アルバートの勝因とフェイムゲームの敗因は?ステイヤーズステークス2017回顧

12月2日土曜日に中山競馬場でステイヤーズS(G2/芝3600m)が行われ、アルバートが優勝した。これで同馬はこのレース3連覇となった。

終始落ち着いてレースを進めたアルバートと、早め早めの競馬で真っ向勝負を挑んたフェイムゲームの激闘は非常に見ごたえがあるものだった。

勝者、敗者をわけた“分岐点”はどこにあったのだろうか? 振り返っていくことにしよう。


目次

結果・着順

2017年12月 2日(土) 5回中山1日 天候 : 晴  馬場状態 : 良
【11R】 第51回スポーツニッポン賞ステイヤーズS
3歳以上・オープン・G2(別定) (国際)(特指) 芝 3600m 10頭立

馬名性齢
9アルバート牡61
2フェイムゲームセ72
7プレストウィック牡63
5プロレタリアト牝68
6シホウ牡64
3グランアルマダ牡56
4シルクドリーマー牡85
10カムフィー牡810
1デルマサリーチャン牝67
108サイモントルナーレ牡119

LAP 13.3-11.3-13.0-12.4-12.2-12.6-12.7-12.9-12.6-12.5-13.1-12.7-12.3-12.0-11.9-12.0-11.7-11.8
通過 37.6-50.0-62.2-74.8  上り 71.7-59.4-47.4-35.5  平均 1F:12.39 / 3F:37.17

払い戻し

単勝  9 \130
複勝  9 \100 / 2 \120 / 7 \140
枠連  2-8 \220 (1)
馬連  02-09 \210 (1)
ワイド 02-09 \130 (1)/ 07-09 \180 (2)/ 02-07 \400 (6)
馬単  09-02 \290 (1)
3連複 02-07-09 \450 (1/120)
3連単 09-02-07 \830 (1/720)

レース分析

時計面から見ていこう。前半の3Fが37秒6、最後の3Fが35秒5と最初と最後だけ抜き出すと比較的上がり勝負のレースかなとしか思わないが、勝ち時計の3分43秒フラットは非常に優秀なタイムだ。

このレース歴代2位の好タイムであり、ここ数年の勝ち時計を楽に2秒以上上回る。それだけに上位馬を高く評価することはもとより、下位の馬たちにも一定の評価が必要だろう。では、各馬の走りを振り返って行こう。

出走馬勝因、敗因

1着 アルバート

終始長手綱で完璧な折り合いだった。道中は中団のやや後ろを悠々と進みフェイムゲームを斜め前に見る形。慌てず騒がず脚をしっかりと溜められた。勝負どころからエンジンをかけていったが、直線を向いた所でも前とはまだ少し差があった。

しかしそこからの決め手は圧巻で上がりは唯一の34秒台。勝因は道中の完璧な折り合いと相手をフェイムゲームを決め打ったムーアの落ち着き。圧巻の3連覇だった。

この距離なら間違いなく現役最強。歴代でも屈指の正真正銘のステイヤーだ。

2着 フェイムゲーム

16キロ増えた体重は昨年のダイヤモンドS(2着)の時とそう変わらないのであまり影響はないかと思うが、やや折り合いを欠くシーンがあったあたり完全な状態ではなかった可能性もある。

それでも一端は抜け出し形を作ったが、最後は余力の差を見せつけられた。最初のスタンド前でも頭を上げるシーンがあったのが悔やまれる。何もかもが完璧でないと今日のアルバートには勝てなかった。

この年齢でもまだまだ元気で長距離戦では引き続き上位争いが可能だ。

3着 プレストウィック

道中はアルバートの後ろでそれをマークする形。直線でも一定の脚は見せており力は出し切った。

上がり2位のタイムで差を詰めたがそれでもフェイムゲームに迫る事も出来ず。前2頭とは力差があった。

4着 プロレタリアト

勝負所で取りたかった進路をアルバートに取られたのが痛かった。そこがスムースなら3着はあり得た。牝馬だが牡馬に混じったスタミナ比べでもひけをとらない実力馬。

5着 シホウ

なだれ込むような形での入着でそこまで高くは評価出来ないが、後ろには6馬身差。重賞でも掲示板争い出来る能力はある。

6着 グランアルマダ

気合をつけられハナへ。しかし4コーナーを前に早々にシルクドリーマーに先頭を明け渡した。ただそこから粘りを見せたあたりに豊富なスタミナは感じる。

7着 シルクドリーマー

直線手前で抜け出そうとしたがフェイムゲームの強襲に遭いそこからは沈む一方。もう少し仕掛けを我慢したほうが良かっただろう。

8着 カムフィー

後方をついて回っただけ。一昨年の2着馬だが近走は衰えが顕著。ただこの馬でも例年なら勝ちタイム並み。

9着 デルマサリーチャン

道中は3番手だったが残り800を前に早々と後退。ここでは見劣ったが距離が長かった事も事実。

10着 サイモントルナーレ

11秒以上の差をつけられ惨敗。付いていくことも全く出来ずいつまでの現役生活だろうか。。

まとめ

やはり光ったのはアルバートのスタミナ・実力、そしてムーアの手綱さばきだ。

自身が圧倒的人気を背負いながらもライバルをフェイムゲーム一頭と腹を括り、道中はラチ沿いをピタリと静かに追走した。その度胸と読みのセンスに改めて脱帽だ。

フェイムゲームも見せ場を作りハイレベルなレースを演出してくれた。現役屈指の実力派ステイヤーたちが作りあげた味わい深い大人の好レースだった。

文=櫻井秀幸

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