名手に導かれ、初の重賞制覇を果たした。
6月3日に阪神競馬場で行われた鳴尾記念(GIII/芝内回り2000m)で、3番人気のステイゴールド産駒ステイインシアトル(牡6)が、1番人気のスマートレイアーを押さえて勝利した。
勝ち馬の勝因、敗れた馬たちの敗因は何だったのか? 振り返っていくことにしよう。
目次
結果・着順
2017年 6月 3日(土) 3回阪神1日 天候 : 晴 馬場状態 : 良
【11R】 第70回鳴尾記念
3歳以上・オープン・G3(別定) (国際)(特指) 芝・内 2000m 10頭立
馬 | 馬名S | 性齢 | 人 |
---|---|---|---|
9 | ステイインシアトル | 牡6 | 3 |
8 | スマートレイアー | 牝7 | 1 |
3 | マイネルフロスト | 牡6 | 7 |
4 | スズカデヴィアス | 牡6 | 5 |
2 | スピリッツミノル | 牡5 | 10 |
6 | デニムアンドルビー | 牝7 | 4 |
5 | バンドワゴン | 牡6 | 2 |
1 | ラストインパクト | 牡7 | 6 |
10 | ミュゼエイリアン | セ5 | 9 |
7 | レッドソロモン | 牡5 | 8 |
LAP 12.6-11.6-12.7-12.5-12.2-12.0-11.7-11.5-11.0-11.6
通過 36.9-49.4-61.6-73.6 上り 70.0-57.8-45.8-34.1 平均 1F:11.94 / 3F:35.82
払い戻し
単勝 9 \790
複勝 9 \200 / 8 \120 / 3 \250
枠連 7-8 \600 (2)
馬連 08-09 \850 (2)
ワイド 08-09 \360 (2)/ 03-09 \1120 (15)/ 03-08 \500 (5)
馬単 09-08 \2220 (7)
3連複 03-08-09 \2570 (8/120)
3連単 09-08-03 \14460 (44/720)
レース分析
まずはレースラップを振り返ってみよう。
12.6-11.6-12.7-12.5-12.2-12.0-11.7-11.5-11.0-11.6
今開催の阪神の芝コースは、2歳戦でも速い時計が出ていたり、他のレースでもレースレコードを大幅に更新したりと“高速馬場仕様”に造られていた。そのことを踏まえるとかなり遅いペースだったと言える。
武豊騎手騎乗のステイインシアトルが、スタートからハナを切ると、絶妙な手綱さばきでスローペースに落とし込んでの逃げ切り勝ち。
どの馬が勝ったというよりは『武豊騎手が勝った』という印象を受けるレースとなった。
出走馬勝因、敗因、次走への展望
1着 ステイインシアトル
2014年の4月の未勝利戦で、概走馬を相手に1番人気に支持されて圧勝するという鮮烈なデビューを飾った同馬。
デビュー2戦目でGⅡ京都新聞杯(14着)に格上挑戦して、ダービー出走を狙ったように、陣営の期待はかねてより大きいものがあった。
その後は成長を促しつつ、着実に自己条件での勝利を重ねて、自身2度目の重賞挑戦で重賞初制覇。秋のG1戦線に、上り馬として殴り込むための価値ある1勝なった。
ただし、今回は鞍上の絶妙なリードによる部分と、開幕週の馬場の恩恵も大きかった。今後に向けての過剰評価は禁物だ。
今回も、あれだけ展開に恵まれた中、上がり順位はメンバー中で5番手。これからもっと強い相手と戦うには少々物足りない内容といえる。今後出番がありそうなのは、前残りのバイアスがかかっている状態で、同型不在のシチュエーションか。
2着 スマートレイアー
行こうと思えば行けるスピードを持っているはずだが、今回は5番手に控える形をとった。
近走では先行策を取ることが多かっただけに、その調教内容も末脚を重視したものではなく、持続力をつけるようなトレーニングがメインとなっていた。それだけに、ここでいきなり差す競馬というのは、鞍上の判断に疑問が残る。
元々、差す競馬では勝ち切れないレースが続いていたことから前に行くスタイルへと脚質転換を果たしただけに、今回はやや消化不良の内容となった。
次走以降、スムーズに先行する競馬ができれば、勝ち切るシーンも見えてくる。ただ、今後も控える競馬が続くようなら、今回のように取りこぼすことが多くなりそうだ。
3着 マイネルフロスト
2走前にブリンカーを装着してから競馬ぶりが一変した同馬。
今回はメンバーやシチュエーションを考えると絶好の勝機だったが、逃げた馬に迫るどころか突き放されての3着。
最大のパフォーマンスは発揮できればG3クラスなら馬券圏内に入る力は備えていることは改めて証明できた、という程度の評価が妥当だろうか。
4着 スズカデヴィアス
このスローペースを道中8番手からでは物理的に考えて不可能だ。
それでも4着にまでは詰めてきているように地力は証明したと評価すべきか。
派手な脚は使えず、相手なりに走るタイプであるため、好走しても人気になりにくく、馬券圏内を逃した途端に人気が急落するタイプのため、次走以降注目の存在だ。少頭数の競馬も合わなかったか。
5着 スピリッツミノル
高速馬場は向かないタイプで、一発あるとすれば、スタミナを活かした大逃げか、捲る競馬だったが、今回は“普通の競馬”をしてしまった。
このタイプは、適性の合わない場所で惨敗、合う場所でガラリ一変するため、このレースは単純に適性外と考えたほうが良さそうだ。
6着 デニムアンドルビー
絶好の手ごたえも伸びきれず。上がりの脚も3番手と冴えず。
ここで上がり最速を出せれば今後への期待が膨らんだが、この内容となると「衰え」の二文字がよぎってしまうところだ。
7着 バンドワゴン
元々体質に問題があるように、激走後に疲れが出やすいタイプ。
前走勝利直後にいきなりの重賞挑戦。前走の疲労に加えて、相手強化と、走れるタイミングではなかったと言えそうだ。
次走以降、レース間隔を開けるか、疲労が取れているようなら。次走以降で再評価する必要がありそうだ。
8着 ラストインパクト
往年の勢いが感じられない。オープンクラスでも厳しそうだ。
9着 ミュゼエイリアン
この展開でこの着順ということを踏まえると、重賞では厳しいか。
10着 レッドソロモン
重賞では足りない。力負けという判断でいいだろう。