(C)MAZIMICKEY

悲願に向けて――。

2018年4月29日、京都競馬場で天皇賞春(GⅠ/芝3200m)が行われる。キタサンブラックに2年連続で惜しい負けだったシュヴァルグランや阪神大賞典を制したレインボーライン、クリンチャーやサトノクロニクルの4歳勢も出走予定だ。そんな中で日経賞を制したガンコに注目が集まる。

日経賞では3番人気に支持され、途中菊花賞のキセキがスパートを仕掛け、2番手のガンコに競りかかるような感じになったが、それでもペースを乱すことなくレースを進め、後続の追撃を退けた。しぶとさを発揮しており、そのレースは強さすら感じられた。

今回の天皇賞春は、大阪杯に出ていた有力馬が軒並み回避したことで若干層が薄くなっている。また大阪杯で大敗をした馬や直前に騎乗予定の騎手が騎乗停止になるなど、順調さが感じられない陣営が見られる。そんな中でガンコはここまで順調に駒を進めてきた。一時期まで障害レースへの転向を想定し、障害練習まで行っていた馬とは思えない飛躍だが、これ以上の飛躍をするための要素がいくつも存在する。


要素① 長距離の芝で底を見せていない

ガンコはデビュー後4戦は芝を使い、ほとんどダートを走らせてきた。このため、芝の実績はこれまでに8戦しかない。にもかかわらず、ここまでに1回も掲示板を外しておらず、芝の適性は素晴らしいものがある。2400メートル以上の長距離に目を向けると重賞初挑戦だった日経新春杯を除けば4戦3勝だ。ダート2000メートルや2500メートルでの実績もあることから、スタミナ面や折り合いは文句なしだ。

長距離のレースで大事なのはスタミナ面や折り合いの面だ。特に京都の3200メートルは2回大きな坂を上がって下る。ここで折り合いを欠くようではスタミナが持たないが、その点、ガンコは大丈夫だ。しかも前目でレースができ、前走は特殊なレースでもペースを崩さなかった。ずば抜けて切れる脚がなく、33秒台などの末脚勝負になれば到底かなわないが、マイペースで先行し粘りこみを図るような競馬ができれば十分にチャンスは広がる。

要素② 3戦3勝の騎手

今回、ガンコに騎乗するのは藤岡佑介騎手だ。ガンコには日経賞を含め3戦3勝と非常に相性がいい。藤岡佑介騎手はデビュー当時から期待され、重賞を多く制してきたが、近年は成績が伸び悩んでいた。ところが今年は絶好調であり、すでに重賞を2勝している。3年間重賞未勝利だった時期があったことを考えれば、円熟味を増してきたとみて間違いない。ちなみにもう1勝はクリンチャーで制した京都記念だ。この後にクリンチャーは乗り代わりになってしまうが、武豊騎手が騎乗停止になるというのは何とも皮肉な話である。

藤岡佑介騎手の複勝率は3割を超えており、このままの数値を維持すれば過去最高の成績となる。勝率や連対率もこのまま1年を終えればキャリアハイだ。あとはGⅠのタイトルだけだ。これまでに多くのチャンスに恵まれながらあと一歩届かなかった。同期の川田将雅騎手に成績面で先行していたものの、途中で抜かれ実績面でも大きな差をつけられている。ガンコで巻き返しを図るという強い気持ちを持っているだろう。これまでは外を回す競馬が多かったが、内を突いた競馬も見せるようになっている。久しぶりにやってきたGⅠタイトルのチャンスだ。

要素③ 楽な展開になる可能性

天皇賞春は基本的に折り合い専念のレースになる。そうなると、いきなりスパートを仕掛けるような形にはなりにくい。よほどスローペースでない限りはレースを壊すようなことはしにくいというのもある。今回逃げが想定されるのはヤマカツライデンだが、去年の実績的に逃げが頼りない面があるため、ガンコが楽に追走できる可能性が考えられる。もちろん、それは他の馬も楽に追走できることを意味するが、日経賞のようにスパートを誘発させてカオスな流れにさせて、ペースを乱させることもできるだろう。

皐月賞もそうだったが、結局大事なのは大集団のペースになる。前が飛ばしても大集団のペースが楽なら実質そこで先頭の馬がマイペースをつかんでいる形だ。ガンコもそうなる可能性がある。あとは折り合い専念で馬の気持ちを大事に回ってくればそれだけで勝機が見えてくる。

まとめ

ガンコという馬は一度は障害レース行きを真剣に考えられ、担当の騎手まで決めて練習に励んできた。それが芝のレースに出したところ勝ってしまい、あれよあれよと重賞を制して天皇賞春では有力馬の仲間入りだ。メジロパーマーがそうだったように、障害練習を積んだことで進化した名馬も過去にはいた。ガンコもその1頭になるかもしれない。

父ナカヤマフェスタ、母シングアップロックは産駒面の成績などであまりパッとせず、ガンコに起死回生を賭ける。それは藤岡佑介騎手も同じであり、この馬が勝つことで色々な人の希望になる。競馬はロマンと呼ばれて久しいが、乗り代わりやセレクトセールで高額な取引をした馬の活躍などでロマン要素が薄らいでいる。ガンコは昔懐かしいロマン要素、泥臭いドラマを思い出させる一頭である。

おすすめの記事