7月5日に行われた中京8Rでカレングラスジョー(牡5)に騎乗した武豊騎手は「決勝線手前での御法(騎乗ぶり)」により戒告処分を受けた。
カレングラスジョーは直線で先頭に立ち、叩き合っていたブレイクアウト(3着)にセーフティリードを保った。すると武豊騎手は決勝線手前で追うのを緩める。しかし、大外から猛追してきたトゥヴァビエンが差しきり、カレングラスジョーは2着となってしまった。
腰を浮かせたり、完全に追うのをやめたりしたわけではなかったが、追っていた手の力は明らかに緩んでいた。だからこそ、JRAの裁決委員が問題視し、戒告という処分が取られたと考えられる。
競馬界の第一人者による“油断騎乗”
はじめに書いておくと、明らかな油断騎乗だったわけではない。だからこそ、処分が「戒告」にとどまったのだろう。
事実、ゴール前50m程度までムチを使ってしっかりと追っているし、腰を上げているわけでもない。実際のところ、2、30mのところで多少手を緩めてもあまり大きな差は生じない。
ただし、今回の場合は「ハナ差」という小さな差であったことから「普通に追っていれば……」という見方が出てくるのは当然のことだ。オーナーやカレングラスジョーの単勝を買っていたファンならなおさら。普通に追って負けたのなら何の文句も出ないが、手を緩めてしまったら疑念が生まれることは避けられない。
何より武豊騎手は競馬界の顔であり、第一人者である。シンボルというべき騎手が“疑念”を持たれるような騎乗をすること自体、あってはならないことだ。
そういう意味で制裁が下されたのは妥当な判断だったと考えられる。
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