カテゴリー:回顧

(C)Ko-Mei

桜花賞で苦杯をなめた怪物牝馬が、復活を果たした。

5月21日に東京競馬場で行われた優駿牝馬オークス(GI/芝2400m)で、1番人気のフランケル産駒ソウルスターリング(牝3)が、6番人気のモズカッチャンを押さえて勝利した。2番人気のアドマイヤミヤビは3着、3番人気のリスグラシューは5着だった。

勝ち馬の勝因、敗れた馬たちの敗因は何だったのか? 振り返っていくことにしよう。


結果・着順

2017年 5月21日(日) 2回東京10日 天候 : 晴  馬場状態 : 良
【11R】 第78回優駿牝馬
3歳・オープン・G1(定量) (牝)(国際)(指定) 芝 2400m 18頭立

馬名S性齢
2ソウルスターリング牝31
1モズカッチャン牝36
16アドマイヤミヤビ牝32
7ディアドラ牝39
14リスグラシュー牝33
3フローレスマジック牝35
12ブラックオニキス牝317
18マナローラ牝316
10ブラックスビーチ牝38
104ミスパンテール牝311
1117カリビアンゴールド牝314
125モーヴサファイア牝313
1313レーヌミノル牝34
146ハローユニコーン牝312
1511レッドコルディス牝315
168ホウオウパフューム牝37
179ディーパワンサ牝318
1815ヤマカツグレース牝310

LAP 12.7-11.6-12.8-12.6-12.0-12.3-12.3-12.1-11.6-11.3-11.2-11.6
通過 37.1-49.7-61.7-74.0
上り 70.1-57.8-45.7-34.1
平均 1F:12.01 / 3F:36.02

レース分析

まずはレースラップを見てみよう。

12.7-11.6-12.8-12.6-12.0-12.3-12.3-12.1-11.6-11.3-11.2-11.6

大方の予想を覆してハナを切ったのはフローレスマジックだった。ソウルスターリングやモズカッチャンといった1、2枠の馬たちがそれに続く。アドマイヤミヤビとリスグラシューは後方からの競馬となった。

逃げ馬ではないフローレスマジックがハナを切ったのだから、ペースが遅くなるのは必然だった。1000mの通過は61.7秒。実に残り800mまでほとんどが12秒台のラップを刻む超スローペースとなった。


・直線までに、ある程度前のポジションにいること
・32秒台の末脚を使うこと

このどちらかができなければ、上位に来るのは難しいレースとなったわけだ。

(C)Ko-Mei

出走馬勝因、敗因、次走への展望

1着 ソウルスターリング

まさに盤石の競馬だった。スローペースを内枠から先行して押し切るという、これ以上ない理想的なレースだった。

・スローペースを先行=差し遅れる心配がない
・内枠から内々を回る=距離ロスほぼなし
・有力馬が後ろから競馬をしていた

もともと実力があって、これだけ要素が揃えば、勝ち切るのは納得だろう。

2着 モズカッチャン

フローラステークスの勝ち馬は低評価を覆して2着に入った。好走できた理由はソウルスターリングと同じだ。

あとは位置取りや実力など、少しの違いで差ができたということ。理想的な競馬だった。

3着 アドマイヤミヤビ

この展開になれば後ろからでは届かない。

・外枠だったこと
・やや出負けしてしまったこと


とにかくスタートが良くなかったため、いいポジションを取ることができなかった。上がり1位の末脚を使っているだけに、敗因はスタートだったといってもいいだろう。もちろん、ペースが落ち着いてしまったなど、外部的な要因もあったが。

4着 ディアドラ

内々を回って距離ロスを防ぎ、直線でもインをついて4着まで上ってきた。岩田康誠騎手らしいイン付きで、いい騎乗だったと振り返ることができる。

ただし、インにこだわったことでポジションが後ろになり、なかなかポジションを上げていくことができなかった点が痛かった。この視点から見れば騎手の判断が間違っていたと解釈することもできないこともないが、「9番人気の馬で上位を狙う」という観点から考えればこの選択は妥当だったように感じられる。

5着 リスグラシュー

先行馬ではないためポジションが後ろになることは仕方がないが、体内に時計を持っている武豊騎手であるならばもう少し前々のポジションを取りたかったところだっただろう。

直線の入り口でもややスムーズさを欠き、ポジションを落としてしまった。最後は伸びてきているが、上位を飲み込むまでには至らず。この展開では厳しかった。

6着 フローレスマジック

驚きの逃げを打った。このペースなら粘り込みたいところだったし、数字上は可能だっだように感じられる。

だが、オークスという2400mの長丁場で初めて逃げを打ったというシチュエーションは厳しいものだった。戸崎圭太騎手はとしては他の馬をいかせてソウルスターリングのような競馬をしたかったのだろうが、自分が逃げる展開になっては厳しかった。

同じ東京競馬場の2400mのGIという意味では、キングヘイローのダービーが思い出されるようなレースだった。

7着 ブラックオニキス

この馬が7着に粘れたという点が、このレースの本質を示している。実力が劣る馬でも、このペースである程度のポジションにいれば残れてしまうわけだ。

8着 マナローラ

9着 ブラックスビーチ

10着 ミスパンテール

11着 カリビアンゴールド

12着 モーヴサファイア

13着 レーヌミノル

やはりダイワメジャー産駒に2400mは長かった、というような結果だ。


位置取りは悪くなかったものの、コーナーで終始外を回す競馬になってしまった。そういう意味では外枠が響いたと判断していいだろう。

・中長距離が苦手なダイワメジャーの血
・距離ロスをしやすい外枠
・実際にコーナーで距離を大幅にロス

これらの要素が重なり、直線で弾けることはできなかった。コーナー4回の秋華賞であれば今回より適性がありそうだが、ダイワメジャー産駒という点を考慮すると、マイル路線を歩んでいったほうが無難だと考えられる。

14着 ハローユニコーン

15着 レッドコルディス

16着 ホウオウパフューム

17着 ディーパワンサ

18着 ヤマカツグレース



上がり馬が勢いのままに重賞初制覇を果たした。

5月20日に京都競馬場で行われた平安ステークス(GIII/ダート1900m)で、1番人気のキングカメハメハ産駒グレイトパール(牡4)が、6番人気のクリソライト(牡7)を押さえて勝利した。2番人気のグレンツェント(牡4)、アスカノロマン(牡6)は下位に沈んだ。

勝ち馬の勝因、敗れた馬たちの敗因は何だったのか? 振り返っていくことにしよう。


結果・着順

2017年 5月20日(土) 3回京都9日 天候 : 晴  馬場状態 : 良
【11R】 第24回平安S
4歳以上・オープン・G3(別定) (国際)(指定) ダート 1900m 16頭立

馬名性齢
9グレイトパール牡41
4クリソライト牡76
1マイネルバイカ牡815
5ピオネロ牡69
16ケイティブレイブ牡44
2タガノエスプレッソ牡58
8リーゼントロック牡611
13ラストインパクト牡713
7アスカノロマン牡63
1015グレンツェント牡42
1112マイネルクロップ牡716
1211ロンドンタウン牡45
1310ロワジャルダン牡67
146クリノスターオー牡710
1514ドリームキラリ牡514
163コパノチャーリー牡512

LAP  6.9-10.6-11.1-12.5-12.1-12.1-12.4-12.5-12.6-12.9
通過 28.6-41.1-53.2-65.3
上り 74.6-62.5-50.4-38.0
平均 1F:12.18 / 3F:36.54

レース分析

まずはレースラップを見てみよう。

6.9-10.6-11.1-12.5-12.1-12.1-12.4-12.5-12.6-12.9

各場揃ったキレイなスタートからハナを切ったのはコパノチャーリーだった。淡々とした流れとなり、中盤でペースが緩むこともなかった。前に行った馬にとって、厳しい展開だったことが分かる。

3、4コーナーではケイティブレイブが前を捉えて後ろを引き離しにかかったが、楽な手応えで上がっていったのがグレイトパールだった。直線では後続を寄せ付けず、鋭い末脚で伸びてきたクリソライトに4馬身差をつける圧勝劇だった。


まさに「ダート界に新星現る」といった見出しをつけたくなるような結果となった。

出走馬勝因、敗因、次走への展望

1着 グレイトパール

長期休養明けでダートを使って以来、これで5連勝となった。最後はほとんど持ったまま、川田将雅騎手は手綱を緩めてゴール板を通過した。本当ならもっともっと差がついていたと考えていいだろう。

勝因としては実力が抜けていたことに加え、流れに上手く乗ったことが挙げられる。ほとんどの先行勢が崩れたように、ダート戦にしては先行馬に厳しい展開となった。この馬はペースの速いところで中団につけ、徐々に徐々にポジションをお仕上げていった。

結果、周りにつられて無理するようなことはなく、自然に順位を上げていけたわけだ。もっとも、実力が抜けていなければこれほどの差はつかなかったはず。

これからのダート路線で主役になれる可能性を秘めた一頭として、今後が注目されるところだ。

2着 クリソライト

ダイオライト記念を3連覇しているように、この馬の適正距離はもっと長い。だから2000m未満になると、ペースについていけない。実際、今回も終始最後方に位置していた。

それでも上位に来られたのは、差し馬が台頭できる流れになったから。いわゆる“漁夫の利”のような形だった。

今後に関しても、基本的には最低でも2000m以上ほしいところ。それ以下になると、今回のようにハイペースになるなど、何かしらの後押しが必要になる。

3着 マイネルバイカ

最内からジリジリ伸びてきた。単勝150倍から3着に来たのだから、驚きといったところ。

4着 ピオネロ

この馬もクリソライトと同じようにポジションは後ろだった中で展開が向き、最後に差してこられた。ネオユニヴァースからダートの超大物が出ていないのは、コテコテのダート血統に比べてタフな展開に対応できる力がないから。そういう意味で、今回はこの馬向きの流れになった。


ある程度展開が流れて差しの決まる展開になったからこそ、芝でも活躍したこの馬にチャンスが回ってきたわけだ。

5着 ケイティブレイブ

先行馬に厳しい展開になった中、終始先行して最後は5着に粘り込んだ。素直に評価していいだろう。

6着 タガノエスプレッソ

前述の通り、芝の差し馬が来られるような展開になったことが幸いした。馬体重が軽い馬だけに、ダート路線では厳しく、この展開で6着までであれば相当の助けがない限り、馬券圏内に浮上することは難しいと考えられる。

7着 リーゼントロック

8着 ラストインパクト

ダートでは厳しいだろう。

9着 アスカノロマン

3コーナーの時点で手応えが怪しくなり、気づけば惨敗となってしまった。舞台適性は高く、明らかに不利な展開になったというわけでもなかっただけに、不可解な敗戦だ。状態や年齢的な問題があったのかもしれない。

10着 グレンツェント

直線の入り口でいい形で外に持ち出せたが、全く伸びずに惨敗となった。前走に続く敗戦ということで、やや心配なところ。

ダートで超一流馬が出ていないネオユニヴァースの産駒、ダート馬としてはかなり馬格が小さい(470キロ前後)という点も含め、成長力が課題となりそうだ。

11着 マイネルクロップ

12着 ロンドンタウン

展開△。見直し可。

13着 ロワジャルダン

展開△。見直し可。

14着 クリノスターオー

15着 ドリームキラリ

16着 コパノチャーリー


(C)Yusuke Tsutaya

直線で抜群の末脚を披露し、他馬を圧倒した。

5月13日に東京競馬場で行われた京王杯スプリングカップ(GII/芝1400m)で、2番人気のスウェプトオーヴァーボード産駒レッドファルクス(牡6)が、11番人気のクラレント(牡8)を押さえて勝利した。一方、サトノアラジン(牡6)やキャンベルジュニア(牡5)といった人気馬は馬群に沈んだ。

勝ち馬の勝因、敗れた馬たちの敗因は何だったのか? 振り返っていくことにしよう。


レース映像・動画

映像はJRA公式サイト→レース結果のページでご覧いただけます

結果・着順

2017年 5月13日(土) 2回東京7日 天候 : 雨  馬場状態 : 重
【11R】 第62回京王杯スプリングカップ
4歳以上・オープン・G2(別定) (国際)(指定) 芝 1400m 13頭立

馬名S性齢
10レッドファルクス牡62
12クラレント牡811
9グランシルク牡54
1ヒルノデイバロー牡613
8トウショウドラフタ牡46
11トーキングドラム牡78
13ダッシングブレイズ牡55
5トーセンデューク牡610
4サトノアラジン牡61
102ロサギガンティア牡69
113キャンベルジュニア牡53
127ブラヴィッシモ牡57
136ダンツプリウス牡412

LAP 12.8-11.3-12.3-12.6-11.6-11.1-11.5
通過 36.4-49.0-60.6-71.7  上り 70.4-59.1-46.8-34.2  平均 1F:11.89 / 3F:35.66

レース分析

まずはレースラップを見てみよう。

12.8-11.3-12.3-12.6-11.6-11.1-11.5

雨が降りしきる中で行われた。通常、降雨中に行われるレース(しかもかなりの雨量がある場合)はミドル〜ハイペースになりがちだ。良馬場時に引っ張られてペースは上がるが、実際には馬場が悪いため、実質的にはハイペース……といった構図になる。


しかし、京王杯に限っては完全なスローペースとなった。12秒台のラップを連発し、最後の直線では横に広がって「ヨーイドン!」の様相となった。

その中で速い上がりを使えた馬、あるいはギリギリ、コーナーでリードを保った馬が粘って上位に来た、というレースだった。

出走馬勝因、敗因、次走への展望

1着 レッドファルクス

GI馬が実力を発揮した格好となった。位置取りは後方だったが、抜群の末脚で他馬を置き去った格好だ。

スプリントGI馬というだけあって、スピード比べになったことが幸いした。また、道中緩いペースで流れてスタミナを問われなかったため、距離を克服できたと考えられる。

2着 クラレント

瞬発力勝負では分が悪かったが、それでも粘りきって2着を確保した。何といっても道悪の鬼ダンシングブレーヴの血が騒いだのだろう。今までも重馬場の東京新聞杯で3着に激走したり、やや重の関屋記念を勝った実績を持っている。

なお、京王杯スプリングカップでは2014年に2着になった実績がある。

・馬場
・舞台設定

この2つが整ったからこそ、実現した激走だったというわけだ。

3着 グランシルク

ステイゴールド×ロベルト系といういかにも道悪巧者な血統が生きた。しかも末脚は確実な馬であるため、瞬発力勝負になったことも幸いした。

結果として瞬発力では補えないほどのポジションにいたため、3着に甘んじたが、ポジション一つで上位に来る可能性はあったと言えるだろう。


4着 ヒルノデイバロー

久々に逃げを打ったことが幸いした。マンハッタンカフェ×セントサイモン系という組み合わせで、こちらも道悪で台頭しそうなタフな血統だが、大穴を開けることに成功した。

5着 トウショウドラフタ

勝ったレッドファルクスと同じくで、どちらかといえば短距離のタフなレースで台頭してくるタイプの馬だ。不良馬場のファルコンステークスを勝っているように、舞台設定は合った。展開も相まって末脚を発揮できたが、こちらも位置取りの差で掲示板止まりに。

6着 トーキングドラム

7着 ダッシングブレイズ

2走前に道悪の落葉ステークスを勝っているように、馬場は問題ではなかった。

敗因はおそらく距離だろう。

直線の入り口の時点で6番手にいたが、スピードアップするタイミングで完全に置かれてしまった。最後は伸びて盛り返したが、上位を差しまでには至らず。

キャリアを振り返ると33秒台の末脚を連発していることから、瞬発力勝負に全く対応できないというわけではない。それでも置いていかれてしまったのは、1400mという距離に対応できなかったからだろう。

距離を伸ばしたところで見直したいところだ。

8着 トーセンデューク

9着 サトノアラジン

好スタートを切りながらズルズルと後ろに下がり、直線ではほとんど最後方となっていた。これではいくら瞬発力を発揮したとしても届かない。

通った位置取りが微妙で終始前が壁になるようなレースだったため、この順位も致し方なしといったところだ。川田将雅騎手の騎乗ぶりに疑問符がつく、といったところ。

それでも上がり2位の脚を使っているのだから、道悪がダメだったというわけでも、距離がダメだったというわけでもない。次のレースで見直し可能だろう。


10着 ロサギガンティア

11着 キャンベルジュニア

直線まで持ったまま、残り400mを越えてようやく追い出されたが、全く切れることなく、下位に沈んでしまった。もっとも、もともと瞬発力勝負は得意ではないため、致し方ないといったところだ。追い出した時点で周囲を囲まれて窮屈になった面もあった。また、距離も微妙だったのだろう。

先行して持ち前のスタミナをいかし、どれだけ粘り込めるか……というスタイルだけに、今回のレースは厳しかった。見直し可。

12着 ブラヴィッシモ

13着 ダンツプリウス


ミッキークイーンとルージュバックの敗因とは?ヴィクトリアマイルで惨敗した3つの理由

(C)Ko-Mei

直線で爆発的な末脚を披露することはできなかった。

5月14日に東京競馬場で行われたヴィクトリアマイル(GI/芝1600m)で、6番人気のステイゴールド産駒アドマイヤリード(牝4)が、11番人気のデンコウアンジュ(牝4)を押さえて勝利した。一方、ミッキークイーン(牝5)やルージュバック(牝5)といった人気馬は馬群に沈んだ。

なぜ圧倒的一番人気に支持されたミッキークイーンは敗れたのか? 敗因は何だったのか? 振り返っていくことにしよう。


レース映像・動画

映像はこちらから(※JRA公式サイト→レース結果のページでご覧いただけます)

結果・着順

2017年 5月14日(日) 2回東京8日 天候 : 曇  馬場状態 : 稍重
【11R】 第12回ヴィクトリアマイル
4歳以上・オープン・G1(定量) (牝)(国際)(指定) 芝 1600m 17頭立

馬名S性齢
5アドマイヤリード牝46
10デンコウアンジュ牝411
3ジュールポレール牝47
2スマートレイアー牝74
4ソルヴェイグ牝49
8クイーンズリング牝55
11ミッキークイーン牝51
15フロンテアクイーン牝412
12ウキヨノカゼ牝78
107ルージュバック牝52
1114レッツゴードンキ牝53
121アットザシーサイド牝413
136アスカビレン牝510
1413ヒルノマテーラ牝617
1516クリノラホール牝416
1617リーサルウェポン牝615
179オートクレール牝614

LAP 12.6-11.2-11.8-12.3-12.2-11.1-10.8-11.9
通過 35.6-47.9-60.1-71.2
上り 70.1-58.3-46.0-33.8
平均 1F:11.74 / 3F:35.21

敗因分析

まずはレース回顧をご覧でない方は、こちらを見てから先に進んでいただきたい。

アドマイヤリードの勝因、レッツゴードンキの敗因は?ヴィクトリアマイル2017結果・動画

まとめると、今回のヴィクトリアマイルの本質は……


・残り3ハロンまでの位置取り
・やや重の中で上がりを使える能力

この2点だった。そういう意味で、ミッキークイーンはこの2つの要素に全く当てはまっていなかったのだ。

敗因1 消極的すぎたレースプラン

浜中俊騎手はレース後、こう振り返っている。

「ゲートは上手に出てくれて、出たなりで競馬はできた。いつも反応は鈍い方だけど、今日は手前を3回くらい替えて走っていた。最後もデンコウアンジュが横から来たところで抵抗できなかった」

まずこの「出たなりの競馬」という点が消極的すぎたように思える。ヴィクトリアマイルは牝馬限定戦で、毎年のようにスローペースになっている。しかも今年のメンバーを見渡しても、スローペースになることは濃厚だった。少なくともハイペースになるようなことはなかっただろう。

そうならば、少なくともポジション取りをもう少し気にしたほうがよかったはずだ。3コーナーでは悪い位置取りではなかったが、4コーナーではズルズル下がってポジションを悪くしてしまった。

先行するような競馬を経験したことはないとはいえ、今回の位置取りが失敗だったことは間違いないだろう。

敗因2 瞬発力レースはもう向かない?

次に、瞬発力勝負になったこともミッキークイーンに味方しなかった。

ミッキークイーンは圧倒的な瞬発力を持っている……とイメージしがちだ。しかし、実際にはそこまで瞬発力に優れた馬ではない。

戦績を見れば明らかだろう。能力で押し切ることができた2、3歳のときは上がり1位を使っているが、古馬になってからは2回しか1位を使っていない。他にすべて3位以下である。
馬グループ戦歴(1頭)


レース名馬場状態上り3F上り3F順
ヴィクトG133.87
阪神牝馬G234.01
有馬記念G135.87
エリザベG133.64
ヴィクトG133.64
阪神牝馬G233.31
JCG134.26
秋華賞G134.64
ローズSG233.81
優駿牝馬G134.01
忘れな草34.03
クイーンG333.81
未勝利*36.11
新馬・牝33.71

集計期間:2014.12. 7 ~ 2017. 5.14

ちなみにこの戦績はジェンティルドンナと非常によく似ている。

レース名馬場状態上り3F上り3F順
有馬記念G134.18
JCG135.58
天皇賞秋G134.48
宝塚記念G136.28
京都記念G234.68
JCG133.96
天皇賞秋G135.83
宝塚記念G135.94
JCG132.82
秋華賞G133.13
ローズSG233.23
優駿牝馬G134.21
桜花賞G134.31
チューリG334.73
シンザンG334.74
未勝利*34.11
新馬36.72

集計期間:2011.11.19 ~ 2014.12.28

ご覧のように、ジェンティルドンナも同世代の馬たちと戦っていたときは常に1〜3位だったが、古馬になってからはほとんど上がり上位を使っていない。しかし、絶対的なセンスと能力で勝ちを重ねていた。

ミッキークイーンも同じで、今は瞬発力だけの競馬を求められると辛い。だが、おそらくジェンティルドンナのように、もう少し先行するなど、能力を活かそうとする競馬をした方が力を発揮できる可能性が高いといえる。

今回のヴィクトリアマイルではミッキークイーンが持つ能力を発揮しきれなかったのだ。

敗因3 ディープ産駒の差し馬は…

これは敗因とは少しズレるが、そもそもディープインパクト産駒の差し馬というのは取りこぼしが多い。(差し馬に取りこぼしが多いのはディープインパクト産駒に限らないが)

ディープインパクト産駒完全攻略!スター種牡馬の仔が走る5つの法則とは?

ここで述べられているが、基本的に先行馬の方が期待値が高い。差し馬は色々なリスクがあるため、凡走する可能性が高いといえるのだ。

先に出したジェンティルドンナはもともと差し馬だったが、徐々に先行馬にシフトしていった。一方のミッキークイーンは差す競馬を続け、取りこぼしも多い。


今回の凡走は、差し馬にならいつでも起こり得るものだった。そういう意味で、今回のレースを教訓にもっと積極的なレースを展開してくれることを望む。なにも先行する競馬ができないわけではないはずなのだから。

ルージュバックの敗因は?

なお、人気で敗れたルージュバックにも同じことが言える。位置取りが悪すぎたし、爆発的な末脚を望むことはもう難しいだろう。

戸崎圭太騎手はレース後「追走は楽だったけど、後方からになってしまった。外に出せずに中を突く形になって、伸びがひと息だった」と振り返っているが、あのような位置取りになるくらいなら、無理にでも追走しなければ厳しかったわけだ。

まとめ

今回のように、人気の差し馬が負けて伏兵が台頭する、というのは競馬ではよくあることだ。

ミッキークイーンもルージュバックも、差し馬とはいえ、圧倒的な爆発力を持っているわけではない。というより、現代の競馬で差して安定した成績を残せる馬など、本当に一握りである。

だからこそ、2頭と陣営、騎手にはもっと積極的な競馬をしていくことが求められるのではないか。今は競馬ファンの目がシビヤになっている。先行して力勝負で負けたのなら納得がいくが、差して展開が向かずに届かない……というのはどうしてももどかしさが残る。

2頭とも能力は高いのだから、今の殻を打ち破るようなレースをしてくれることを期待したいところだ。


(C)はねひろ

圧倒的一番人気のミッキークイーンは沈み、新たな女王が誕生した。

5月14日に東京競馬場で行われたヴィクトリアマイル(GI/芝1600m)で、6番人気のステイゴールド産駒アドマイヤリード(牝4)が、11番人気のデンコウアンジュ(牝4)を押さえて勝利した。

勝ち馬の勝因、敗れた馬たちの敗因は何だったのか? 振り返っていくことにしよう。


レース映像・動画

映像はこちらから(※JRA公式サイト→レース結果のページでご覧いただけます)

結果・着順

2017年 5月14日(日) 2回東京8日 天候 : 曇  馬場状態 : 稍重
【11R】 第12回ヴィクトリアマイル
4歳以上・オープン・G1(定量) (牝)(国際)(指定) 芝 1600m 17頭立

馬名S性齢
5アドマイヤリード牝46
10デンコウアンジュ牝411
3ジュールポレール牝47
2スマートレイアー牝74
4ソルヴェイグ牝49
8クイーンズリング牝55
11ミッキークイーン牝51
15フロンテアクイーン牝412
12ウキヨノカゼ牝78
107ルージュバック牝52
1114レッツゴードンキ牝53
121アットザシーサイド牝413
136アスカビレン牝510
1413ヒルノマテーラ牝617
1516クリノラホール牝416
1617リーサルウェポン牝615
179オートクレール牝614

LAP 12.6-11.2-11.8-12.3-12.2-11.1-10.8-11.9
通過 35.6-47.9-60.1-71.2
上り 70.1-58.3-46.0-33.8
平均 1F:11.74 / 3F:35.21

レース分析

まずはレースラップを見てみよう。

12.6-11.2-11.8-12.3-12.2-11.1-10.8-11.9

逃げ馬不在でスロー濃厚と見られたレースでハナを切ったのはソルヴェイグだった。スマートレイアーらがそれに続き、ミッキークイーンは中団から、ルージュバックはほとんど最後方からレースを進めた。


結果、前半の1000mは60.1。直線の入り口では横に広がり、まさしく「ヨーイドン!」という展開となった。上がり3ハロンは33.8だから、完全な位置取り勝負+その中で上がりの切れ味に優れた馬たちが上位に来た、と言える。

なお、やや重という馬場状態だったことも多少は影響があったと考えられる。良馬場におけるスローの上がり勝負ならディープインパクト産駒やキングカメハメハ産駒といった瞬発力血統が上位に来るはず。

しかし、今回上がり1位を使ったのは、なんとメイショウサムソンのデンコウアンジュとフロンテアクイーンだった。決して瞬発力があるわけではないメイショウサムソン産駒が2頭とも上がり1位の脚を使ったというのだから、偶然とはいえないだろう。

・残り3ハロンまでの位置取り
・やや重の中で上がりを使える能力

このあたりが求められるレースだったと考えられる。

出走馬勝因、敗因、次走への展望

1着 アドマイヤリード

・残り3ハロンまでの位置取り
・やや重の中で上がりを使える能力

まさにこの2つを兼ね揃えたのがアドマイヤリードだった。堀川特別で調子を取り戻していこう、すべてのレースで上がり1位の脚を使っている。しかも直近の2走は重馬場の中で上がり1位を使っていた。今回のコンディション、そして展開がモロにハマったと判断できる。

もともとステイゴールド産駒はタフな競馬が得意だし、内枠から狭いところを抜け出して……という競馬が十八番だ。そういう意味で、クリストフ・ルメール騎手の手綱さばきも光った。

2着 デンコウアンジュ

コーナーで外を回すロスがあったが、ミッキークイーンの外からかぶせるようにして鋭い末脚を使った。ある意味、この馬が上がり33秒2を使って2着に来たことが、このレースの本質を示しているように感じられる。

思えば過去にアルテミスステークスを勝ったときも同じようなシチュエーションだった。


デンコウアンジュの血統や将来性は?アルテミスS1着馬を徹底分析

欧州血統に有利なタフな馬場で、直線で上がり1位を使って1着。今回は2着だったが、こういう状況がこの馬には合っていたのだろう。

3着 ジュールポレール

ディープインパクト産駒の上がり馬らしい飛躍だった。この馬もある程度のポジションで競馬ができ、ある程度の上がりを使える才能があった。

ディープインパクト産駒ではあるが、母父エリシオは欧州血統だ。血の後押しがあったと考えていいだろう。

なお、半兄サダムパテックがマイルチャンピオンシップを制したときも、馬場はやや重だった。渋った馬場のマイルGIで好走できる才能を持った一族なのかもしれない。

4着 スマートレイアー

武豊騎手は最高の競馬をしたが、最後の最後に切れ味の差が出てしまった。1400mや1600mで勝った実績が豊富であるものの、中距離をこなせるスタミナとタフさを持つ馬でもある。今回は瞬発力勝負になった分だけ、分が悪かった。

5着 ソルヴェイグ

距離に不安のある馬だけに、ペースを落として楽な展開を作れたのが幸いした。しかし、上がりを使える馬ではないため、瞬発力勝負になるとどうしても切れ負けしてしまう。

かといってこれ以上ペースを上げてしまうとスタミナが持たないわけで、この条件ではどうやってもこれ以上上の順位に行くことは難しかったのではないか。最高の競馬をして5着だった、と判断していいだろう。

6着 クイーンズリング

ミルコ・デムーロ騎手の好判断でポジションを上げて直線では勝負圏内にいた。しかし、通ったコースがイマイチ伸びない場所だったこともあって、6着まで。

7着 ミッキークイーン

別の記事で詳細を書くが、端的に言えば何もかもはまらなかった、ということ。


8着 フロンテアクイーン

馬場があっていたのは上がり1位の末脚を使ったことでも明白だが、さすがに位置取りが後ろ過ぎた。

9着 ウキヨノカゼ

位置取りが後ろ過ぎた。

10着 ルージュバック

位置取りが後ろ過ぎた。

11着 レッツゴードンキ

外枠が影響してコーナーで距離をロスしすぎた。いくらスローペースだったからとはいえ、距離不安のある馬がコーナーであれだけ外を回れば直線で力尽きるのは仕方がない。

12着 アットザシーサイド

力負け。

13着 アスカビレン

力負け。

14着 ヒルノマテーラ

力負け。

15着 クリノラホール

力負け。

16着 リーサルウェポン

力負け。

17着 オートクレール

力負け。


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