2冠の夢は府中の直線の半ばで潰えた。

桜花賞で4馬身差の圧勝劇を演じたレッツゴードンキ(牝3)は1枠1番の絶好枠から2つ目のタイトルを目指した。道中、番手につけて直線で満を持して追い出したが、伸びきることはできず、10着に終わっている。

なぜ、レッツゴードンキは大敗したのか。その原因を探っていこう。


目次

ブラッドスポーツ故の「血」が及ぼす影響

レッツゴードンキは父のキングカメハメハより母のマルトクの特性を引き継いでいると考えられる。

母マルトクはダートの短距離で活躍した。主に1200mを主戦場とし、勝ったレースの中で最も距離が長かったのは1400mだった。明らかにスプリンター色が強い。桜花賞制覇後、オークスではなくNHKマイルカップへ進む選択肢が浮上したのは、距離不安があったからに他ならない。

2400mのオークスで上位に入るために必要なスタミナを持ち合わせていなかったわけだ。

はまらなかった展開

レースラップを振り返ると、違った理由も見えてくる。

12.5 - 10.6 - 12.5 - 13.0 - 12.7 - 12.6 - 12.5 - 11.9 - 11.9 - 11.3 - 11.6 - 11.9

1000m通過は1分1秒3とスローペースで流れた。しかし、1400mを通過した時点でペースは徐々に上がりはじめ、1600m以降は11秒台をコンスタントに叩いている。

後半の5ハロン(1000m)がずっと11秒台だったことが何を意味するのか。答えは簡単で、スタミナを要求されるレースになったということだ。

残り3ハロンまでスローペースで流れ、最後の直線で「ヨーイドン」となった場合、脚を溜められる時間が十分にあるため、あまりスタミナを求められない。一方、1000m以上継続的に脚を使わなければならない場合、スタミナのない馬はバテてしまう。

レッツゴードンキは11秒台の脚を使い続けられるスタミナがない。中盤からのペースアップが、彼女にとって不利に働いたことは想像に難くないわけだ。

逃げのしわ寄せ

もう一つ指摘したいのが、「チューリップ賞、桜花賞での逃げ切り勝ちの反動」である。

チューリップ賞と桜花賞ではハナを切った。結果、どちらのレースでも他馬からプレッシャーをほとんど受けることなく、気持ちよく逃げられた。そして、馬券に絡むことに成功している。

一方、オークスでは最内枠から出走し、道中では5、6番手に位置取った。そうなると、馬群に揉まれてしまうし、自分のペースで走ることができない。前走、前前走で気持ちよく逃げている馬にとって、相当のストレスだったことは想像に難くない。実際、道中はかかり通しでリズムを掴むことができなかった。

逃げてタイトルを獲得したことによる“反動”があったのは間違いないだろう。

見限りにはまだ早い

以上のように、血統、展開、逃げの反動という“三重苦”によって樫の女王のタイトルを取り逃してしまったわけだ。すべてがハマった桜花賞に比べると、いろいろな面でうまくいかなかった。

よって、オークスの惨敗により「桜花賞はフロック」とする風潮には違和感を覚える。

レッツゴードンキにGI級の力があることは間違いない。ごまかしが効かない阪神芝外回り1600mのGIで2回も好走している。実力がなければできない芸当だ。今回の失敗がいいガス抜きとなれば、秋に巻き返してくる可能性は十分に考えられる。

オークスではハマらなかった。しかし、凡走した背景には必ず理由がある。その理由を考えれば、引き続き活躍を期待していい馬であることに疑いの余地はないのだ。

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