(C) Yusuke Tsutaya

ドバイのメイダン競馬場で3月28日に行われるドバイシーマクラシック(GI/芝2400m)に出走するハープスター(牝4)が1番人気に支持される見込みとなった。

デザインズオンローム(騙5)やフリントシャー(牡4)をおさえて最上位の評価を得ているのだから、桜花賞を制したディープインパクト産駒が世界の舞台でいかに高く評価されているかがうかがえる。

しかし、やや引っかかる部分がある。この人気を見た時、率直なところ「やや見込まれた」という印象を受けた。ハープスターは並み居る強豪をおさえて1番人気に支持されるような馬なのだろうか?

華やかさとリスク

最後方から差しきった桜花賞や、ただ1頭外から伸びてきた凱旋門賞の走りを見れば能力の高さは明らかだ。1番人気に推したくなる気持ちも分かる。

だが、冷静に現実を見ると、ハープスターは牝馬限定のGIを一つ勝ったにすぎない。(レベルが高かったというエクスキューズはあるが)凱旋門賞やジャパンカップといった古馬と混じったGIでは馬券に絡めていない。

あれだけ高い能力を示しておきながらGIを一つしか勝てていないというのには理由がある。昨年引退したジェンティルドンナを見れば分かるとおり、現代競馬で安定した成績を残すために必要な能力は「機能性」だ。

どんな状況でもスタートから好位につけられ、展開次第でいつでも動いて終いの脚をまとめられる――。

それが現代競馬における競走馬の理想型と言える。

ハープスターはその定義から著しく逸脱している。決してそれが悪いとは思わない。個性的な馬は愛らしい。事実、ハープスターはファンの多い馬だ。メディアの注目度も高い。

ただし、後方一気の脚質は華やかで豪快な一方で展開に左右されたり、前が詰まったり、不利を受けたりする危険性が極めて高い。華やかさの代償として、それ相応の“リスク”を背負っているわけだ。

ドバイシーマクラシックには3連勝中のGI3勝馬デザインズオンロームや、昨年の凱旋門賞やブリーダーズカップターフで2着となったフリントシャー、昨年の凱旋門賞でハープスターに先着したフランスの牝馬ドルニヤら、強力なライバルが出走する。

そう考えると、現状ではハープスターの人気が過剰人気だと言わざるを得ない。

リスクの代償は爆発力

ここまでネガティブな文章を書いてきてしまったが、何もハープスターにチャンスがないと言っているわけではない。

むしろ、チャンスは大いにある。

先ほど「それ相応のリスクを背負っている」と書いたが、リスクの代償は“華やかさ”だ。言い方を変えれば、“爆発力”である。

展開さえハマれば、どんな馬が相手でも倒せる爆発力を持っている。それこそ、末脚勝負になればハープスターの瞬発力に敵う馬など、世界中を探してもいないはずだ。

だからこそ、ドバイシーマクラシックは展開が鍵になる。展開さえハマれば、ハープスターはGI2勝目を遠くドバイの地で挙げることになるだろう。そして、昨年このレースを勝ったジェンティルドンナから“名牝のバトン”を受け継ぐことになる。

そんな未来を期待するばかりだが、結果やいかに。

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