クラージュシチーの無念を語る厩舎関係者「命の尊さや競馬の難しさを改めて感じた」

8月2日に予後不良となったハービンジャー産駒のクラージュシチー(牡3)について、高橋義忠厩舎の関係者が心境を明かした。厩舎ブログに綴っている。

クラージュシチーは新潟8Rに出走したが、競走中止となった後に予後不良となった。疾病を発症したことで向こう正面で転倒し、右上腕骨々折を負っていた。

同厩舎スタッフの武田浩二さんは4日にブログを更新。「『予後不良』の文字を見て言葉が出なかった」といい、同馬への思いを明かした。


「僕は、クラージュを眺めるのが大好きだった。厩舎にいる間は、毎日馬房の前に立ち、じーっとクラージュを見つめていた。(中略)キラキラした琥珀色の馬体も、金色の鬣(たてがみ)も、鮮やかな流星や、真ん丸な優しい瞳も…本当に大好きだった」

クラージュシチーはメイショウサムソンやミトラといった重賞ウィナーを近親に持ち、クラシック路線を歩むことを期待されていた。しかし、2月の500万下で2着になった時、担当する前村厩務員は「このまま走っても500万クラスならすぐ勝ち上がるやろ。クラシックも出れるかもしれん。けど、将来のことを考えたら今、無理させたらアカン」と話し、熟考の末、長期の放牧に出した。

それはつまり、クラシックを棒に振るという判断だったが、放牧から帰ってきた馬を見て「状態は日に日に良くなっていった」と感じていたという。そして「8月2日の競馬では新しいクラージュシチーを見せられる、そんな舞台になるはずだった…」とも。

最後に「サラブレッドの命の尊さや競馬の難しさを改めて感じ考えたし、残念な出来事だと簡単には言えないけれど、、きっと時間は掛かるけれど、『クラージュシチーという馬がいたから』と胸を張ってクラージュに報告できるように今後も真摯に真剣に馬と向き合っていきたい」と決意を語るとともに、「本当にクラージュはファンが多い馬でした。皆さんが彼を愛しているように、僕たちスタッフもクラージュを愛していました。(中略)長期間休ませての復帰戦での故障に納得がいかない方もおられるのは重々承知しております。けれども厩舎スタッフや牧場関係者は『競走馬をつくる』という事に命を懸けて向き合っています。競馬という素晴らしいスポーツをたくさんの人に知ってもらえるよう、そして感動をあたえられるように、これからも真剣に日々の仕事に取り組んでいく決意です」と綴っている。

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