今年の宝塚記念の見どころは何といっても、「芦毛の怪物」ゴールドシップが史上初の同一GI3連覇、そして史上最多タイのGI7勝を達成するか否かだろう。
父ステイゴールド×母父メジロマックイーンという、競馬ファンにはあまりにも有名すぎる「黄金配合」で誕生したゴールドシップは皐月賞、菊花賞、有馬記念、宝塚記念2回、そして記憶に新しい今年の天皇賞(春)と、GI6勝を積み重ねてきた。
長距離、内回り、ハイペース……もうゴールドシップの特徴は誰もが分かっているだろうから、ここではゴールドシップの不安要素を挙げてみたい。
ローテーションと天皇賞(春)からみる蓄積疲労
追いきりの動きを見れば、そんなものは皆無に思える。しかし、今年の天皇賞(春)は、ゴールドシップの横山典弘騎手が「向こう上面で早めに押し上げ、3角手前で1度抑え、直線でもう1度スパートをかける」という、ゴールドシップの持つ無尽蔵のスタミナを最大限に活かした伝説的な騎乗をし、近年で最もタフなレースだったことを忘れてはならない。現に2着のフェイムゲームはレースの疲れを理由に宝塚記念を使わずに休養を選択している。
また、過去2年は前年の有馬記念後、阪神大賞典→天皇賞(春)というローテーションをとってきたが、今年は阪神大賞典の前にAJCCを挟んでいる。AJCCがスローペースでほとんどレースをしていない、という見方もあるだろうが昨秋のフランス遠征から休みなく使われていることは頭に入れておきたい。目には見えない蓄積疲労が溜まっている「かもしれない」。
過去2年の勝因と有馬記念の敗因からみえてくること
ゴールドシップが有馬記念(中山芝2500m)と、宝塚記念(阪神芝内回り2200m)のコースに高い適性があることは間違いないが、宝塚記念を2連覇しているのに対して有馬記念は1着→3着→3着だ。1着だった2012年は相手筆頭とされていたルーラーシップの大出遅れがあり、ジェンティルドンナやオルフェーヴルという超一線級の馬は出走していなかった。
また、過去2年の宝塚記念の勝因は……
① 有馬記念が16頭立てであるのに対し、宝塚記念は2013年が11頭立て、2014年が12頭立てと、捲り脚質のゴールドシップにとって捲りやすい頭数だったこと。
② 2013年、2014年ともに、良馬場という発表以上に時計の掛かるコンディションであり、人気を分け合っていたフェノーメノやジェンティルドンナが苦手とする馬場状態だったこと。
という2点が考えられる。
今年は16頭立てで、人気を分け合うであろうラキシスは重馬場の産経大阪杯を制した実績がある。過去2年よりも条件は楽ではないはずだ。「天皇賞(春)を勝ったから」という理由で安易に信頼するのは危険「かもしれない」
このように不安要素を書き並べてみたが、「何言ってんの、阪神は俺の庭だって~」と楽々遺業を達成するゴールドシップが見たくないわけでもない。とにかく日曜日が待ち遠しい。
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