2020年11月1日、東京競馬場で天皇賞秋(GⅠ/芝2000m)が行われる。今回は過去のデータやレース傾向を振り返り、当レースの危険な人気馬を予想していく。
馬券を買う上で特に重要なのは「どの馬を買うか」ではなく「どの馬が消しか」を見極めることだ。
人気馬を「買わない」と判断できれば、余った資金を軸馬の買い足しや穴馬の追加購入に回すことができる。そして人気馬が馬券圏外になれば配当が跳ね上がる。
「人気だから押さえようかな」と毎回人気馬を買ってしまうと回収率は落ちていく。だからこそ「買わない人気馬」を見つけることがカギになってくるのだ。
果たして、人気が想定されるアーモンドアイ、クロノジェネシス、ダノンキングリー、フィエールマン、キセキらの中で危険なのはどの馬なのか。しっかり考察していこう。
過去10年のデータを参考にしていく。
目次
天皇賞秋の人気馬成績
過去10年のデータを見ると、1番人気は5勝、2着は2回、3着は1回。1番人気の連敗記録が話題になった時期もあるが、この10年はそんな風潮、歴史を吹き飛ばすほど信頼できる。
名馬が思わぬ敗戦をする天皇賞秋だが、伏兵馬がバンバン飛び込んでくるわけではない。しかし、単勝10倍台の馬が3勝しており、このあたりを狙えれば最高だろう。
ではここからは注目のデータをピックアップして紹介していこう。
予想参考データ① 前走GⅠ組の取捨選択
前走GⅠ(3- 5- 3-25)
勝率 8.3% │ 複勝率 30.6%
前走GⅠかGⅡの馬しか絡んでいないことでおなじみの天皇賞秋、この中で信頼できるのが前走GⅠ組で、中でも宝塚記念組が絡んでいる。
宝塚記念組の傾向は、3番人気か3着以内か。唯一の例外はレインボーラインだが、それ以外はこのどちらかに入っている。ちなみに安田記念は2番人気までだ。
これをクリアするのはアーモンドアイ、クロノジェネシスだけ。フィエールマンはサンプルが少ないが、天皇賞春1番人気1着なのでクリア扱いでいいだろう。この3頭だけだ。
予想参考データ② 最強牝馬の死角
アーモンドアイはJRAGⅠ7勝目、シンボリルドルフやテイエムオペラオーなどの記録がかかっている。この1年ほどで取りこぼしたのはマイルと有馬記念ぐらいで、あとは馬場が渋ってどうか。この馬のベストディスタンスではあるが、死角はスタートだけ。
クロノジェネシスはいまだに牡馬に負けたことがない。ただ牝馬相手に取りこぼすことは多々ある。この馬の死角は持ち時計がないこと。マイルの時計は1分33秒が精一杯で、2000メートルも1分58秒まで。アーモンドアイに勝つとすれば馬場悪化時で、馬場が渋ればチャンスだ。
しかし、今週は天気が崩れそうもない。馬場が悪化する可能性は低く、当日時計が出るようだとクロノジェネシスはかなり厳しい。ここで初めて牡馬に負けるところが見られるかもしれない。
予想参考データ③ 穴馬から学ぶこと
なかなか穴馬がやってこず、人気の盲点を狙うので精一杯になりやすい天皇賞秋だが、数少ない穴馬からパターンを見つけ出したい。
2015年10番人気2着だったステファノスは、この年香港G1で2着があり、前年は富士ステークスを勝っている。その年の実績と前年の経験がマッチした形だ。2011年1着のトーセンジョーダンは前走札幌記念を1番人気1着、58キロのAJCCも1番人気1着で勝利しながら、単勝33倍もついていた。
2016年7番人気2着だったリアルスティールは、前走安田記念で惨敗したが、その前はドバイターフで勝っている。この馬もステファノスタイプだ。
その観点で今年のメンバーを見ると、まさにうってつけな馬がウインブライトだ。去年は本調子ではなく、国内2戦で調子を戻して香港カップを制した。ダノンプレミアムも面白い。
2020年の危険な人気馬は?
クロノジェネシスは人気になる見込みだが、時計勝負で明らかに分が悪い。今年のエリザベス女王杯が阪神開催となり、宝塚記念と同じ舞台になり、そちらの方に勝機を感じる。ここで勝つビジョンが見えにくい。天皇賞秋の好走条件に合致せず、危険な人気馬の一頭になりそうだ。
また、ダノンキングリーは1つ目の消しデータに合致している。クロノジェネシスは2200メートルで強く、この馬は1800メートルで強い。ここ1年は切れる脚に迫力がなく、少し騎乗に難儀しそうだ。
反対にアーモンドアイは危険なデータに一つも当てはまらない。ケチのつけようがなく、9番ゲートなら東京2000の不利もさほどないだろう。スタートさえ出れば勝てる可能性が高い。あとはフィエールマンの存在のみだが、ルメール騎手は弱点もわかっているはずで、そこまで心配はいらないはずだ。人気馬の中で最も不安要素が少ないのが、アーモンドアイと言えそうだ。