2018年12月9日、香港・シャティン競馬場で香港カップ(GⅠ/芝2000m)が行われる。日本からはサングレーザー、ステファノス、ディアドラの3頭が参戦する。宝塚記念2着のワーザーが回避、9頭立てとなり、日本馬勝利の可能性は高まったと言える。しかし、本当にそうか。
数多くの馬が香港の地を訪れてはいるが、海外での実績があった馬に良績が集まる。エイシンヒカリはフランスの地でとんでもない圧勝劇を見せ、ステイゴールドは当時最強だったファンタスティックライトをドバイの地で差し切ってみせた。いくら日本で強くても大事なことは適性があるかどうかに尽きる。
3頭すべてが飛ぶ可能性も当然あるし、ワンツーフィニッシュもあるかもしれない。日本馬の取捨選択を行って買い目を絞って有終の美を飾りたい。
目次
日本馬① サングレーザーは本当に勝てるのか
レーティング120のサングレーザーはタイムワープと並んで1位タイだ。ブックメーカーでは1番人気に支持されており、日本でもそのようなことになりそうだ。1400や1600など短いところで実績を上げた一方、札幌記念で勝ち、天皇賞秋でも追い込んで2着だったことから距離は問題ないと思われている。ただ、札幌記念も天皇賞秋もハイペースであり、逃げたキセキが残ったものの、展開的には向いたと言える。
一方で今回の香港カップは何が逃げるか分からない要素がある。よく見られるロングスパート的なことになった場合に果たしてサングレーザーに対応が出来るのかは少し疑問だ。馬場が重くても問題はないが、展開が向かない可能性があることを考えておきたい。
日本馬② ステファノスは経験でカバーできるのか
香港国際競走はリピーターが来やすい。連覇は大変だが、以前に上位に来た馬は1年おいてから激走することもある。ジャガーメイルなどもそうだった。そう考えると2016年3着のステファノスは来てもおかしくはない。おそらく人気はないだろうが、過去2年と比べても実はそんなに臨戦過程は変わっていない。天皇賞秋は逃げたキセキが化け物なだけで、普通は前が崩れるような展開だ。毎日王冠もそれなりに健闘していた。
2015年にはクイーンエリザベス2世カップに出走し、2着になるなど相性はすこぶるいい。不思議なのは天皇賞秋2着から臨んだ2015年香港カップで惨敗したことだ。香港に乗り慣れていない戸崎圭太騎手だったことも影響したか。その点、ビュイック騎手が乗るので心配はいらない。香港馬も手薄となれば、狙うならここだろう。
日本馬③ ディアドラに反動はないか
サングレーザーに次いでブックメーカーの評価が高かったのがディアドラだ。府中牝馬ステークスは圧巻の走り、リスグラシューが抜けだしたところを満を持して差し切った形だ。リスグラシューがエリザベス女王杯を制したとなればそれ以上の評価を与えてもおかしくはない。ハービンジャー産駒で香港の馬場は合うとなれば当然人気にはなるが、ここはかなり警戒すべきだろう。
府中牝馬ステークスは1800メートル1分44秒7、相当優秀なタイムだ。その反動が出ている可能性は十分ある。リスグラシューにないのだから大丈夫だろうと考えるのはどうか。これまでは直線だけ追い出しをかけても勝てたが、香港はそうもいかない。名手が集まり、スパート合戦になる。スパートのタイミングはミルコ・デムーロ騎手はうまいが、ルメール騎手はどうか。牡馬相手に今までの競馬が出来るのか。
まとめ
この中ではステファノスにチャンスが一番あるのではないか。過去に好走しており、臨戦過程はそのパターンと似ている。むしろ前走のダメージが一番ないかもしれない。また展開も向きそうだ。前残りになってくれれば最高である。サングレーザーは展開が向くかどうかがすべてだ。モレイラ騎手が勝手知ったるシャティンでマジックを見せる可能性はあるが、人気どころを堂々と買えるほどの信頼度か。
ディアドラはドバイでの実績もあり、輸送はそこまで気にしない。ただ反動がどこまであるかは分からない。前走1着で臨むのはこの馬だけなので馬柱の見栄えはいい。しかしレースではそんなことはどうでもいい。日本馬が勝つ可能性は十分にある、それはサングレーザーやディアドラかもしれない。ただ、勢いだけで判断しようとすると痛い目を見るのが香港競馬であることを理解しておきたい。