油断騎乗の処分の重さについて
今回の件でもう一つ考えさせられるのが、「処分の重さは妥当だったのか?」ということだ。
競馬の周りでは大きな金が動いている。大げさな話、「ハナ差」で人生が変わる人がいる可能性は十分にある。また、ギャンブルの場合、常に「八百長では?」という周囲の目と戦っている。少しでも疑われる行為があってはならない。
よって、着順を変える大きな要因になり得る油断騎乗は厳重に処分されるべきだ。
なお、騎手が処分を受けるときにつく制裁点の基準は以下のとおり。
戒告→1点
過怠金1万→2点
過怠金3万→3点
過怠金5万→4点
過怠金7万→5点
過怠金10万→8点
騎乗停止→10点+付加点
過怠金11~50万円、レース以外で悪質な行為があった場合→12点
点数が多ければ多いほど、悪質な騎乗ということになる。制裁点が累計30点を越えるとレポート提出と騎乗技術や競馬法規の再教育を受けなければならない規定がある。
今回、武豊騎手に与えられた処分は「戒告」。これは制裁点に換算すると「1点」で、あまり重い処分とはいえないものだった。着順を変える大きな要因になり得る「決勝線手前での御法(騎乗ぶり)」が「戒告」というのは、やや軽いのではないだろうか?
ゴール前で手綱を緩める理由の一つとして「必要以上に馬に負担をかけないため」というものがある。実際、何馬身も離れているなら手綱を緩めてもなんら問題はない。
ただし、今回のように大きなリードがなかった場合は緩めるべきではないし、2、30m強く追ったところで、大きな負担の違いが生じるわけではないだろう。「油断騎乗では?」という声が挙がるほうが競馬にとってマイナスであり、長い目で見れば馬たちに悪影響が出てくる。
武豊騎手の人柄を考えると、決してわざとやったわけではないだろうし、そもそも周りから「緩めている」と見えているだけで本人からすれば「十分追っている」という意識なのかもしれない。だから一方的に批判するつもりは毛頭ない。
ただし、競馬界を担う人物であることを考慮すると、「周囲にどう見えるか」も含めて対処していただきたいというのが、一競馬人として素直に感じるところだ。
繰り返しになるが、競馬が直接的に金銭がかかった競技である以上、着順が変わる要因になり得る行為は重く罰するべきだ。JRAには、この事実をより重く受け止めてもらいたい。
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