24日に東京競馬場で行われるオークス。この舞台に駒を進めた選ばれし18頭の中に、ぜひとも覚えておきたい1頭がいる。ほぼ確実に2桁人気でなるであろう、トーセンナチュラルだ。スイートピーステークスで15番人気ながら2着し、オークスへの優先出走権を手にしたこの馬にあえて注目する理由を紹介しよう。

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実は満たしている?出世の条件

デビューから2戦は、11着→9着と結果を残せなかったトーセンナチュラル。しかし、3戦目の中京2200mで一変。稍重発表ながら非常に時計を要するコンディションで、レース上がりも37.2というタフなレースを大外から豪快に差し切った。

裏を返せばスピード不足で、持続力に偏ったタイプという見方も出来るが、3歳になったばかりの牝馬が中央全場の芝コースにおいて最もタフなコースに分類できる中京2200mで勝つというのは、並大抵のことではない。12年に中京競馬場が新装されて以降、冬開催の芝2200mを勝った牝馬はこの馬が初めてだ。そして、このタフなコースで勝つということの価値は、同条件で行われる3歳500万のレース、大寒桜賞が出世レースとなりつつあることが証明している。

12年勝ち馬トーセンホマレボシはその後京都新聞杯をレコード勝ちし、ダービー3着。
13年勝ち馬ラストインパクトは古馬になって重賞3勝。
14年は勝ち馬ワールドインパクトが青葉賞2着し、2着馬ハギノハイブリッドが京都新聞杯を制した。
そして今年の勝ち馬タンタアレグリアは青葉賞で2着。

まだ体が完成しきっていないこの時期に、タフなコースで勝つにはそれだけ能力が必要ということだ。

この舞台で輝ける血統?

スイートピーSも、11.9-11.1-11.3-12.2というラスト4Fで持ち前の持続力を発揮。父メイショウサムソンのみならず、母の半兄クラフトワークとクラフトマンシップがともに、スタミナと持続力を問われる函館記念を勝っているように、母系からもその能力をしっかり受け継いでいる。

メイショウサムソン産駒はイメージ以上に東京芝の成績が良く、さらに母系をさかのぼると、86年の皐月賞馬ダイナコスモスが同じ牝系。また、10年オークスで8番人気ながら3着に逃げ粘ったアグネスワルツも同牝系で舞台適性は十分だ。今回のメンバー中唯一2400mという距離を経験しているのも強みである。

絶好調男に託す手綱

そんなトーセンナチュラルが初勝利を挙げた未勝利戦、オークス出走の権利をとったスイートピーSで手綱をとったのはデビュー2年目の井上敏樹騎手。今回は通算勝利数が30以下の騎手はGⅠに騎乗できないという規則があるため、残念ながら乗り替わりとなる。

代わって手綱をとるのは、現在目下絶好調の吉田豊騎手だ。先週のヴィクトリアマイルでも12番人気のケイアイエレガントで2着し、大波乱を演出した。JRA通算1100勝も達成し、勢いに乗る男。2年目の若武者がもぎ取ったオークスへの出走権を、無にするわけにはいかないだろう。

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