を受ける | 調教師が氏名と生年月日を届け出て、競馬場長かトレーニング・センター場長の承認を受ける |
| 雇い主 | 調教師 | 調教師 |
| 養成(JRA競馬学校の説明) | JRA競馬学校の厩務員課程 | JRA競馬学校の厩務員課程 |
※置く目的・承認・雇い主は2026年9月2日改正の日本中央競馬会競馬施行規程による。養成の行は競馬学校の説明による
JRA競馬学校は、厩務員課程を「厩舎従業員(厩務員・調教助手)」を育てる課程としている。卒業して調教師に採用されれば、厩務員か調教助手として働く。厩務員のあと調教助手になる手続きや条件は、JRAの競馬学校のページには書かれていない。
調教師が病気などでレースの日に競馬場に行けないときは、JRAが指定した自分の厩舎の調教助手か厩務員に、その日の業務を代わってもらうことがある。
厩舎の毎週の仕事の一つは「追い切りとは」で解説している。
まとめ
JRAの厩務員になるには、騎乗経験を合計1年以上積んでJRA競馬学校の厩務員課程に入り、6か月の課程を終えて日本調教師会の採用試験に受かる必要がある。2027年度春期の募集要項に年齢の上限はなく、入学金と授業料はかからない。調教助手と厩務員はどちらも同じ厩務員課程で育てられ、JRAの規程では調教の補助か飼養の補助かで分かれている。
厩舎をまとめる立場になる道は「調教師になるには?」で、厩舎の勝ち星は「JRAの歴代リーディングトレーナー」で確かめられる。馬を預ける側の条件は「馬主になるには?」にまとめている。
よくある質問
- 厩務員になるにはどうすればいい?
- JRAの厩務員は、JRA競馬学校の厩務員課程(6か月)を卒業し、日本調教師会の採用試験に受かって、調教師に採用されるのが道だ。競馬学校を卒業しただけでは厩務員になれず、求人がなければ待機になることもある。
- 厩務員に年齢制限はある?
- 2027年度春期の競馬学校厩務員課程の募集要項に、年齢の上限は書かれていない。学歴は入学時に中学卒業以上が条件だ。受験は5回まで(2026年度春期の募集から数える)と決まっている。
- 競馬学校の厩務員課程の期間と費用は?
- 期間は6か月で、騎乗技術が特に優秀と認められれば3か月に短くなる。入学金と授業料はかからず、6か月の食事代(上限7万2,000円)は日本調教師会の給付金を受けられる場合がある(2027年度春期の募集要項)。
- 調教助手とは?
- 調教師が、毎年JRAの理事長の承認を受けて置き、馬の調教の補助をさせる人だ。厩務員は馬の飼養を補助させるために置く人で、トレーニング・センター場長などの承認を受ける。JRA競馬学校は、どちらも同じ厩務員課程で育てている。
- 乗馬未経験でも厩務員になれる?
- 競馬学校の厩務員課程には、競走馬・育成馬・乗馬の騎乗経験が合計1年以上あり、1人で常歩・速歩・駈歩ができることが応募資格として要る(2027年度春期の募集要項)。乗馬未経験のままでは応募できない。






