クリンチャーの勝因、レイデオロの敗因は?京都記念2018の回顧

三冠を駆け抜けた逞しさが曇天に花開いた。

2月11日に京都競馬場で行われた京都記念(G2/芝2200外回り)はクリンチャーの優勝に終わった。レースを分析していきながらクリンチャーがレースを制したポイントやレイデオロなど他馬の敗因を探っていこう。


目次

結果・着順

2018年 2月11日(祝) 2回京都6日 天候 : 晴  馬場状態 : 重
【11R】 第111回京都記念
4歳以上・オープン・G2(別定) (国際) 芝・外 2200m 10頭立

馬名S性齢
クリンチャー牡44
アルアイン牡43
レイデオロ牡41
モズカッチャン牝42
ケントオー牡69
ディアドラ牝46
ミッキーロケット牡57
クロコスミア牝55
アクションスター牡810
10プリメラアスール牝68

LAP 12.5-11.5-13.3-13.0-12.7-12.6-12.2-12.2-12.2-11.8-12.3
通過 37.3-50.3-63.0-75.6  上り 73.3-60.7-48.5-36.3  平均 1F:12.39 / 3F:37.17

払い戻し

単勝  4 \1050
複勝  4 \180 / 10 \170 / 6 \110
枠連  4-8 \2510 (9)
馬連  04-10 \2830 (11)
ワイド 04-10 \680 (11)/ 04-06 \300 (3)/ 06-10 \240 (1)
馬単  04-10 \6760 (24)
3連複 04-06-10 \1260 (4/120)
3連単 04-10-06 \16450 (59/720)

レース分析

6ハロン目を両方に含める形でレースラップを見ると後半が2、3秒速くスローペースでの推移だったことがわかる。少頭数にありがちな極端な縦長の展開になることもなく道中は我慢比べの様相を呈した。では各馬の勝因・敗因について見ていこう。

出走馬勝因、敗因、次走への展望

1着 クリンチャー

前2頭を見るように先団に位置し落ち着いてレースを進める事ができた。この落ち着きと重い馬場への適性が勝利へのポイントだったと言える。この日4勝と固め打ちの鞍上の檄に応え直線は先を行くダービー馬を内から差し切ってみせた。通った位置もぎりぎり馬場の悪くなりきっていないところだったように思え、斤量差と鞍上の巧みな立ち回り、すべてがかみ合っての金星だった。勝ちきるには至らなかったが再三見せ場を作ってきたクラシック戦線での頑張りがここで実を結んだ。確かな成長力を頼りに今後も王道戦線で注目の1頭となる。

2着 アルアイン

勝負所で他馬に先を行かれ直線を向いた段階では中団の外目にいた。しかし、そこから堅調な脚を見せゴール寸前で連対を確保。力は見せたが直線も外にヨレ気味だったあたりこの馬場も得意ではなく距離もぎりぎりだった可能性が高い。裏を返せば距離短縮で大阪杯なら本領発揮というところか。前哨戦としては及第点以上の走り。

3着 レイデオロ

中団からレースを進めたが直線入り口ではもう先頭を伺う位置にいた。しかしこれは余裕の進出と言うよりは我慢しきれなかった部分が大きく、現に直線で本来の爆発力をは鳴りを潜めた。休み明けで関西圏のレースと酌量の余地はあるが、神戸新聞杯では盤石の走りを見せていたわけで物足りなさは残る。ルメールが完全に手の内に入れていた感はあり乗り替わりもマイナスだったと言える。王者としてはらしくない始動戦であった。

4着 モズカッチャン

中団やや後方からの競馬。勝負所から外を狙う動きを見せたが、ごちゃつきを察知したデムーロが進路を内に切り替えた。そしてクロコスミアの内にまで潜り込み一旦は抜け出すがゴール前で力尽きた。負け方としてはやや秋華賞に似た感じがあり、抜け出すと少しふわっとするところがあるのだろう。苦しいレース運びになったが地力は見せており少なくとも牝馬戦線なら主役。

5着 ケントオー

後方から大外に進路をとり直線あわやのシーンを見せた。アルアインにやや寄られたのが悔やまれるが、距離延長と淀でダンスインザダークの血が騒ぎ大健闘の入着。今なら中距離以上のほうが良さそうだ。

6着 ディアドラ

中団の内から直線は中を突き前を追ったが伸びきれず。元来叩かれて良化するタイプで休み明けは割引だったが、前走に続いてあまり見せ場のない走りでリズムが狂っている雰囲気もある。馬場も向いていたはずで、一度本来の走りを取り戻すまでは静観が賢明か。

8着 クロコスミア

スローに落としての溜め逃げで一見おあつらえ向きの展開にも見えたが、この馬自身力んでいたのでもっと思い切って行ったほうが良かっただろう。後続に脚を使わせるレース展開なら大仕事が可能だが、現状では牡馬一級線相手では見劣る。

まとめ

勝ったクリンチャーは関西圏ではこれで4戦3勝。負けたのも菊花賞の2着だけでほぼパーフェクトな戦績だ。大阪杯、春の天皇賞、宝塚記念とこの先に待つ数多のチャンスに期待は高まる。もちろんG1馬たちの巻き返しにも注目が必要だろう、寒空の下行われた伝統のG2は今年も実に濃密だった。

文=櫻井秀幸

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