6月24日に大井競馬場で行われた帝王賞(GI/ダート2000m)で1番人気のホッコータルマエ(牡6)が勝利を収めた。ホッコータルマエによって9つ目のGIタイトルとなり、ヴァーミリアンやエスポワールシチーといった歴代の名馬たちに肩を並べた。
ホッコータルマエの勝利ばかりクローズアップされそうなところだが、2着となったクリソライトと武豊騎手の果敢さに注目したい。
見応え充分の魅力的なレースとなった背景には「狙っています」と語っていた武豊騎手の“策略”があったのだ。
消耗戦を演出した果敢な競馬
ホッコータルマエはレースセンスが抜群で、自分の形を作られてしまうと手が出せない。王者に勝つためには自分でレースを作り、相手が嫌がる展開を演出する必要があった。
5番からスタートを切ったクリソライトと武豊騎手はメインスタンド前をゆったり通過すると、1コーナーまでに前へ進出。逃げたクリノスターオーの2番手につけた。道中、武豊騎手は手綱を引いてクリソライトをなだめつつ、ペースが落ちないようにクリノスターオーにプレッシャーをかけ続けた。
そして3コーナーでクリノスターオーが苦しくなったところを見計らい、一気にロングスパートを開始する。抜群の手応えでホッコータルマエを1、2馬身突き放して4コーナーを回ると、直線では必死に粘りこみを図った。
レースラップ
12.3- 11.4- 11.5- 12.6- 12.1- 12.0- 12.1- 12.8- 12.5- 13.4
ラスト1ハロンの上がりが13秒半ばとガクッと落ちたことで分かるように、かなりの消耗戦だったと推測される。結果、最後の最後でホッコータルマエにかわされて押し切られる形となったが、これ以上ない形を作ったというのは間違いないだろう。直線での叩き合いにはダート競馬の魅力が詰まっていた。
自分の形に持ち込んで敗れたため、「完敗」と言わざるを得ない内容ではあった。ただし、果敢に勝ちに行く競馬をした点は称賛に値する。大井を知り尽くしている武豊騎手だからこそできた騎乗、とも言えるかもしれない。
今後も中長距離ならGI制覇のチャンスは巡ってくるはず。再び果敢な走りで競馬場を沸かす姿が期待される。
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