2021年6月20日、阪神競馬場でマーメイドステークス(GⅢ/芝2000m)が行われる。今回は過去のデータやレース傾向を振り返り、当レースの危険な人気馬を予想していく。
馬券を買う上で特に重要なのは「どの馬を買うか」ではなく「どの馬が消しか」を見極めることだ。
人気馬を「買わない」と判断できれば、余った資金を軸馬の買い足しや穴馬の追加購入に回すことができる。そして人気馬が馬券圏外になれば配当が跳ね上がる。
「人気だから押さえようかな」と毎回人気馬を買ってしまうと回収率は落ちていく。だからこそ「買わない人気馬」を見つけることがカギになってくるのだ。
果たして、人気が想定されるソフトフルート、アブレイズ、シャドウディーヴァ、サンクテュエール、イズジョーノキセキらの中で危険なのはどの馬なのか。しっかり考察していこう。
過去10年のデータを参考にしていく。
目次
マーメイドステークスの人気馬成績
過去10年のデータを見ると、1番人気は2勝、2着は1回、3着も1回。ハンデ戦ということもあってオッズは割れ気味だが、実は2倍や3倍に収まるとそれなりに信用はできる。
ハンデ戦なので、伏兵馬が飛び込んできやすい。ハンデの状況や近走の勢いなどを加味して予想をしていきたい。
ではここからは注目のデータをピックアップして紹介していこう。
予想参考データ① 牝馬は格より勢い
前走のクラス別成績を見ると、3勝クラスが6勝、オープン特別2勝、2勝クラスでも1勝と格よりも勢いであることを伺わせるデータが見られる。
3勝クラスから狙うのであれば、勝ち馬はもちろん、コンマ3秒負けにとどまった馬がおすすめ。斤量減も見込まれるため、ハンデ戦であれば巻き返しが可能な差といえる。
横山典弘騎手が51キロで乗るクラヴェルはまさにこれに当てはまる馬。ソフトフルートとはコンマ2秒負け、前走は同じ斤量だったが、今回3キロ分有利に。今年は3勝クラス組が少ないので、狙う価値は十分ある。
予想参考データ② 狙うべきは斤量増
斤量の増減で見ると、斤量2キロ台の減少で5勝、3キロ以上の減少で2勝と明らかに斤量減の方がいいが、実は斤量1キロ台の増加の方が連対率、複勝率といい。なので、狙うのであれば先に斤量増の馬をチェックするべきだ。
斤量別成績では、53キロが4勝、51キロと55キロが2勝ずつ、以下、56キロ、50キロ。52キロと54キロは未勝利。54キロから55キロに増加した馬を狙うのが激熱と言える。
激熱な斤量増馬は複数いる。サンクテュエールとアンドラステ、シャドウディーヴァはいずれも54キロから55キロへ。アッシェンプッテルも斤量1キロ増だが、こちらは53キロから54キロ。アブレイズは斤量2キロ増で、どう響くか。
予想参考データ③ それぞれの馬の前走レベル
ソフトフルートの前走は3勝クラスのシドニートロフィーだった。前半は遅いペースで流れ、前が残りそうな感じを見せたが、後半1000メートルがスパート続きでここで前もきつくなったか。中団待機のソフトフルートが万全の状態で抜け出す。クラヴェルは前目にいた分、少々辛かったが、前目にいた中では粘った方。そんなに差はあるかどうか。
アブレイズの前走はメイステークスだった。アトミックフォースが作った平均ペースで流れたが、ペースが緩んだところでフランツが動く。この2頭で残りそうなところ、一気に突っ込んできたのがアブレイズ。33秒8の末脚で差し切っている。ただ56キロでそのパフォーマンスを期待するのは酷に思えるが。
シャドウディーヴァの前走は中山牝馬ステークスだった。不良馬場で勝ちタイムも歴史的に遅い中、シャドウディーヴァは後方待機で重馬場適性を垣間見せた。レースレベルが低いと思いきや、この時勝ったランブリングアレーはヴィクトリアマイルで2着。位置取りさえよければ上を狙えていたかもしれない。あとはあまり結果が出ていない遠征がどうか。
サンクテュエールの前走は福島牝馬ステークスだった。新潟開催とあって、ペースはゆったり。結果的に逃げたディアンドルがそのまま押し切るのだが、1着から7着までそれぞれの着差は、ハナやクビ。サンクテュエールはハナ+クビの3着。位置取りを考えると粘った方だと思うが、1着をとれそうなレースではなかった。これで斤量1キロ増は酷に見える。
イズジョーノキセキの前走は3勝クラスの京橋ステークスだった。逃げたブライドランドがやや速めに逃げ、そのまま逃げ切ることに。イズジョーノキセキは後方待機。上がりの脚はよかったが、悔しいハナ差負け。とはいえ、自己条件にメドを立てたと言える。3キロ減は魅力でしかない。そのため人気になっても不思議ではないだけに、妙味という部分では薄い。
2021年の危険な人気馬は?
シャドウディーヴァは人気になる見込みだが、遠征で結果が出ていないのがどうか。休み明けもあまり走らない馬なので、ここは叩くだけという感じがしないでもない。マーメイドステークスの好走条件に合致せず、危険な人気馬の一頭になりそうだ。
また、アブレイズは2つ目の消しデータに合致している。2キロ増はマイナスであり、56キロを背負うだけの実力を有するかも疑問である。
反対にイズジョーノキセキは危険なデータに一つも当てはまらない。馬券的な妙味は薄いが、上位人気馬に不安要素がある中だと選ばざるを得ない。ハナ差負けからの斤量3キロ減は罠にも思えるほどの魅力である。面白いのはクラヴェルだ。人気馬の中で最も不安要素が少ないのが、イズジョーノキセキと言えそうだ。