2015年のクラシックが開幕します。第1弾は牝馬クラシック初戦の桜花賞。タレント揃いのレースで、各馬にどんな強調材料と不安要素があるのでしょうか?
『競馬TIMES』では、編集長であり競馬ライターのJINによる有力馬診断を掲載します。初回となる今回はルージュバックを取り上げます。
ルージュバック
素質の高さに疑いの余地はない。特に巷で言われている百日草特別は秀逸だった。
後に京成杯を制したベルーフと、毎日杯を勝ったミュゼエイリアンに0.4秒差以上をつける圧勝劇を演じた。楽な手応えで33.3秒の上がりを使った姿に、翌年のオークス馬の姿を見たと思った方も多かったはずだ。
続くきさらぎ賞でもポルトドートウィユやアッシュゴールドを寄せ付けずに完勝している。牡馬相手にこれだけの実績を残してきたわけだから、桜花賞で1番人気に支持されるのも納得だ。
では、そんなルージュバックに不安はないのか?
いや、そんなことはない。
例えば“経験不足”ではないだろうか?
キャリアを振り返ると、すべてのレースで中盤が緩んでいる。デビュー戦は残り4ハロンまで13秒台という超絶スローペース。百日草特別は4ハロン目から7ハロン目まで12秒台中盤の時計を刻み、きさらぎ賞でも三分割した中盤の3ハロンはすべて12秒台だ。
つまり、今までのキャリアでスローの瞬発力勝負しか経験していないことになる。
一方、桜花賞はよどみない流れになることが多い。中盤で脚を溜められないとなると、爆発的な末脚が発揮できない可能性は十分にありえる。
またマンハッタンカフェ産駒ということも気になる。マンハッタンカフェ産駒は総合力が高い一方で突出した能力を持つ馬が出にくい。事実、種牡馬リーディングの上位にいながら今まで輩出したGI馬は4頭のみ。その4頭にしても、中央GIを複数回勝った馬はいない。
特に牝馬で大成したのはレッドディザイアのみだ。
そう考えるとルージュバックを絶対的な存在と考えていいのか、疑問が生まれてくる。
最終的にどんな判断をするかは複数の検証項目から総合的に判断するが、少なくとも現段階では「絶対の存在ではない」と書いておきたい。
文=JIN(競馬ライター)