アジア圏内の競馬と聞けば香港やシンガポール、少し距離を取ってオーストラリアなどが知られる。
そんな中、お隣の韓国で競馬が盛んに行われていることはあまり知られていない。
最近では外国人の馬主登録が認められるようになり、日本から“あの大物”が参戦を表明した。
そこで今回は韓国競馬について紐解き、日本馬が韓国へ遠征する理由について考えていこう。
韓国競馬って?
日本のJRA(日本中央競馬会)にあたる組織はKRA(韓国馬事会)。同組織によって運営が行われている。韓国にある競馬場は4つで、全てダートコース。その4つの競馬場に調教師、騎手、競争馬が所属し、日本でいう地方競馬に似た環境で形成されている。
年間売上は(射幸産業委員会の指示により上限が課せられてはいるものの、)7兆ウォン強(7500億円〜8000億円)。韓国の経済状況や物価を考えれば、かなりの高水準にあることが分かる。急成長を遂げ、今や世界から注目される存在となっているのだ。
日本からはアノ人も馬主登録!賞金は意外にも……
急速に発展する韓国競馬は国際化に向け、2015年2月から外国人による馬主登録を解禁した。日本人3名、アメリカ、オーストラリアから其々2名、シンガポール、アイルランドから各1名の計9名が馬主登録を行い、その中にはサンデーレーシングの代表を務める吉田俊介氏が名を連ねている。
そして6月7日にソウル競馬場で行われるトゥクソムカップ(韓GⅢ)にエスメラルディーナ(牝4歳 美浦 斎藤誠厩舎)とローブデソワ(牝4歳 栗東 今野貞一厩舎)の2頭が登録した。残念ながら後者は故障によって回避となったが、エスメラルディーナは出走できる見込みとなっている。
吉田俊介氏をはじめとする外国人馬主が韓国競馬に目をつけた一つの理由が、賞金額といっていいだろう。というのも、韓国競馬は日本と同じく賞金額が高い。
例えばトゥクソムカップは牝馬限定のGIIIであるが、総賞金は4億ウォン(約4400万円)。
中央競馬のGIIIに比べるとさすがに見劣りするが、同じような条件(牝馬限定のGIII)で行われる地方競馬の重賞、TCK女王盃(総額3740万円)やスパーキングレディーカップ(総額4250万円)などと比較すると勝るとも劣らない。遠征を行う理由としては十分な賞金額というわけだ。
ちなみに南関東の最下級条件競争の1着賞金が80万円に対し、ソウル競馬場での最下級競争の1着賞金は1500万ウォン(約111万円)と、こちらも高水準となっている。韓国競馬は総じて賞金額が高く、外国人馬主にとって魅力的なコンテンツといえるのだ。
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