最後の直線で巻き起こった見応えある叩き合いを制したのはミッキークイーン(牝3)だった。
5月24日に東京競馬場で行われた優駿牝馬オークス(GI/芝2400m)で1番人気のルージュバックらを破り初制覇を飾った。
なぜ、ミッキークイーンはクラシックを勝つことができたのか? 今回は4つの視点から、彼女が樫の女王に上り詰めた要因を探っていく。
目次
要因① 示していたGI級の素質
まず、ミッキークイーンはキャリアの中でGI級の素質を持っていることを示していた。詳しくは以下の記事を参照してほしい。
●GI級の大器!ミッキークイーンがオークスで人気になるワケとは?
前残りの展開の中、ただ1頭、秀逸な末脚を見えた新馬戦、輸送に失敗しながら2着に激走したクイーンカップなど、見どころのあるレースが多かった。彼女のキャリアを振り返れば、オークスで好走したのがフロックではないことは明らかなのだ。
要因② 春の牝馬クラシックにめっぽう強い血
血統面も彼女を後押しした。
父のディープインパクトは春の牝馬クラシックにめっぽう強い。桜花賞は昨年まで5連覇を達成し、今年はクルミナルが2着に入った。
オークスでもジェンティルドンナを筆頭に、3年連続で好走馬を出していた。(今年で4年連続。)偉大な父の血が、ミッキークイーンを後押ししたわけだ。
さらに母系も良かった。母のミュージカルウェイは欧州の重賞を3勝している。また兄弟のトーセンマタコイヤらはJRAで活躍中。GIで好走できるポテンシャルを秘めた血統だったわけだ。
●オークス(2015年)ミッキークイーン良血度診断!全兄トーセンマタコイヤ
要因③ 克服した輸送という課題
「GI級の素質」、「オークスに合った血統」という2つのポテンシャルを持つことに加え、課題を克服したことも栄冠をつかむ要因の一つとなった。
彼女の一番の課題は輸送だった。初めて輸送を経験したクイーンカップではマイナス20キロと、大幅に馬体を減らしていた。
ところが今回は輸送があったにもかかわらず、プラス体重となる430キロで出走できた。輸送という課題をクリアし、万全の状態でレースに臨んだことで最高のパフォーマンスを示すことができたわけだ。
要因④ 巧みだった浜中騎手の手綱さばき
鞍上の的確な手綱さばきにも注目したい。
ミッキークイーンの枠順は5枠10番、二桁馬番だった。一歩間違えれば外外を回り、距離をロスして直線で余力を残せない、といった競馬になりかねない。彼女の場合、スタートが速くないため、位置取りが後ろになりすぎる懸念もあった。
そんな中、浜中騎手はスタートからある程度押してポジションを取りに行った。加えて、なるべく外を回さずに内に入れていった結果、内ラチから2頭目のポジションを取ることができた。理想的な位置取りとポジションで競馬を進められたことが直線における爆発的な末脚を呼び込んだ。
また、先行したルージュバックを目標にしたことも、勝利を手繰り寄せる要因になったと考えられる。
まとめ
以上のように……
・GI級のポテンシャルの高さ
・大物になれる可能性を秘めた血統
・課題の克服
・鞍上の好騎乗
こういった要因が重なり、ミッキークイーンはGI初制覇を達成できたのだ。
爆発的な末脚を持ち、マイルから2400mまで幅広い距離をこなせる。血統を見ても「ただの早熟馬」で終わる可能性はほとんどない。
そう考えると、秋以降も活躍してくれることは間違いなさそうだ。樫の女王に輝いたクイーンはどんなキャリアを重ねていくのか。注目して見守りたい。
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