GI馬がまさかの敗戦を喫した。
6月18日に函館競馬場で行われた函館スプリントステークス(GIII/芝1200m)で1番人気のセイウンコウセイ(牡4)が4着に敗れた。勝ったのは3番人気のジューヌエコールだった。
なぜ、高松宮記念の覇者はGIIIで敗れることになったのか? その理由を探っていこう。
目次
プロフィール〜血統・誕生日・馬主・調教師・生産者〜
父 | アドマイヤムーン |
---|---|
母 | オブザーヴァント |
母の父 | Capote |
母の母 | PatentlyClear |
性別 | 牡 |
馬齢 | 4 歳 |
生年月日 | 2013年3月8日 |
毛色 | 栗毛 |
馬主 | 西山茂行 |
調教師 | 上原博之(美浦) |
生産牧場 | 桜井牧場 |
産地 | 新ひだか町 |
馬名意味 | 冠名+恒星 |
圧倒的な人気を集めた背景
セイウンコウセイは2.1倍の圧倒的な人気を集めていた。
それもそのはず。彼は春のスプリントGI高松宮記念を制していた。上り調子の上がり馬、しかも4歳馬の賞金が夏に半減したことで、函館スプリントSには斤量56キロで出走がかなった。
GI馬が56キロで出走してくる。しかも2番人気に支持されているのは2戦連続で1秒以上の大敗を喫しているシュウジ、そして同じく3走連続で馬券に絡めていないジューヌエコールだったのだから、セイウンコウセイが人気に支持されたのも当然だろう。
しかし、結果として、セイウンコウセイは馬券に絡むことができなかった。一体なぜ、GI馬は凡走するに至ったのか?
凡走の理由① 血統の壁
もっとも大きな理由の一つが血統だと考えられる。レース前、競馬TIMES編集部では「人気馬セイウンコウセイの優勝が困難な3つの理由」と題し、検証記事を掲載していた。そちらから、引用していこう。
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まずはアドマイヤムーン産駒という点が引っかかる。
というのも、アドマイヤムーン産駒は今まで、一度も休み明けで重賞を勝ったことがないのだ。
間隔 | 着別度数 |
---|---|
連闘 | 0- 0- 0- 1/ 1 |
2週 | 3- 1- 0- 14/ 18 |
3週 | 1- 3- 3- 24/ 31 |
4週 | 1- 0- 2- 22/ 25 |
5~ 9週 | 3- 1- 2- 38/ 44 |
10~25週 | 0- 6- 4- 20/ 30 |
半年以上 | 0- 0- 0- 0/ 0 |
間隔 | 勝率 | 複勝率 | 単回値 | 複回値 |
---|---|---|---|---|
連闘 | 0.0% | 0.0% | 0 | 0 |
2週 | 16.7% | 22.2% | 133 | 144 |
3週 | 3.2% | 22.6% | 110 | 128 |
4週 | 4.0% | 12.0% | 8 | 20 |
5~ 9週 | 6.8% | 13.6% | 38 | 38 |
10~25週 | 0.0% | 33.3% | 0 | 90 |
半年以上 |
重賞勝ちは間隔が2〜9週に集中している。2カ月半以上、間隔が空いた中で挑んだ重賞では(0−6−4−20)。複勝率は高いものの、勝ち切るまでには至っていない。
―――
セイウンコウセイは今回、約4カ月の休み明けだった。久々だったことがマイナスに働いた可能性は、十分に考えられる。
凡走の理由② 続・血統の壁
さらに血統的な面を掘り下げるなら、アドマイヤムーン産駒は函館芝1200mで散々な成績しか残せていない。
種牡馬 | 着別度数 |
---|---|
アドマイヤムーン | 3- 3- 1-42/49 |
勝率 | 複勝率 | 単回値 | 複回値 |
---|---|---|---|
6.1% | 14.3% | 27 | 31 |
こちらは2014年以降に出走したアドマイヤムーン産駒全馬の成績だが、50頭近く走って勝ったのは3頭のみ。回収率を見ると、穴馬は全く走っていないことが分かる。
セイウンコウセイにとって、コースも決して合う条件ではなかったわけだ。
凡走の理由③ 厳しかった展開
そして何といっても展開が厳しすぎた。前後半600mのタイムを比較してみると……
32.2−34.6
なんと最初の3ハロンは32.2秒。いくら函館が高速馬場だったとはいえ、いかにハイペースだったかが分かる。
なお、テンの3ハロンのタイムは、やや重開催だった今年の高松宮記念はもちろん、良馬場開催だった昨年の高松宮記念やスプリンターズステークスを上回るペースだ。
このペースを2番手で追走したら、いくらなんでももたない。逃げたシュウジを筆頭に先行馬が全滅だったことが、展開の厳しさを示している。
むしろこのペースで4着に粘ったセイウンコウセイを称えるべき、とすら言えるレースだったわけだ。
まとめ
以上のように、セイウンコウセイにとって厳しい条件が揃ったレースだった。
しかし、逆に考えれば今後出走するレースは今回より条件が好転するはず。状態も上がっていくことだろう。
この敗戦を糧に、さらなる栄冠を勝ち取れるのか、注目されるところだ。