ミスパンテールの勝因とラビットランの敗因は?ターコイズS2017の回顧

鋭く馬群を切り裂いた3歳馬はゴール寸前でぐいと首だけ出てみせた。

2017年12月16日、中山競馬場でターコイズステークス(G3/芝外回り 1600m)が行われた。

14頭がコンマ4秒差の中にひしめきあったハンデ戦らしい大混戦となり、直線はごった返しにごった返した。

最初の1ハロンを除いてはずっと11秒台が続くラップとなったが特段速いところもなく、全体の時計がとりわけ速いわけでもない。展開の有利不利が少ない実力勝負だったと言えるだろう。

勝者、敗者をわけた“分岐点”はどこにあったのだろうか? 振り返っていくことにしよう。


目次

結果・着順

2017年12月16日(土) 5回中山5日 天候 : 曇  馬場状態 : 良
【11R】 第3回ターコイズS
3歳以上・オープン・G3(ハンデ) (牝)(国際)(特指) 芝 1600m 16頭立

馬名性齢
ミスパンテール牝35
フロンテアクイーン牝43
デンコウアンジュ牝47
ラビットラン牝31
エテルナミノル牝44
リエノテソーロ牝36
ディープジュエリー牝58
ワンブレスアウェイ牝42
ペイシャフェリス牝613
10バンゴール牝511
11サザナミ牝510
12アールブリュット牝514
13リーサルウェポン牝615
14オートクレール牝69
15ハローユニコーン牝316
16アスカビレン牝512

LAP 12.5-11.6-11.8-11.8-11.8-11.7-11.2-11.8
通過 35.9-47.7-59.5-71.2  上り 70.1-58.3-46.5-34.7  平均 1F:11.78 / 3F:35.33

払い戻し

単勝  8 \1260
複勝  8 \400 / 7 \190 / 14 \610
枠連  4-4 \2490 (10)
馬連  07-08 \2570 (9)
ワイド 07-08 \960 (8)/ 08-14 \3300 (36)/ 07-14 \1820 (22)
馬単  08-07 \5730 (20)
3連複 07-08-14 \16580 (50/560)
3連単 08-07-14 \94580 (306/3360)

出走馬勝因、敗因、次走への展望

1着 ミスパンテール

道中は中団を進んでいたが、勝負どころで他馬が外から動いたため直線を向いた時の位置取りは後方のインというかなり厳しい状況だった。

そこからも案の定前は空かず、常に先頭争いをしていたディープジュエリーの後ろでこのまま終戦かと思えた。しかし残り100と少しのところでディープジュエリーとラビットランの間に生じたわずかな隙間をこじ開けそこから驚異の伸び脚で差し届いてみせた。

ここまでの好走パターンは長く良い脚を使って差し切るというものだったたけに、このレースでの瞬間的キレ味には驚かされた。ダイワメジャー産駒であることを考えればなおさらだ。

この時期の3才馬の成長力を認めつつも、鞍上横山典弘のファインプレーも見逃せない。短い中山の直線でも前が開くまでじっと我慢し、後ろでもがく関東リーディングジッキーに熟練の技を見せつけた。

鞍上の老獪さがもたらした望外のキレ味。今年の3歳はやはり強い。

2着 フロンテアクイーン

この馬も進路に苦心しながらも前にいたペイシャフェリスとディープジュエリーの間に進路を見つけ残り200で追撃開始。一旦は抜け出したのだが。。

重賞でも準OPでも惜敗続きで堅実だが勝ちきれない馬。牝馬戦線の常連として活躍していくだろうが、突き抜けるまではどうか。この鞍上北村も相当うまく乗っている。

3着 デンコウアンジュ

55を背負っていたことを考えれば悲観することはない3着だ。外を回ったがワンテンポ遅らせた仕掛けが功を奏し最後で急追。ムラなところはあるが、タメが利いた時の決め手はやはり脅威。

4着 ラビットラン

こちらもハンデを加味すれば責められない敗戦だ。直線を向いた時の勢いは勝ったかと思わせたし、現に最後まで伸びている。

詰まりそうになった馬たちが最後に弾けたのは所謂展開のあやな部分もあり着差を考えても先着を許したメンバーとの間に力差はさほどない。

5着 エテルナミノル

直線はずっとラビットランと併せ馬のような形で前に迫ったが最後まで詰め切れず。力を出し切って1キロ背負っていた年少馬を捕まえられなかったのはやや物足りない。ねらい目は重い馬場か。

6着・リエノテソーロ

逃げる形になったがゴール寸前まで先頭を守ったように力は出し切っている。55背負っていた上に早めに来られた展開は厳しいものがあったがもうひと踏ん張りしてほしかったことも事実。NHKマイルCでも最後は止まっていたようにマイルは気持ち長いかもしれない。

8着 ワンブレスアウェイ

外に逃げるような形で出遅れ。これで位置取りが悪くなり、直線も後方にいた勝ち馬よりまだ後ろからではチャンスがない。進路もなかったし完全に度外視できる敗戦。

まとめ

ゴールする瞬間までどの馬が勝つか全くわからなかった大接戦は進路を求めて最後まで我慢した組に軍配があがった。

冬枯れの中山のせわしない馬場とはいえ開幕週、内は伸びる。女たちの熾烈な戦いに制するのに必要だったのは巧みな立ち回りだった。

文=櫻井 秀幸

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