ドゥラメンテの凱旋門賞遠征に「NO」!2冠馬のベストローテとは?

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すべての3歳馬が目指す春の最大目標である日本ダービー(GI/東京芝2400m)を制して、ドゥラメンテ(牡3)は2冠馬となった。

圧倒的なパフォーマンスで称賛を集めるのと同時に、早くも秋の凱旋門賞遠征に期待する声が挙がっている。

しかし、今回はあえて凱旋門賞遠征に関して、反対の声を挙げたい。様々な事情を加味していくと、凱旋門賞遠征が“怪物”にとってベストローテと言えないことは明白だからだ。


日本人は凱旋門賞に盲目的すぎる

そもそも日本のホースマンやファンは凱旋門賞に盲目的すぎる。凱旋門賞は「世界ナンバーワンホース決定戦」と謳われているが、実際には「欧州3冠の一つ」、「欧州の秋中距離路線の総決算」という位置づけに過ぎない。

日本で凱旋門賞が「世界ナンバーワンホース決定戦」と言われるのは、競馬の本場である欧州に対するコンプレックスから来ているのだろう。

ただ、欧州馬が世界最強を誇ったのは昔の話だ。

今や日本の芝中距離馬は世界トップクラスの実力がある。実際、2014年の世界レーティング1、2位は日本馬のジャスタウェイとエピファネイアだった。また近年はジャパンカップで外国馬が日本馬に歯が立たない状況が続いている。

「凱旋門賞を勝てなければ日本が世界一になれない」というのは盲目的な考え方なのだ。

それでも凱旋門賞を勝ちたいというホースマンの夢を否定するつもりはない。私自身、いつの日か日本馬が凱旋門賞を勝つシーンを見たいと思っている。

しかし、何か大レースを勝ったり、衝撃的な勝ち方をしたりした時に「凱旋門賞」という選択肢が真っ先に浮かぶのは「盲目的」と言わざるを得ない。

2冠を達成したからといって、ドゥラメンテが凱旋門賞へ挑戦しなければならない理由など、どこにもないのだ。

3歳馬の海外遠征はリスクが大きい

これが最も凱旋門賞遠征を反対する理由だ。

近年、「斤量の軽い3歳馬でないと凱旋門賞を勝てない」という風潮が蔓延している。実際、13年はキズナが、14年はハープスターが3歳にして凱旋門賞遠征を敢行している。

しかし、3歳馬は成長途上にある。輸送に何十時間もかかり、環境が全く異なる海外への遠征は3歳馬にとって大きな負担となる。事実、3歳で海外遠征を経験した馬は、故障したり謎の不振に陥ったりするケースが多い。

シックスセンス
香港ヴァーズ後、1戦を挟んで屈腱炎となり引退

ソングオブウインド
香港ヴァーズ後、屈腱炎が判明して引退

シーザリオ
アメリカンオークス後、繋靭帯炎を発症して引退

ディープブリランテ
キングジョージ後、屈腱炎となり引退

キズナ
凱旋門賞後、2走後に骨折

ハープスター
凱旋門賞後、3走後に負傷して引退

前述のキズナやハープスターも故障を経験し、後者は引退に追い込まれている。すべての理由が海外遠征にあるとは思わないが、さすがに故障する確率の高さに目をつぶることはできない。

また、日本馬と凱旋門賞の歴史を振り返ると、2着に好走したエルコンドルパサー、ナカヤマフェスタ、そしてオルフェーヴルは古馬として挑戦していた。3歳馬のキズナは4着に、ハープスターは6着に負けている。

凱旋門賞が牝馬や3歳馬に有利というのは、あくまでも欧州馬に当てはまる話だ。日本馬は古馬が結果を出しているのだから「斤量の軽い3歳馬でないと凱旋門賞を勝てない」というのもまた盲目的な考えといえるかもしれない。

古馬になってからでも遅くない

ドゥラメンテはダイナカールやエアグルーヴの一族だ。近親にはルーラーシップやフォゲッタブルがいる。

この一族は基本的に晩成傾向にある。母アドマイヤグルーヴは牝馬クラシックを勝てず、初GIは3歳秋のエリザベス女王杯だった。エアグルーヴは古馬になってから秋の天皇賞を制し、年度代表馬に輝いた。

さらにルーラーシップは才能だけでダービー出走にこぎつけたが、完成したのは古馬になってから。初GIは5歳春の香港(クイーンエリザベス2世カップ)だった。フォゲッタブルにしても春のクラシックに間に合わず、開花したのは3歳秋の菊花賞(2着)だった。

つまり、ドゥラメンテもまだまだ伸びしろがあるのだ。むしろ血統的には古馬になってから楽しみなタイプである。

成長途上にある3歳の秋に負担の大きい海外遠征を行うと、馬の才能を潰してしまいかねない。秋は国内に専念し、馬体が完成してから海外遠征を行えばいい。ドゥラメンテほどの才能を持っていれば古馬まで待っても「斤量が重すぎて勝負にならない」なんてことはないはずなのだから。

ベストローテって?

では、ドゥラメンテにとって最高のローテーションとは何なのだろうか?

ずばり、秋古馬3冠への挑戦を期待したい。

2冠馬ということで、通常なら3冠を目指して菊花賞へ進むところだ。

ただし、菊花賞はキングカメハメハ産駒にとって“鬼門”といえるレースだ。キングカメハメハ産駒は長距離レースをめっぽう苦手として、菊花賞や天皇賞春は未勝利。ローズキングダムやトゥザグローリーが1番人気に支持されたが、どちらも人気を裏切っている。

そもそも近年は長距離GIの権威が下がってきているため、菊花賞を勝っても種牡馬としての価値が上がるわけではない。

そうなると、得意の東京競馬場で開催される天皇賞秋、ジャパンカップへと歩みを進め、余力があれば有馬記念へ向かうのがベストではないだろうか。

菊花賞に進むと天皇賞秋はもちろん、間隔の問題でジャパンカップに使えない可能性が高い(というかローテが厳しいため、馬の将来を考えると使うべきではない)。さらに古馬になってから凱旋門賞に挑戦する場合、同じように府中の古馬GIを使えないことが考えられる。

ドゥラメンテにとってベスト条件といえる天皇賞秋とジャパンカップを使わないというのは、あまりにももったいなさすぎる。

凱旋門賞への挑戦は古馬になってからでいい。その前に得意の東京で古馬に挑み、さらなるタイトルの獲得を狙うのが最高の選択と言えるのではないだろうか。

陣営は最良の選択を

今から秋のローテーションの話が持ち上がるというのは、それだけ期待されているということだ。実際、皐月賞とダービーの走りを見れば期待は膨らむ一方だろう。

だからこそ、ローテーションの選択は慎重に行ってほしい。

ドゥラメンテを競馬史に残る怪物にするのか、“ただの2冠馬”で終わらせるのか。すべては人間が正しい選択を行えるかどうかにかかっている。オーナーや陣営の判断に期待したい。

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JIN

JIN競馬TIMES編集長

投稿者プロフィール

東京都生まれ。スポーツ系出版社に入社してWEBや雑誌制作に携わった後、フリーランスに。2010年に開設した公式サイト『JIN競馬』でコラムや予想を執筆。2013年に『当たり馬券がザクザク!! サンデー系馬キャラ分析のツボ』を上梓。公式メールマガジンや株式会社マイナビの『競馬予想グランプリ』でプロ予想家として予想を提供中。公式サイト: http://jinkeiba.com/

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