日本ダービーも終わり今週から夏競馬が始まる。夏競馬といえば2歳馬のデビューが楽しみではあるが、もう一つ気になるのが3歳馬と古馬の対戦である。条件戦では現級馬VS3歳馬VS4歳降級馬の戦いとなり、これが馬券選択の大きなファクターとなる。
降級とは4歳馬が夏季開催を迎えると収得賞金額が半額となるため、それまで上位のカテゴリーにしか出走できなかった4歳馬が1つ、もしくは2つ下のカテゴリーに出走できるようになることである。
そこで今回は2012年以降に行われたクラス再編後の条件戦(3歳以上500万・1000万・1600万)に出走した4歳降級馬について分析していく。
なお、今回のデータ集計期間は2012.6.2~2014.12.28である。また、データ内の降級馬とは“前走と比較してクラスが下がった馬”を示しているのだが、中には“収得賞金の関係で降級した馬”以外に“前走格上挑戦をして自己条件に戻ってきた馬”も含まれている。このあたりはデータ集計上の誤差と考えてご了承願いたい。
目次
降級馬の前走クラス別成績
★クラス再編後の条件戦に出走した4歳降級馬の前走クラス別成績
1000万下(126-118-97-595)
勝率13.5% 複勝率36.4%
単勝回収値71 複勝回収値80
1600万下(38-36-28-167)
勝率14.1% 複勝率37.9%
単勝回収値71 複勝回収値88
OPEN特別(19-8-11-63)
勝率18.8% 複勝率37.6%
単勝回収値80 複勝回収値91
G3(12-7-9-30)
勝率20.7% 複勝率48.3%
単勝回収値109 複勝回収値114
G2(6-2-3-22)
勝率18.2% 複勝率33.3%
単勝回収値106 複勝回収値62
G1(3-2-0-8)
勝率23.1% 複勝率38.5%
単勝回収値53 複勝回収値66
4歳降級馬の前走クラスについて調べたところ、前走条件戦(1000万下・1600万下)に出走した馬は勝率・複勝率は水準以上だが、回収値が良くない。また前走OPENクラス以上に出走した馬は勝率が上がる。特にG2・G3の単勝回収値は100を超えるので、機械的に単勝を買ってもプラス収支になる計算である。
降級馬の今回クラス別成績
それでは前章で数値の良かった前走OPEN特別や重賞に出走した4歳降級馬の今回クラス別成績はどうなるのか調べてみた。
★前走OPEN特別や重賞に出走した4歳降級馬の今回クラス別成績
500万下(2-2-3-16)
勝率8.7% 複勝率30.4%
単勝回収値122 複勝回収値95
1000万下(9-5-3-41)
勝率15.5% 複勝率29.3%
単勝回収値71 複勝回収値57
1600万下(29-12-17-66)
勝率23.4% 複勝率46.8%
単勝回収値94 複勝回収値107
勝率・複勝率ベースで見ると、2階級以上下がった500万下・1000万下よりも、1階級下の1600万下に降級した馬の方が高いことが判明した。これは意外に思われる方も多いだろう。
そして2階級下がった1000万下の回収値が良くないので、これは注意したい。
イメージでは階級が下がるほど有利になると思われるが、実際はそうでもないということで結論付けたい。
降級馬の前走からの間隔
夏季開催に狙いを定めて出走してくる4歳降級馬を管理する厩舎の思惑を理解するため、前走からの間隔についても調べてみた。
★クラス再編後の条件戦に出走した4歳降級馬の前走からの間隔
連闘(1-0-0-1)
勝率50% 複勝率50%
単勝回収値140 複勝回収値70
2週(7-1-7-23)
勝率18.4% 複勝率39.5%
単勝回収値51 複勝回収値66
3週(22-15-15-76)
勝率17.2% 複勝率40.6%
単勝回収値58 複勝回収値86
4週(29-14-13-62)
勝率24.6% 複勝率47.5%
単勝回収値99 複勝回収値81
5~9週(55-47-45-192)
勝率16.2% 複勝率43.4%
単勝回収値82 複勝回収値91
10~25週(68-69-51-381)
勝率12% 複勝率33%
単勝回収値59 複勝回収値75
半年以上(22-27-17-150)
勝率10.2% 複勝率30.6%
単勝回収値98 複勝回収値97
もし厩舎関係者の立場で管理している馬が降級するとわかっていたら、余程の素質馬で賞金を加算したいという馬以外は、降級するまで出走を見送ると思う。だから連闘~9週の間隔の場合は、本来出走できる状態にあるのに降級するのを待って出走させたと考えられる。
そして間隔が10週以上開くと普通の休養明けと変わらないので、勝率・複勝率とも若干落ちる。ということは降級するまで待ったというより、何らかの理由(故障が完治するまで等)で出走できなかったと考えられる。
降級馬の狙い目
これまでデータを用いて4歳降級馬について分析してきたが、狙い目としてのポイントを挙げておく。
★回収値でみると前走条件戦(1000万下・1600万下)に出走した降級馬より、更に上のクラスであるOPEN特別・重賞に出走した降級馬の方が良い。
★前走OPEN特別や重賞に出走した降級馬は、1つ下の1600万下での成績が良い。逆に2つ下の1000万下では回収値が低くなる。
★降級馬の前走からの間隔としては9週までで、10週以上間隔が開くと勝率・複勝率が落ちるので注意。
これは以前に競馬関係者から聞いた事で、“競走馬というのは1勝することが凄く大変な事で、また降級馬というのは1つ多く勝っている馬なので、それだけ力が抜けていると思った方が良い”という話を聞いた。
ただ全ての降級馬が当てはまるというわけではないので、見極めが大切である。そして見極めるのに今回の記事を活用して頂けたらと思う。