大外一気、上がり1位の秀逸な末脚を繰り出したが、栄光にあと一歩届かなかった。

もっとも、サトノクラウンは屈辱の皐月賞6着から馬券圏内まで盛り返してきました。逆転とはいきませんでしたが、改めて力のあるところを証明したわけです。

なぜ皐月賞の惨敗から巻き返すことができたのか? その要因を探っていきましょう。


目次

父からもらった芝2400mを走る力

ハナ差という、限りなく2着に近い3着となったサトノクラウン。父マルジュのクラシックディスタンス力が、ここぞという場面で発揮されたといえます。

父マルジュは日本では馴染みが薄い種牡馬ですが、現役時代はイギリスダービー(英GⅠ)で2着という実績を持っています。

詳しくは以下のコラムを参照していただきたいですが、やはり父系の血を色濃く受け継いでいたようです。

●詳細→ダービーでこそ! サトノクラウンが皐月賞惨敗から巻き返す3つの根拠

複勝率100%! 改めて示した府中との相性の良さ

道中は後方から4、5番手でレースを進めましたが、皐月賞のような出遅れや不利はありませんでした。持っている力を遺憾なく発揮できれば、常に馬券圏内に来る力があるわけです。

ダービーでの上がり3ハロンのタイムは、ドゥラメンテを上回る33秒8で、堂々の1位でした。世代最高のレースで、世代で最高の末脚を繰り出したのです。

33秒台は、ダービーと同じ東京競馬場で行われた昨年の東京スポーツ杯と新馬戦(東京)でも計測していました。やはり東京競馬場はサトノクラウンにとって走りやすいコースなのです。

レースレコードに肉薄した高速決着に対応

2分23秒2。今年の勝ちタイムが、ダービーのレースレコードになりました。

サトノクラウンは、それに0.3秒遅れでゴール。勝ちタイムに関しても以前のコラムで触れていますが、この高速決着は、まさに願ってもない展開だったわけです。

●詳細→稍重でもこのタイム!? 特筆すべき走破時計

最初の1000mの通過が58秒8というハイペース。それに巻き込まれないよう後方でしっかりと脚を溜め、最速の上がりタイムで追い込む。

弥生賞の時は4番手から押し切っての勝利でしたが、後ろからでもレースをできる自在性は東スポ杯2歳Sですでに披露していました。立ち回りの上手さをいかし、タフなダービーを乗り切ることができたのです。

追いかけたくなる魅力が詰まったダービー

着順の目安でもある人気。サトノクラウンは3番人気でしたから、巻き返しという意味でも人気通り走れたという意味でも、3着は合格点でしょう。

逆転に至りませんでしたが、メンバー最速の上がりを繰り出して、皐月賞で0.7秒あったドゥラメンテとの着差を0.3秒まで縮めたことも評価できます。

何より、東京コースへの高い適正を示すことができたのが大きな収穫。まだ秋の路線は決まっていませんが、将来に期待したくなる一頭であることは間違いありません。

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