最内からスルスルと抜け出して波乱を演出した。

6月28日に阪神競馬場で行われた宝塚記念(GI/芝内回り2200m)で池添謙一騎手が騎乗した11番人気のショウナンパンドラ(牝4)が3着に滑り込んだ。GI馬ながら二桁人気に甘んじたが、低評価を覆してみせた。

なぜ、ショウナンパンドラは激走できたのか? その背景には2つの明確な理由があった。


母系に流れる“宝塚記念血統”

ショウナンパンドラの激走の理由を紐解こうとする時、避けて通れないのが血統だ。

というのも、ショウナンパンドラには“宝塚記念血統”が流れていた。

彼女の母系を見てみると……

母母ゴールデンサッシュ
母母母ダイナサッシュ

という名前を目にする。何を隠そうゴールデンサッシュはステイゴールドの母なのだ。

ステイゴールドといえば、産駒が過去7年の宝塚記念で5勝を挙げている“宝塚記念血統”である。ドリームジャーニー、ナカヤマフェスタ、オルフェーヴル、ゴールドシップという優勝馬を輩出しているのだから、宝塚記念でもっとも強調できる血であることは間違いない。

そしてダイナサッシュはサッカーボーイの母にあたる。サッカーボーイといえば種牡馬としてヒシミラクルを輩出。こちらも宝塚記念を勝っている。

人気薄ながら激走した背景には母系に流れる“宝塚記念血統”の存在があったわけだ。

必殺仕事人池添謙一

もう一つ挙げなければならないのが池添謙一騎手の存在である。

池添騎手はとにかく大舞台にめっぽう強い。

リーディング上位の騎手というわけではないが、史上6人しか達成していない5大クラシック競走完全制覇を成し遂げている。オルフェーヴルやドリームジャーニー、デュランダルといった名馬に騎乗したことも大きかったが、彼らが確実にGIを勝ってきたのは大舞台に強い池添騎手が手綱をとっていたことも大きな理由の一つだと考えられる。

実際、池添騎手のGIでの成績は驚異的だ。

(20−16−13−127)
勝率12%
複勝率28%
単勝回収値103
複勝回収値101

20勝を挙げているのも凄いが、注目すべきなのは回収値だ。なんと、単勝、複勝、ともに回収値が100を超えている。

オルフェーヴルら、人気馬だけでなく、穴馬を確実に持ってきているということだ。

思い返してみると、GI初制覇を成し遂げたのは桜花賞における13番人気のアローキャリーだった。宝塚記念では2005年に11番人気のスイープトウショウで勝っている。

何より今年、池添騎手は絶好調だ。

詳細→池添謙一騎手を追え!オルフェーヴルの相棒は最も買える穴ジョッキー?

大舞台で大仕事をやってのける“必殺仕事人”の手綱さばきが、ショウナンパンドラを激走に導いたと言っても決して言い過ぎではない。

血統と騎手――。

ショウナンパンドラが激走した背景には、宝塚記念とは切っても切り離せない血と、大舞台にめっぽう強い騎手の存在があったのだ。そして奇しくも池添騎手はステイゴールド産駒のドリームジャーニーとオルフェーヴルで宝塚記念を勝っている。“隠れステゴ産駒”に池添謙一。なんともドラマティックではないか。

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