春のグランプリは驚きの結末が待っていた。
6月28日に阪神競馬場で行われた宝塚記念(GI/芝内回り2200m)を制したのは6番人気のキングカメハメハ産駒ラブリーデイ(牡5)だった。1番人気のゴールドシップは15着に、ラキシスは8着に沈んだ。
ラブリーデイは伏兵の1頭という立場に過ぎなかった。そんな馬がなぜ強豪が集う春の大一番で勝つことができたのか? 徹底的に分析していこう。
理由① 抜群の小回り適正
まずは適正の高さが挙げられる。ラブリーデイのキャリアを振り返ると、小回りで抜群の成績を残しているのだ。
重賞4勝のうち、3勝(宝塚記念、鳴尾記念、中山金杯)が小回り。直線が長いコースよりコーナリングで他馬にうまく差をつけて押し切るのが得意というわけだ。
なお、ただ単に馬キャラが小回り向きというわけではない。小回りを得意とする背景には血統的な“裏付け”がある。以下の記事より抜粋してお伝えしよう。
詳細→ラブリーデイの血統や将来性は?鳴尾記念上位馬を徹底分析
ラブリーデイの母系を遡ると、5代母ペルースポートから多くの活躍馬が輩出されていて、ある特徴を見出すことができる。それは小回り(内回り)中距離重賞への適性の高さだ。
以下は一族の内回り中距離重賞好走例 ※1人気以下の着順は除外 ※2中京は改修前、朝日チャレンジCは当時内回り2000m
インティライミ 06年中日新聞杯2着、07年金鯱賞3着、07年朝日チャレンジC1着、08年宝塚記念11人気3着
スマートギア 10年金鯱賞3着、12年小倉大賞典10人気2着
ワンモアチャッター 05年小倉記念2着、05年朝日チャレンジC1着、08年中京記念14人気4着
アロマティコ 12年秋華賞3着、14年クイーンS2着
サンバレンティン 06年福島記念1着、07年七夕賞1着
フォルテベリーニ 06年福島記念2着、07年中京記念3着
オーバーザウォール 98年福島記念1着
スピークリーズン 89年函館記念1着ご覧の通り、直線の短い小回り、内回りコースの重賞に非常に高い適性を持つ母系なのだ。
以上。このように小回り適性の高さが春の大一番で生きたと考えられる。
理由② 抜群の機動力
小回り適性の高さと類似して挙げられるのが、機動力だ。
ラブリーデイのキャリアを振り返ると、ほとんどのレースで「4コーナー5番手以内」につけていることが分かる。この機動力……言い換えるとレースセンスの高さが安定した競走成績に結びついている。
・どんなレースでも安定して前につけられる
→現代競馬はスローペースになりやすいため、前に行くことが絶対的に有利
・コーナーを好位で回れる
→距離ロスを防げる
・不利を受けにくい
→後方から競馬を進めると前が詰まるなど不利を受けやすい
などなど、メリットを挙げればキリがない。抜群の機動力がラブリーデイの強さの秘訣といえるわけだ。
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