今年も凱旋門賞の季節がやってきた。日本馬の参戦はないが、欧州各国のトップホースがロンシャン競馬場に一堂に会するビッグレースはやはり特別だ。特に今年は有力馬が揃って前哨戦を快勝し、「役者が揃った」感がある。ここでは有力馬を「3連覇を狙う馬」、「各国ダービー馬」、「歴戦の古馬」の3つに分けて紹介していきたいと思う。
第2回の今回は「各国ダービー馬」だ。
日本でも度々取り上げられているように、凱旋門賞は「3歳馬有利」だ。過去10年を見ても、3歳馬7勝、古馬3勝だ。これには負担重量が59,5キロの古馬に対し、3歳馬は56キロ(3,5キロの差)であることが大きいと思われる。ちなみに日本ではこの時期の3歳馬と古馬の斤量差は大抵2キロである。
今年は地元フランス、イギリス、アイルランドのダービー馬がどれも前哨戦を快勝し、大手ブックメーカー・ウィリアムヒルで3頭とも単勝オッズで10倍を切る評価を得ている。3連覇を狙うトレヴに対し、強力3歳馬が挑む、そんな構図が出来上がっているのだ。
ニューベイ(New Bay) ~ 名門厩舎の仏ダービー馬
まずは地元のジョッキークラブ賞(フランスダービー)を制したニューベイを紹介したい。最多である凱旋門賞6勝を挙げているアンドレ・ファーブル厩舎に所属するニューベイは2戦1勝で、いきなりプール・デッセ・デ・プーラン(仏2000ギニー、日本の皐月賞に該当)に出走。人気は無かったが最後方から追い上げて2着に好走し、能力の片鱗を見せつけた。続くジョッキークラブ賞でも後方から「力が違う」と言わんがばかりに圧倒的な末脚で優勝し、ダービー馬の称号を手にした。
ジョッキークラブ賞
その後は8月のGIIギヨームドルナーノ賞を制した後、日本でも知られているGIIニエル賞に出走。小頭数だったが、これまでと一転3番手でレースを進め、同世代のライバルを寄せ付けず最後は流して2馬身半差で快勝。不良馬場もものともしなかった。凱旋門賞へ向け文句なしの試走ができ、「トレヴ最大のライバル」と言って良いだろう。
ゴールデンホーン(Golden Horn) ~ イギリスダービー馬の意地
続いては競馬の祖国、イギリスダービー馬のゴールデンホーンだ。主戦騎手は今シーズン絶好調のランフランコ・デットーリー騎手である。デビュー3連勝でGIIダンテS(ダービーの前哨戦で、日本でいう青葉賞に該当)を制すと、続くイギリスダービーも快勝し無敗のダービー馬となった。
イギリスダービー
その後、古馬と初対戦となったGIエクリプスSでは逃げて3馬身半差で勝利と、自在性も披露してみせた。重馬場だったGIインターナショナルSでは3歳牝馬アラビアンクイーンの出し抜けを喰らったものの、出走馬が全てGI馬というハイレベルな1戦となったGI愛チャンピオンSを制しての参戦となる。イギリスダービーの勝ちっぷり、戦ってきた相手などを考えるとやはり能力は相当だし、どんな競馬にも対応できるのも強みもある。また、イギリスよりも切れ味を求められるフランスでの競馬は初めてとなるが、その点はプラスに働きそうである。
このように今年は3歳勢、特に各国ダービー馬が充実している。トレヴを破るとしたら、これまで戦ったことのない3歳馬である可能性が大きいだろう。
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