キレ味するどい大外一気でもがく牡馬たちを切り裂いた。
1月8日に京都競馬場で行われたシンザン記念(G3/芝1600外回り)ではアーモンドアイが見事に先頭でゴール板を駆け抜けた。レースを分析していきながらアーモンドアイがレースを制したポイントやファストアプローチ、カフジバンガードなど他馬の敗因を探っていこう。
目次
結果・着順
2018年 1月 8日(祝) 1回京都3日 天候 : 雨 馬場状態 : 稍重
【11R】 第52回日刊スポーツ賞シンザン記念
3歳・オープン・G3(別定) (国際)(特指) 芝・外 1600m 11頭立
着 | 馬名S | 性齢 | 人 |
---|---|---|---|
1 | アーモンドアイ | 牝3 | 1 |
2 | ツヅミモン | 牝3 | 7 |
3 | カシアス | 牡3 | 4 |
4 | ファストアプローチ | 牡3 | 2 |
5 | カフジバンガード | 牡3 | 3 |
6 | スターリーステージ | 牝3 | 5 |
7 | ベルガド | 牡3 | 10 |
8 | プリュス | 牝3 | 6 |
9 | ブランモンストル | 牡3 | 8 |
10 | ヒシコスマー | 牡3 | 9 |
11 | マイネルエメ | 牡3 | 11 |
LAP 12.2-11.1-12.4-13.3-12.8-12.1-11.7-11.5
通過 35.7-49.0-61.8-73.9 上り 73.8-61.4-48.1-35.3 平均 1F:12.14 / 3F:36.41
払い戻し
単勝 3 \290
複勝 3 \150 / 7 \330 / 11 \210
枠連 3-6 \1680 (9)
馬連 03-07 \2620 (12)
ワイド 03-07 \980 (14)/ 03-11 \630 (6)/ 07-11 \1650 (19)
馬単 03-07 \3100 (12)
3連複 03-07-11 \6980 (26/165)
3連単 03-07-11 \26730 (97/990)
レース分析
レースのラップを見ると前半の4ハロンが後半に比べてコンマ9秒遅い。特に3ハロン目では前の1ハロンに比べて1,3秒ラップが落ち、続く4ハロン目はそこからさらにコンマ9秒遅いラップを刻んでいる。このように前半がスローペースの展開で比較的前の馬に有利な流れでレースは進んだ。だが重い馬場に遅いペースでも大きく折り合いを欠く馬や流れに乗れない馬はおらず、この時期の3歳戦にしては成熟したメンバーが揃っていたと言えるだろう。では各馬について見ていこう。
出走馬勝因、敗因、次走への展望
1着 アーモンドアイ
この馬に関しては戦前予想分析の記事も担当したが、そこでも書いたようにレースセンスという面ではまだまだ成長の余地がある。それを示すようにスタート一息で道中は後方から。
しかし勝負所からの動きが軽快で促されつつではあったが進出の勢い差が他馬とは歴然。そのまま直線も一頭だけ違う脚を使い楽々と差し切り勝ち。上がりは唯一の34秒台でそれも半ば。決して展開が向いたわけではなく、この結果は純粋な能力の差。超大物牝馬出現だ。
2着 ツヅミモン
道中は番手を追走。直線で逃げるカシアスを捉えしぶとく連対。厩舎の看板ホースであるリリーノーブルと共に大舞台を目指すことになるだろう。浅いキャリアでの好走は立派で更なる成長に期待がかかるが、同時に勝ち馬との差も現状では大きい。母カタマチボタンもその母タヤスブルームも重賞戦線で活躍した確かな牝系だ。
3着 カシアス
スタートを決めハナへ。ペースを落とすことにも成功し力は出し切っている。斤量差もあったがマイルではここが限界にも見える悲喜交交の3着と言ったところか。距離短縮での本領発揮に期待。
4着 ファストアプローチ
この馬もスタートが決まらず中団後ろ目からのレースに。枠なりの競馬となり直線も内を狙ったが、さして伸びるシーンはなし。入着はしたが勝ち馬からは5馬身近く離されており好走とは言いづらい。相手なりなところもあるか。
5着 カフジバンガード
最後の脚は見どころがあった。直線は中から内に進路を切り替えるシーンがあり、それがなければファストアプローチには先着していた可能性もある。久々の右回りも気にならなかった。まだまだ成長は必要だがこのクラスでも通用の素質はある。
6着 スターリーステージ
中団の追走から伸びきれず。道中の行きっぷりもイマイチでこのクラスでやっていくにはパワーアップが必要。全兄ミッキーアイルとは違い未勝利脱出にも時間がかかったように良くなってくるのはまだ先なタイプかもしれない。
まとめ
絶好調の勝負服と鞍上の勢いにも後押しされ、初となる関西への遠征も道悪馬場も、ものともせず素晴らしい勝利を収めたアーモンドアイ。そのぱっちりとした瞳には仁川の桜がはっきりと映ったように思えた。
文=櫻井秀幸