イスラボニータの勝因、モズアスコットの敗因とは?阪神カップ2017の回顧

暮れの阪神、有終の美。アドマイヤグルーヴを思い出す鮮やかなラストランだった。

2017年12月23日、阪神競馬場で阪神カップ(G2/芝内回り 1400m)が行われ、現役最後のレースとなったイスラボニータが見事な走りで優勝し、華麗な最後を飾った。

レコード決着となりスピード能力が求められた。ただ、外がさほど伸びず、内中も伸びる馬場は立ち回りの上手さも求める、という難しいレースだったと言える。

ベテラン勢の好走の理由は、そして若駒達の敗因は?それぞれのポイントを見ていこう。


目次

結果・着順

2017年12月23日(祝) 5回阪神7日 天候 : 晴  馬場状態 : 良
【11R】 第12回阪神カップ
3歳以上・オープン・G2(定量) (国際)(特指) 芝・内 1400m 18頭立

馬名性齢
イスラボニータ牡62
ダンスディレクター牡77
サングレーザー牡33
モズアスコット牡31
ビップライブリー牡410
モーニン牡513
レーヌミノル牝34
ムーンクレスト牡514
オールザゴー牡317
10サンライズメジャー牡816
11キャンベルジュニア牡55
12シュウジ牡48
13タガノブルグ牡618
14アポロノシンザン牡56
15ミスエルテ牝311
16エポワスセ912
17トウショウピスト牡515
18シャイニングレイ牡59

LAP 12.1-10.7-10.8-11.2-11.5-11.7-11.5
通過 33.6-44.8-56.3-68.0  上り 67.4-56.7-45.9-34.7  平均 1F:11.36 / 3F:34.07

払い戻し

単勝  2 \410
複勝  2 \160 / 12 \380 / 10 \160
枠連  1-6 \2250 (12)
馬連  02-12 \4040 (9)
ワイド 02-12 \1130 (9)/ 02-10 \360 (2)/ 10-12 \1110 (8)
馬単  02-12 \6070 (15)
3連複 02-10-12 \3890 (5/816)
3連単 02-12-10 \24440 (51/4896)

出走馬勝因、敗因、次走への展望

1着・イスラボニータ

スタート直後は積極的に2番手集団に入っていったが、そこからやや位置を下げ中団前目の馬群内に位置を取った。

そこから勝負どころを迎えても鞍上ルメールの手綱は動かず静かに身を潜めていた。そして直線を向いてからゴーサイン。狭くなりそうなシーンもこじ開けきって最後は前を捉えた。

次走がない馬なので今後が云々とは言えないが、今回も光ったのは操縦性の高さだ。ベテラン故という部分もあるが、この馬は若いころから素晴らしい機動力を持っていた。最後もそれが生きたレースになったと言える。

G1で掲示板に載ること8回、馬券になること6回。名マイラーが優れた産駒を出すことを祈ってやまない。

2着・ダンスディレクター

悔しいハナ差負けだがこれ以上の立ち回りは望めずむしろ頑張りをたたえるべきだろう。

元来寒い時期は得意な馬で、過去2着→4着とこのレースとの相性も抜群。鞍上の見事なエスコートもありしっかりと巻き返した。近年短距離路線は高齢馬の活躍が目立つことも見逃せない。

3着・サングレーザー

大味なレースとなってしまい前に届くかというシーンまでは作れなかった。それでもよく伸びており今後この路線の主役を張っていく可能性は高い。

マイルよりは自然と脚を溜められる位置に落ち着けるこの距離のほうが競馬はしやすいだろう。一瞬のキレで勝負するタイプ故差し馬だが小回りのほうが決め手が生きる。

4着・モズアスコット

クリスチャンは先週のラビットランと同じような負け方をしてしまった。

この日の馬場の傾向から直線を向く段階であそこまでおっつけて外を回ってしまっては厳しく最後はなだれ込むような形に終わった。この距離は気持ち忙しい印象もあり、ちぐはぐな競馬になってしまったのが残念。広いコースのマイル戦などが本領発揮の場となりそうだ。それでもいきなりのこの舞台で人気を背負って入着は十分に立派だ。

5着・ビップライブリー

直線ややスムースさを欠きながらも掲示板を確保。条件を問わず重賞でも通用している。あまり人気にならないタイプでもあり今後も注目。得意の重い馬場が後押しすればタイトルを手にする日も近いか。

7着・レーヌミノル

普段ほどの好位は取れず。このあたりは距離短縮の影響だろう。厳しいレースを続けていての秋4戦目で疲れもあったか。過酷なローテが後に響かなければよいが。

11着・キャンベルジュニア

これで1400では3回続けて大凡走に終わった。マイル以上で小脚を使える小回りコースなら見直し可能。

14着・アポロノシンザン

外連味のない逃げを打ったが大敗に終わった。着順ほどは負けていないとはいえここではまだ敷居が高かった面は否めない。

まとめ

クラシック戦線でしのぎを削ったダービー馬ワンアンドオンリーの後を追うように皐月賞馬もふるさとの北の大地に旅立っていく。

輝かしい戦績と、愛らしいルックスで多くの競馬ファンを魅了したイスラボニータの競走馬生活、ここに幕。世代屈指の実力馬としてクラシック戦線を席巻した若かりし日々もルメールと共に歩んだ老いてなお盛んな渋い晩年もともに忘れがたい。

文=櫻井秀幸

おすすめの記事