2021年5月16日、東京競馬場でヴィクトリアマイル(GⅠ/芝1600m)が行われる。今回は過去のデータやレース傾向を振り返り、当レースの危険な人気馬を予想していく。
馬券を買う上で特に重要なのは「どの馬を買うか」ではなく「どの馬が消しか」を見極めることだ。
人気馬を「買わない」と判断できれば、余った資金を軸馬の買い足しや穴馬の追加購入に回すことができる。そして人気馬が馬券圏外になれば配当が跳ね上がる。
「人気だから押さえようかな」と毎回人気馬を買ってしまうと回収率は落ちていく。だからこそ「買わない人気馬」を見つけることがカギになってくるのだ。
果たして、人気が想定されるグランアレグリア、マジックキャッスル、テルツェット、デゼル、レシステンシアらの中で危険なのはどの馬なのか。しっかり考察していこう。
過去10年のデータを参考にしていく。
目次
ヴィクトリアマイルの人気馬成績
過去10年のデータを見ると、1番人気は2勝、2着は3回、3着はなし。一本被りが非常に多いレースだが、平気でぶっ飛び、平気で負けるのが特徴。ウオッカもブエナビスタも負けており、さてグランアレグリアはどうか。
腰を抜かす大万馬券も飛び出したが、実力馬が人気を落とすケースもあり、意外と盲点が多いレースでもある。
ではここからは注目のデータをピックアップして紹介していこう。
予想参考データ① 前走阪神牝馬ステークスの取捨選択
阪神牝馬ステークスは2016年からマイル戦となり、今年で6年目。過去5年の傾向を見ると必ず1頭は3着以内に絡み、2018年は上位独占を果たしている。過去10年の数字以上に信頼はできる。
例外もあるが、おおよその傾向は前走コンマ3秒の負けまで。2ケタ人気で2着だった馬が本番3着に入っており、前走の人気はあまり関係ない。
リアアメリアは上がり最速だったが、コンマ6秒負け。評価が分かれる馬だが、上がりの脚はそこまで強調できない。時計がなくパンパンの良馬場では出番はなさそうだが。
予想参考データ② 前走1着馬は過去10年未勝利
牝馬は勢いという格言もあるが、実は前走1着馬は過去10年で35頭も参戦しながら1着が1回もない。最も多いのが6着から9着、次に10着以下だから、このレースに「牝馬は勢い」という格言は通用しないようだ。
一応傾向を見ると、該当する3頭はいずれも重賞1着。去年の阪神牝馬ステークス覇者のサウンドキアラ2着は大健闘の部類で、残り2頭は人気薄で1着になり、その勢いを使った馬だ。
実は4頭もいる前走重賞1着馬だが、データを見る限りでは1着はなく、あっても2着ということになる。不良馬場や好タイムの勝ち馬など結構いるが、ジンクスは打ち破れるか。
予想参考データ③ それぞれの馬の前走レベル
グランアレグリアの前走は大阪杯だった。レイパパレが重馬場にしては早めの流れで逃げたが、重馬場適性もあり、騎手も冷静ですべてが完璧だった。重馬場適性のある馬が残った形だ。グランアレグリアは色々なマイナスポイントがありながらよく4着に来たというのが本音か。不安は反動のみ。しかし、今年最後のダービーである藤澤和雄調教師が、最後まで馬優先でダービーを回避するぐらい。ここを使うということは、少なくとも目に見える反動はないということか。
マジックキャッスルやデゼルらの前走は阪神牝馬ステークスだった。イベリスが早めに逃げて、デゼルとマジックキャッスルは中団にいた。直線で外に出したデゼルやマジックキャッスルは直線で弾けた。逃げたイベリスが33秒5でまとめた直線を、32秒4、32秒5で駆け抜けている。デゼルは輸送の心配は一切なく、マジックキャッスルは4歳牝馬世代で結構安定してやれており、これならグランアレグリアとも対峙できる。この2頭ならデゼルを推したい。
テルツェットの前走はダービー卿チャレンジトロフィーだったが、久々のマイスタイルが57秒のハイペースで逃げる。1年の休み明けで無謀に見えたが、これが無謀ではなく、結果的に4着に粘った。ハイペースならば中団から後ろがマイペースになりやすい。ポジションをジワジワと上げていったテルツェットが最後の直線で差し切っている。ただ初の55キロがどうか。
レシステンシアの前走は高松宮記念だった。重馬場お構いなしにモズスーパーフレアが逃げたが、そうなると後ろの馬に展開が向く。レシステンシアは2着だったが、位置取り的には中団やや前目で結構大変であろう場所だっただけに健闘の部類と言える。北村友一騎手が落馬の影響でなんと復帰までに1年以上かかり、再び武豊騎手に。そしてまた大外に。とはいえ、桜花賞も17番ゲート、武豊騎手も割り切って乗るだろう。
2021年の危険な人気馬は?
テルツェットは人気になる見込みだが、有力馬が勢ぞろいした中で斤量2キロ増は重荷。家賃が高すぎるので、ここでどこまで健闘できるかが今後の試金石になるだろう。ただ厳しいか。ヴィクトリアマイルの好走条件に合致せず、危険な人気馬の一頭になりそうだ。
また、グランアレグリアは3つ目の消しデータに合致している。普通ならこの馬だが、実力馬がこれだけ集まれば話は別。去年のアーモンドアイほどの信頼はない。
反対にデゼルは危険なデータに一つも当てはまらない。前走が圧巻のパフォーマンスで、ただ勢いがあるだけではないことを証明した。反動もなく、東京もよく走る。周囲にも人気になりそうな馬が多く、デゼルをおいしく狙うのは今回が最後、それから先は人気で旨味がなくなるかもしれない。人気馬の中で最も不安要素が少ないのが、デゼルと言えそうだ。