圧巻のパフォーマンスを見せた皐月賞から一転、王道の競馬で世代の頂点に立った。

5月31日に行われた第82回東京優駿・日本ダービー(GI/東京芝2400m)でドゥラメンテ(牡3)が勝利し、2冠を達成した。オルフェーヴル以来、史上23頭目の2冠馬となった。

ドゥラメンテはなぜダービーを制すことができたのか? 要因を探っていこう。

目次

超一流の血統背景

まず世代の頂点に立つにふさわしい血統背景を持っていたことが大きい。

母アドマイヤグルーヴはエリザベス女王杯を連覇した名牝。3歳春のクラシックでは桜花賞で3着となっている。母母エアグルーヴはオークス馬、さらに母母母ダイナカールもオークス馬という超一流の血統背景を持っていた。

詳しくは以下のコラムを参照してほしい。

ドゥラメンテの血統表=日本競馬の歴史!名牝エアグルーヴやダイナカールの血

日本で屈指の超名門牝系の血が流れていたからこそ、世代の頂点に立つことができたのだ。

皐月賞以上の圧巻のパフォーマンス

ドゥラメンテといえば皐月賞での圧巻のパフォーマンスが思い出される。4コーナーで外に振られながら、33秒9の末脚で前の馬たちをゴボウ抜きにしたのだから、印象に残るはずだ。

ただし、ドゥラメンテが驚異的な走りを見せたのは皐月賞だけではない。

むしろ、注目したいのは未勝利戦と500万条件のセントポーリア賞だった。

いずれも舞台は東京芝1800m。ドゥラメンテは未勝利戦で2着に1秒差をつける1分47秒5で快勝すると、セントポーリア賞では驚異の1分46秒9で5馬身差の圧勝劇を演じた。

1分46秒9は現3歳世代が2歳〜3歳3月までの間に記録した1800mのレコードに0.1秒差に迫る秀逸なタイムだ。ちなみにレコードホルダーはクラリティスカイ。ご存知の通り、NHKマイルカップを制したGIホースである。

●詳細→クラリティスカイ、NHKマイルカップ制覇の背景にある3つの勝因とは?

皐月賞のパフォーマンスばかりに焦点が当てられるが、未勝利や500万条件の時から破格の走りを見せていたのだ。

王道の競馬、ハマった展開

レース展開もドゥラメンテに味方した。

ミルコ・デムーロ騎手はスタートからある程度前の位置取りを取りに行き、1コーナーで8番手につけた。リアルスティールは同13番手、サトノクラウンは同14番手、レーヴミストラルが同10番手だったため、有力馬の中で最も前にポジションを取ったことになる。

最後の直線では満を持して追い出されると、ぐんぐん加速。上がり2位の末脚でサトノラーゼン以下をねじ伏せた。

中団より前の位置取りにつけて最後の直線で上がり5位以内の末脚を使ってまとめるのが現代における“王道の競馬”だ。ドゥラメンテはまさに王道の競馬でダービーをとったことになる。

ペースも彼に味方した。

12.7 – 10.9 – 11.8 – 11.7 – 11.7 – 12.5 – 12.5 – 12.4 – 12.4 – 11.9 – 11.0 – 11.7

ご覧のとおり、スタートしてから2〜5ハロン目まで11秒台のラップを刻んだ。1000m通過は58秒台。これだけペースが流れると、前に行く馬は厳しい。

一方、6ハロン目から9ハロン目までは12秒台中盤で推移している。途中からペースが緩んだわけだから、後ろからいって末脚にかける馬にとっても厳しい展開となった。

つまり、好位につけた馬が最も有利な展開となったわけだ。実際、ドゥラメンテは4角7番手、サトノラーゼンも同じく4角7番手だった。

抜きに出た実力に加えて展開も向いたのだから、彼が2冠目を制したのは“必然”だったのだ。

いざ、秋の飛躍へ

2冠馬となったドゥラメンテだが、決して早熟馬というわけではない。

むしろダイナカールの系統は古馬になってから力をつける傾向にある。エアグルーヴはご存知の通り天皇賞秋で牡馬たちを一蹴し、年度代表馬に輝いた名牝だ。

近親のルーラーシップは古馬になってから本格化したし、フォゲッタブルも力をつけたのは3歳の夏を超えてからだ。

つまり、ドゥラメンテにはまだまだ伸びしろがある。むしろポテンシャルの高さだけで2冠を制したようなものなのだから、どんな馬になっていくのか、計り知れない部分が大きい。

秋は凱旋門賞に挑戦するのか、3冠を目指すのか、それとも古馬の王道路線を歩むのか、興味は尽きない。

どんな道を歩むにしても、これからしばらく、日本の競馬界がドゥラメンテを中心に回っていくことは間違いないだろう。

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